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仕事の効率をアップさせ
信頼度を高めるビジネスメールのポイントを解説します。

仕事が速くなる
ビジネスメール術

仕事が速くなるビジネスメール術

vol.04

「読みたい」「読みやすい」と思わせる
メールのビジュアルを整えるコツとは。

仕事が速くなるビジネスメール術

メールを読んでもらえるかどうかは、
内容よりも“ビジュアル”で決まる!

私たちはメールを開いたとき、「どんなことが書いてあるか」よりも先に「どんな見た目か」で読むべきかどうかを瞬時に判断しています。つまり、どんなに上手な文章で書かれていたとしても、パッと見て文字で埋め尽くされているメールだと、相手に「読みづらいな」と思われてしまうのです。

「読みづらい」見た目のメールには、以下のような特徴があります。

  • 1行の文字数が多い(30文字以上)
  • 空白の行がない
  • 改行がない
  • 箇条書きにすべき事柄が文章で書かれている
  • 「1ブロック」の文章が5行以上になっている

こうしたメールを送ってしまうと、相手はメールを開いたときの画面に抵抗を感じ、読む気が失せてしまうかもしれません。そうなると、重要な用件でなければ後回しにされたり、読んでもらえたとしても良くない印象を与えたりすることになり、結果的に仕事をスムーズに進めることはできなくなるでしょう。

そのため、私は「ビジネスメールにおいては文章力を磨くより、ビジュアルを整えること」に注力すべきだと考えています。

読みやすいメールを作成するポイントは「ブロック化」

では、「読みやすい」と思わせるのは、どのようなビジュアルのメールなのか。それは、「レイアウトが整っている」メールです。パッと見た印象として、文字と空き(スペース)がバランスよく配置されていると、グッと読みやすくなります。

レイアウトを整えるコツは、20〜30文字程度で改行すること、そして、文章のまとまりごとに「ブロック(文章の塊)」をつくることです。

ブロックは、1つにつき5行以内でまとめられると理想的です。そして、ブロックとブロックの間には1行分の空きを入れましょう。このとき、一文ごとに空きを入れると、文と文の関連がつかみにくくなり、間延びした印象を与えてしまうため、注意が必要です。

1行空きでブロックが分かれていると、単純にメールが読みやすくなるだけでなく、本題となるしっかり読んでほしい箇所と、定型の挨拶文のような斜め読みで構わない箇所が分かりやすくなります。そのため、メールを受け取った人がサッと目を通しただけでも、書き手の意図を明確に伝えることができるのです。

メールのレイアウトを整えるコツ

情報をブロックごとにまとめるときに意識してほしいのが、「関連する情報を近くに置く」ということです。例えば、イベント参加者への案内メールであれば、日時や会場の住所、電話番号などを記載するでしょう。このとき、当日の緊急連絡先(連絡方法)も近くに記しておくことで、参加者が当日遅刻しそうになってメールを見返した際に、すぐに連絡先を見つけることができます。仕事の速い人は、こうした細やかな配慮をすることで、相手からの素早いレスポンスを引き出しているのです。

また、ビジュアルという観点でいうと、「漢字」の使い方にも注意が必要です。「有難う御座います」「宜しくお願い致します」などと必要以上に漢字を使用してしまうと、読みづらい上、ブロック全体が“黒っぽく”見えてしまいます。人によってはそれだけで読む気が失せてしまいます。ひらがなと漢字をバランスよく使い、見た目の読みやすさを意識してみてください。

箇条書きを効果的に使って、
相手の理解度をアップさせる

メールのビジュアルを整えるには、箇条書きも効果的。日時や場所、住所、連絡先といった情報を記載する場合は、項目ごとに箇条書きでまとめると、スッキリ見せることができます。さらに、重要な点がコンパクトにまとまるので、どこに注意して読めばいいのか、分かりやすくなります。要点がつかみやすくなるので、誤解も生じません。

人間の視線の動きを追跡できる「アイトラッカー」という装置を用いて、メールを読むときに視線がどう動くかを観察した実験を行ったことがあります。その結果、箇条書きのない、文章ばかりのメールを読むときは、読み手の視線がメールの上から下まで移動した後、再び上に戻ったり、同じ部分を何度も注視したりと、視線が定まりませんでした。文章の中でどこが重要な点なのか分からず、全体をじっくり読まないと要点を絞れていないことが推測できます。

それに対して、箇条書きを用いて書かれた読みやすいメールの場合、箇条書きの部分に視線が固定されていました。要点をつかみ、集中して理解できているので、箇条書きのない文章に比べて読み手の負担は軽減されていると考えることができるでしょう。

仕事の速い人は、さらに「何を箇条書きにしたら効果的なのか」という点も考えています。例えば、日時や場所などの情報だけでなく、以下のような内容も箇条書きにしているのです。

  • 交渉時に相手に提示する条件(できること/できないこと)
  • (クレームを受けたときに)自社が対応可能な事柄
  • 社内調整が必要な案件で他部署に協力してほしいこと

こういった内容は、文章で伝えると情報が増えてかえって分かりにくくなったり、誤解を招いたりする可能性があります。箇条書きにすることで、相手に伝えたい内容を的確に、かつ読み手に負担をかけずに伝えることができるため、無用なトラブルを避けることができます。

このように、ビジュアルに配慮して情報を整理することで、内容についての相手の理解度を上げることができます。相手がスムーズに理解できると、すぐに返事をもらえたり、無駄なメールのラリーが発生したりしないため、仕事のスピードを上げることにつながるのです。

PROFILE

平野 友朗
平野 友朗ひらの・ともあき
一般社団法人日本ビジネスメール協会 代表理事。株式会社アイ・コミュニケーション代表取締役。北海道生まれ。筑波大学人間学類で認知心理学を専攻。広告代理店勤務を経て、独立。ビジネスメール教育の第一人者として、研修などでの講演は年間150回以上、テレビや新聞などのメディア出演は1500以上に達する。官公庁や民間企業など、業種や業態、職種を問わず、幅広い年齢層に向けた指導やコンサルティングを行っている。著書は37冊。

記事公開:2023年12月