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仕事の効率をアップさせ
信頼度を高めるビジネスメールのポイントを解説します。

仕事が速くなる
ビジネスメール術

仕事が速くなるビジネスメール術

vol.02

思わぬトラブルの原因にも?
知っておくべきメールの基本的な使い方とマナー

仕事が速くなるビジネスメール術

今さら聞けないTO、CC、BCCの使い分け方

メールにはメッセージをやりとりするだけでなく、さまざまな機能が備わっています。CCに上司や業務に関わるメンバーを入れて情報を共有したり、ファイルを添付してデータを送信したりといった機能は、多くの人が普段から特に意識をせずに使っていることでしょう。しかし、そのルールやマナーを知らずに使うと、思わぬトラブルに発展してしまうこともあります。相手と確かな信頼関係を築き、仕事を効率的に進めるためにも、まずはメールの基本的な機能について確認しておきましょう。

まず、宛先に関する機能から見ていきましょう。宛先の指定欄には「宛先(TO)」「CC」「BCC」があり、どの欄にアドレスを入力してもメールを送信できます。ただし、それぞれ役割が異なるため、目的に合わせて使い分ける必要があります。

●宛先(TO)
TOは、メールを処理してほしい人などを指定します。送り先は複数指定することができますが、受信したメールには全員分の宛先が表示されます。

●CC(=Carbon Copy)
CCとは「メールの複写」という意味で、TOの人に宛てた用件を「参考までに伝えておきたい相手」を指定する欄です。TOに指定した人とのやりとりを報告する目的で使われることもあります。TOと同様に、送り先は複数指定することができ、受信したメールには全員分の宛先が表示されます。メールの前文に、「○◯様(CC:◯◯様)」と宛名を入れ、コピーを誰に送っているのか分かるようにしておきましょう。

●BCC(=Blind Carbon Copy)
BCCも複数宛先を指定することができますが、受信したメールには表示されません。TOやCCに指定した人には、誰に送信したのか知らせたくないときに使います。

「引用」機能を活用して、メールの返信を効率化しよう

続いて、「転送」「引用」「添付」という3つの機能について解説します。いずれも日常的に使う機能なので、ルールやマナーを守って活用できているか、確認してみてください。

●転送
「転送」は、自分が受信・送信したメールを、さらに他の宛先へ送信する機能です。転送メールの件名には「forward」の略である「Fwd:」や「Fw:」が自動的に挿入され、本文の行頭に「>」の引用符がつく場合もあります。

転送する際は、情報を共有したい、意見や感想を聞きたい、自分の代わりに対応してほしいといった意図があるはずです。転送文の前に、経緯や目的を自分の言葉で添えて送るようにしましょう。

また、転送には2つのルールがあります。1つは、転送していいか迷ったら、送り主に確認するということ。メールの送信者は、第三者に読まれることを想定していないことが多いので、他の人には知られたくない情報が含まれている可能性があるからです。2つ目は、転送する文章には手を加えないということ。意図的に事実を変えてしまうことで、モラルを疑われたり、送信者に迷惑をかけたりすることになりかねません。

●引用
「引用」は、メールの差出人が書いた文章を、こちらがメールを送信する際にそのまま残す機能です。引用文の行頭には「>」の引用符をつけるのが一般的です。引用を活用することで、効率良く返信することができます。

(例)
―――――――――――――――――――
> プレゼンの日時は、11月18日(水)ではいかがでしょうか。

承知いたしました。
当日はよろしくお願いいたします。
―――――――――――――――――――

引用するときは、前後の文脈が分かる程度の文章を残し、相手からの質問に「一問一答」式で返信していくと良いでしょう。回答漏れがなくなり、ムダなやりとりを減らすことができます。また、引用文は転送と同じく、手を加えないのがマナーです。

●添付
データを添付して送信する際は、以下の3つのポイントを心がけましょう。ひと手間を加えるだけで、相手と気持ち良く仕事することができます。

1.関係性の薄い相手には事前に許可を取る
営業などで、面識のない相手や名刺交換をしただけの相手にメールを送る場合は、いきなり添付書類つきのメールを送るのは避けましょう。相手がその書類を必要としていない場合、困惑したり、嫌悪感を抱いたりしてしまうかもしれません。事前に確認をとっておくことで、書類に対する反応も変わってくるでしょう。

2.相手のメールサーバーの容量を確認する
プロバイダーやメールサーバーによっては、一度に受け取ることができるデータ容量に制限があり、受信できない場合があります。添付ファイルの容量が2MBを超える場合は、事前に相手の環境を確認し、具体的な容量を伝えるようにしましょう。

3.アプリケーションを確認する
添付書類を開くには、相手も同じアプリケーションソフトを使用している必要があります。使用者の多いWordやExcelなどが問題になることはほとんどありませんが、専門性の高いアプリケーションで作成したデータの場合は、事前に確認をとっておくと良いでしょう。相手の環境で開ける形式に変換するなど対策が可能となり、スムーズにやりとりを進めることができます。

添付データを送るときに意識したい3つのポイント

うっかりミスが大きなトラブルにつながることも!

ほとんどの人は、日々の業務でメールのやりとりをしており、上記で解説した機能については当然理解していると思います。そうであっても、気の緩みからうっかりミスを起こしてしまうことがあるのです。

例えば、「BCC」に入力すべき宛先を「CC」に入れて送ってしまうというミス。宛先に同業者が含まれていれば、「あの会社とも取引していたのか。うちの情報を流しているのか?」などと信用を失うことになりかねません。

送信ミスに気づいたら、すぐに上司に報告して対処しましょう。内容の重要度が高い場合で、CCに指定した宛先が10人未満であれば、電話で謝罪をし、送ったメールを削除してもらうよう依頼するのがベストです。宛先が大人数の場合は、個別に謝罪と削除依頼のメールを送信しましょう。

また、添付するデータを間違えて、社外秘のデータを得意先に送信してしまった。もしくは、宛先を誤り、同僚に転送するメールを社外の人に転送してしまったというミスも考えられます。重要文書の流出は、売上や信用、ブランドイメージに関わる深刻な問題です。流出した文書の重要度が高い場合は、自分一人で対処しようとせず、すぐに上司に相談すること。相手が削除しない限り、送信したデータは相手のパソコンに残ってしまうため、謝罪はもちろん、送信したメール、あるいは添付したデータの削除を徹底して依頼しましょう。

こうしたミスは、誰にでも起こる可能性があるものです。メールアドレスや添付データは、大切な情報であることを認識し、取り扱いには十分注意しましょう。万が一ミスしてしまったときは、迅速にかつ誠実に対応することが大切です。

PROFILE

平野 友朗
平野 友朗ひらの・ともあき
一般社団法人日本ビジネスメール協会 代表理事。株式会社アイ・コミュニケーション代表取締役。北海道生まれ。筑波大学人間学類で認知心理学を専攻。広告代理店勤務を経て、独立。ビジネスメール教育の第一人者として、研修などでの講演は年間150回以上、テレビや新聞などのメディア出演は1500以上に達する。官公庁や民間企業など、業種や業態、職種を問わず、幅広い年齢層に向けた指導やコンサルティングを行っている。著書は37冊。

記事公開:2023年10月