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わかる!コンプライアンス

最近よく話題になるものの、意外と意識しづらいコンプライアンス。
基礎知識、違反を防ぐ方法などを解説します。

vol.17

環境問題への取り組み、今のままで大丈夫?
真剣に考えないとコンプライアンス上のリスクにも!?

弁当はおいしくても、食べた後のごみの分別が面倒ですね~
確かにプラスチック、割り箸、生ごみなど、細かく分けないといけないもんな
僕、実は忙しいとき、そのまま捨ててしまってるんです。清掃員の人が分別してくれると期待して
えっ! それだと資源がリサイクルされないんじゃないかな?

さまざまな法令で地球温暖化に取り組む政府
環境問題に企業の積極的な関与が求められる時代へ

記録的な豪雨や干ばつなど、日本でも気候変動のニュースを目にすることが増えています。気候変動の原因として懸念されているのが、世界の平均気温が上昇する地球温暖化です。私たちの暮らしを育んできた豊かな地球環境を次世代に残すために、地球温暖化を軽減させる対策に各国政府が取り組んでいます。

日本では京都議定書(気候変動に関する国際連合枠組条約)を受けて、1998年に「地球温暖化対策の推進に関する法律」が公布されました。その後2021年には、「地球温暖化対策計画」が閣議決定されました。この計画では、2030年度に温室効果ガス46%削減(2013年度比)を目指すことが示され、二酸化炭素(CO2)を含む温室効果ガス削減の道筋が掲げられています。

今年報告された世界経済フォーラム「グローバルリスク報告書2022」によると、今後10年間における重大リスクの上位に「気候変動対策の失敗」「異常気象」「生物多様性の喪失」という環境に関するリスクが挙がりました。環境問題は国境を超え、長期にわたって深刻な影響を及ぼす重大な課題であることが分かります。

こうした中、持続可能な社会を実現するための企業の取り組みとして注目されているのが「ESG」です。ESGとは、環境(Environment)、社会(Social)、ガバナンス(Governance)の頭文字を取った言葉で、この3つに配慮した経営が評価され、新たな投資を呼び込む流れが生まれています。これからの時代を生き抜く企業にとって、経営的な観点からも環境問題への対策は無視できないテーマとなっています。

1800年代の工業化から増えた温室効果ガス
製品・サービスのあり方を見直し、地球温暖化を防ぐ「LCA」とは?

地球温暖化は、大気中のCO2・メタン・一酸化二窒素の増加によって引き起こされます。温室効果ガスと呼ばれるこれらの気体は、ビニールハウスのように地球をすっぽり包んで暖めます。工業化が進んだ1800年代後半から大気中の温室効果ガスは増加し、世界の平均気温を上昇させてきました。

2021年に発表された、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の最新報告書によると、1950年以降は陸上のほとんどの地域で大雨の頻度と強度が増し、大きな台風に襲われる割合も増加していることが分かりました。気温の上昇は北極圏にある海氷を溶かし、世界の平均海面水位を上昇させ、海抜の低い地域が水没するリスクをもたらしています。

工業化によって増加した温室効果ガスを、製品・サービスのあり方を見直すことで改善しようという動きが「ライフサイクルアセスメント(LCA)」です。ライフサイクルアセスメントとは、私たちが使う製品がどうやって作られ、使われ、廃棄・リサイクルされるのかという一連の流れを、環境負荷削減の観点からチェックする手法です。つまり、個々の製品のライフサイクル全般に目を向けることで、環境負荷を包括的に把握しようとするものです。さまざまな企業が自社製品・サービスを開発・製造する際、こうした指標を取り入れ、環境報告書(CSR報告書、サステナビリティレポート)などで公表しています。消費者としては、ライフサイクルアセスメントを参考に製品を選択することで、環境負荷の削減に寄与することができます。

私たちの小さな行動が、豊かな地球環境を守る!
オフィスで今日からできる温暖化対策

2015年に採択された「パリ協定」では、今世紀後半に温室効果ガスの排出量を実質ゼロにする目標が掲げられています。それに向けて環境省を中心にさまざまな取り組みが紹介されています。その中にはオフィスでできる対策もあります。いくつか見てみましょう。

