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仕事の効率をアップさせ
信頼度を高めるビジネスメールのポイントを解説します。

仕事が速くなる
ビジネスメール術

仕事が速くなるビジネスメール術

vol.10

急な変更を依頼するときや、相手からの頼み事を断るとき……
ちょっと気を遣うメールを送るときのワンポイント。

仕事が速くなるビジネスメール術

頼み事をするときのカギは正確さと誠実さ

ビジネスメールでは、こちらの都合で相手に負担がかかる依頼をしたり、相手からの頼み事を断らなければならなかったりする場面があります。今回は、こうしたいつも以上に相手に気を遣うシチュエーションでメールを送る際のポイントについて解説します。

まずは、自社の都合で相手に負担のかかる頼み事をするときです。例えば、「スケジュールの都合で納期を早めてもらうことになった」「先行発表された他社製品と色が同じなので変更もしくは別カラーを追加したい」といった状況が考えられるでしょう。

こうした場合、以下の4点を意識してメールを作成してみてください。

1. 「お願い」「相談」の体で用件を伝える
自社の都合による頼み事なのに「指示」と受け取られかねない切り出し方はNG。「お願い」や「相談」として用件を伝えましょう。
2. 事情を正確に伝える
頼み事をすることになった事情や背景は、正しく説明しましょう。そうすることで、相手は「やむを得ない事情があるんだ」と理解し、共感してくれる可能性が高いからです。
3. 依頼内容は具体的に伝える
相手にお願いしたい内容は、できるだけ具体的に記載します。「指定した期日が難しい場合は分納が可能か」など、条件が合わない場合の対応も確認しておけるとよいでしょう。
4. 協力的な姿勢を示す
目的を達成するために自分たちにもできることはないか考え、提示しましょう。こちらが協力できることはないか、相手に聞いてもよいでしょう。自分がクライアントの立場であったとしても、「一緒に仕事をするビジネスパートナー」という意識を持って接することが大切です。

相手は自分とだけ仕事をしているわけではありません。他に抱えている仕事に影響を及ぼしてしまうことを忘れず、誠実な態度で依頼することが大切です。

断りのメールは感謝とお詫びの気持ちを大切に

逆に、相手からの依頼を断らなければならないときもあるでしょう。「値引きの依頼に対して、予算の都合で断らなければならない」「スケジュールが合わず、求められる納期に間に合わない」といったケースが考えられます。

断りの連絡を入れた後も、相手との関係性は良好に保ちたいものです。そのためには、以下の5つのポイントを踏まえてメールを作成しましょう。

1. 丁重な挨拶文から始める
断りのメールだからこそ、挨拶は丁寧に。例えば「営業先から取引を提示されたが、金額に折り合いがつかず断る必要がある……」など、ポジティブな内容への返信の場合は、商品やサービスを検討してもらったお礼や取引の声かけへの感謝を伝えるようにしましょう。
2. 自分の状況を伝える
次に、断りの回答に至った経緯について軽く触れます。「ご依頼の件について、検討いたしましたが〜」「ご提示いただいた内容について、社内で協議を重ねましたが〜」といった表現で、相手の要望を真摯に受け止めて、熟考した末の判断であることを伝えましょう。
3. 断る意思を明確に伝える
あいまいな伝え方では、誤解が生じる可能性があります。「大変申し訳ございませんが、ご要望に沿うことはできません」「せっかくのお申し出ではありますが、お引き受けいたしかねます」などと、お詫びの言葉を添えつつ、はっきりと断りの文言を記載しましょう。

引き続き今後の関係性を保ちたいときは、「現状では」「今回は」という前置きを添えてください。
4. 理由を簡潔に伝える
断るに至った事情や背景を伝えることで、相手の要望に沿えないという判断に説得力や妥当性が増します。「割引率を下げれば」「納品数が減れば」など条件を変えれば受託できる場合は、ここで代替案を提示しましょう。
5. 理解を求める言葉で結ぶ
「何卒事情をお察しいただき、ご了解を賜りますようお願い申し上げます」など、理解を求める一文でメールを結びましょう。関係を継続したい場合は「再びチャンスをください」という意図の文章を添え、後日フォローの電話や訪問ができるとベストです。

断りのメールは後回しにしてしまいがちですが、いつ連絡しても状況が変わらないのであれば、少しでも早く返信するよう心がけましょう。相手の時間を無駄にせず、自身のストレスも軽くなります。

言葉の強弱を意識して、伝達力を高めよう

加えて、相手を慮る気持ちを的確に伝えるために意識してほしいのが、「言葉や言い回しのレベル」です。

例えば、データの再送など手間のかからない依頼メールに「大変ご面倒をおかけして申し訳ありませんが……」と書かれていたら、必要以上に恐縮されているような印象を受けます。それに相手への負担の大小にかかわらず毎回同じ言い回しを使っていると、本当に時間のかかる負担の大きな頼み事をするときに誠実な思いが伝わらず、軽い印象を与えてしまう可能性があります。

相手にスムーズに頼み事を引き受けてもらうためにも、下図を参考に言葉を選んでメールを作成してみてください。

依頼をするときの言葉のレベル

言葉の重みのイメージができていれば、状況に合わせた言葉の選択に迷うことがなくなり、メールを書くスピードも速くなり、仕事の効率アップにもつながります。

PROFILE

平野 友朗
平野 友朗ひらの・ともあき
一般社団法人日本ビジネスメール協会 代表理事。株式会社アイ・コミュニケーション代表取締役。北海道生まれ。筑波大学人間学類で認知心理学を専攻。広告代理店勤務を経て、独立。ビジネスメール教育の第一人者として、研修などでの講演は年間150回以上、テレビや新聞などのメディア出演は1500以上に達する。官公庁や民間企業など、業種や業態、職種を問わず、幅広い年齢層に向けた指導やコンサルティングを行っている。著書は37冊。

記事公開:2024年12月