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わかる!コンプライアンス
最近よく話題になるものの、意外と意識しづらいコンプライアンス。vol.15
情報のデジタル化が進み、誰でも必要な情報を手軽に検索、閲覧、保存できるようになりました。多くの人が便利さを享受する一方、危機にひんしているのが著作権をはじめとする知的財産権です。簡単にコピーできるデジタル情報は、私たちに「権利とは何か」という問いを突き付けているといえます。今回は知的財産権のひとつである、著作権について考えてみましょう。
知的財産とは、人間の幅広い知的創造活動の成果です(例:発明、考案、植物の新品種、意匠、著作物、商標、商号など)。ここで押さえておきたいのは、知的財産は「財産的価値を有する情報」である点です。情報は簡単に模倣でき、利用されることで減ったりなくなったりすることはありません。知的財産は、「物」ではない価値とされています。
そして、知的財産は、知的財産権制度によって保護され、創作者に一定期間の権利保護を与えています。代表的なものに、特許権や実用新案権、意匠権、著作権、商標権などがあります。知的財産権は、大きく分けると下記の図のように著作権、産業財産権(工業所有権)、その他の3つで構成されています。
次に、今回のテーマである著作権に注目してみましょう。著作権は、文化的な創作物を指します(例:小説、音楽、絵画、地図、アニメ、漫画、映画、写真など)。創作されたものを著作物、創作した人を著作者といいます。著作権は、特許権や商標権のように届け出を必要とせず、著作物が創作された時点で自動的に権利が発生します。そして、著作者の死後70年まで保護されるのが原則です。
著作者には、次の2つの権利が保障されています。
著作者の権利
産業と関わりの深い特許権や商標権などは、特許庁が管轄していますが、著作権は、文化の発展を目的として文化庁が管轄しています。著作権の理解と保護は、企業にとっても文化のバロメーターを示すものといえます。
著作権法では、著作権者などに許諾を得ることなく著作物を利用できる範囲が定められています。家庭などでの私的利用や教育目的による複製はOKですが、利益につながる商業利用はNGです。また、著作物の一部を使用する際は、引用する必然性があったり、引用部分が明確に分かることなどが必要とされます。
著作物が自由に使える範囲
近年増えているのが、デジタルデータに関する著作権法違反です。検索で見つけた画像をダウンロードして加工し、簡単に公開できる環境では、著作権に対する意識は薄れがちです。著作権法違反になる事例を見てみましょう。
著作権法違反の例
では、著作権法違反となった場合、どうなるのでしょうか。著作権法違反は、親告罪であるため、著作者からの訴えで発覚します。違反となった場合、著作者から違反者に次のような対処がなされます。
個人の場合、侵害した権利にもよりますが、最大で1,000万円以下の罰金が科せられます。これが法人になると、著作権の侵害で3億円以下の罰金と金額が大きく跳ね上がります。刑事告訴では10年以下の懲役ですが、悪質な場合は、懲役刑と罰金刑がダブルで科せられることもあります。
著作物にはそれを考え、創造した著作者の努力が詰まっています。著作権や知的財産権を軽視することは、社会に粗悪な模造品を氾濫させ、将来的には文化の発展を阻害する要因となります。企業内部においても、著作権を理解し尊重する意識の醸成が、企業を守り、ひいては、文化的な価値を高めていきます。
SNSの企業の公式アカウントの投稿が、思わぬ炎上につながるニュースは枚挙にいとまがありません。公開しようとしている情報(テキスト、写真、画像、動画など)はどこから来たものなのか、著作権に問題がないのか、しっかりチェックすることが大切です。
富士フイルムグループでは、コンプライアンスを「法律に違反しないということだけでなく、常識や倫理に照らして正しい行動をとること」と定義しています。企業活動の基本ポリシーとして「富士フイルムグループ 企業行動憲章・行動規範」を制定し、法令や社会倫理に則った活動の徹底を図るとともに、コンプライアンス宣言を通じて、事業活動においてコンプライアンスを優先することを富士フイルムグループ全従業員に周知徹底しています。
イラスト:佐々木 公(イラストレーター)
記事公開:2022年3月
情報は公開時点のものです