COOL CHOICE チャレンジ

「地球温暖化対策を実践する1週間」というサブタイトルがついたこの取り組みは、企業や個人が地球温暖化の現状を知り、省エネ・低炭素型の製品への買い換え・サービスの利用・ライフスタイルを選択することを提案しています。

これからのオフィスでの取り組みとして注目されるのは、働き方改革でしょう。テレワークが推進されることで、通勤の移動で排出されるCO2削減につながります。また、出社する人が減り、オフィスのスペースが縮小することで、照明や空調、コピー機などの共用設備にかかっていた電力は大きく削減できるでしょう。さらに、テレワークやペーパーレス化で書類のやりとりが減れば、紙資源だけでなくごみ自体を減らすことにもつながっていきます。紙やプラスチックは、ごみに混ぜれば処分されますが、きちんと分別すれば資源としてリサイクルされ、ごみの削減が期待できます。

オフィスでの取り組み例
【出典】環境省「COOL CHOICE ウェブサイト」より作図

ゼロカーボンアクション30

2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにすることを目指し、私たち一人ひとりが取り組めることをまとめたものです。8つのカテゴリーから30の具体的な行動が挙げられています。大切なのは、できることから始めることです。身近なものから取り組んでみましょう。

ゼロカーボンアクション30
【出典】環境省「COOL CHOICE ウェブサイト」より作図

日本の温室効果ガスの排出量の約6割は、衣食住や移動といった日々の暮らしの中で排出されていると考えられています。買い物や移動で「なるべくCO2を排出しないものを選ぶ」人が増えれば、その積み重ねが地球温暖化の改善につながっていくことでしょう。

消費ベースでの日本のライフサイクル温室効果ガス排出量
【出典】環境省「令和4年版 環境・循環型社会・生物多様性白書」より作図

ますます深刻化する地球温暖化の中にあって、今や環境問題に取り組まないことは、企業経営にとってリスクであり、コンプライアンスの面でも大きな問題だと考えられるようになりました。実際、環境への配慮を要求する規制は年々厳しくなり、「環境コンプライアンス」という言葉もあるほどです。

私たちの生活を取り巻く環境・社会・経済が保全され、将来も豊かな暮らしを続けることを目指す持続可能性には、無駄を減らして資源を生かす観点が欠かせません。それは仕事をするオフィスや家など、私たちの暮らし全般に関係するからです。環境問題への取り組みが常識として求められるようになりつつある中、いち企業、いち社会人として、環境問題について今一度考え、行動に移すことが求められています。

「面倒だからいいだろう」「自分一人くらいなら影響はないだろう」と考えず、地球温暖化を自分の問題として捉えることが、遠い道のりに見えても地球環境を守ることにつながっていくのです。

ごみの分別を人任せにするのは、巡り巡って自分が住む環境を壊していくんですね。反省しています
そうだね。社会人として恥ずかしくないように、環境問題に無頓着にならず、コンプラ意識を高く持つことが大切だね
未来の地球のために今何ができるか考え、身近に取り組めることから行動に移していかなくっちゃ!

富士フイルムグループの取り組み

富士フイルムグループでは、コンプライアンスを「法律に違反しないということだけでなく、常識や倫理に照らして正しい行動をとること」と定義しています。企業活動の基本ポリシーとして「富士フイルムグループ 企業行動憲章・行動規範」を制定し、法令や社会倫理に則った活動の徹底を図るとともに、コンプライアンス宣言を通じて、事業活動においてコンプライアンスを優先することを富士フイルムグループ全従業員に周知徹底しています。

PROFILE

塚脇 吉典つかわき・よしのり
一般社団法人日本コンプライアンス推進協会理事。「コンプライアンス経営」に関する啓発や、情報セキュリティ対策(導入・運用・保守)支援、BCP対策など幅広く活動する。伊東市情報公開審査会/伊東市個人情報保護審査会委員。2018年JCPA出版より『組織は人、人の心を動かし、組織を変える56の法則』を出版、「見える化分析カード」を用いた企業リスク診断システムを発表。

イラスト:佐々木 公(イラストレーター)

記事公開:2022年7月