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わかる!コンプライアンス
最近よく話題になるものの、意外と意識しづらいコンプライアンス。vol.19
法令や社会規範、モラルなどを守ることを意味するコンプライアンスには、取り組むべき課題がたくさんあります。企業も私たちが暮らす社会の一部分を担う存在であり、よりよい社会を実現するためには、ただ法令を順守するだけでなく、社会のルールやモラルに従わなければなりません。ところが、多くの企業がコンプライアンスの順守に取り組む一方で、各種ハラスメント、情報漏えい、著作権違反などをはじめとするコンプライアンス違反は後を絶ちません。それはなぜなのでしょうか。
「コンプライアンス対策がうまくいかない」と悩む企業の中には、表面的な対策しかできていないケースが見受けられます。コンプライアンスは、大きな木をイメージすると分かりやすいでしょう。地面から伸びた木に茂るたくさんの枝葉が、コンプライアンスに関する課題です。そこには不正競争の防止、腐敗防止、反社会的勢力対策など、たくさんの枝葉があります。近年では、ダイバーシティやSDGsのような新しい枝葉も登場しています。課題が次々と生まれる今日では、厳格なルールだけで違反を防ぐことが難しくなっているのです。
コンプライアンスという木を支えているのは、「人や組織」です。コンプライアンス違反を根絶するには、枝葉に合わせた規則やルールを作るだけではなく、違反が生まれる土壌(職場)を改善することが大切です。コンプライアンス違反が起きた現場には、無関心やモラルの低下が見られます。その大きな要因として、人や組織のディスコミュニケーションが挙げられます。今回は、コンプライアンスとコミュニケーションの関係を考えてみましょう。
職場のコミュニケーションに問題があると、どのようなことが起こり得るでしょうか。ディスコミュニケーションという観点から、コンプライアンス違反が生まれやすい職場の特徴を見てみましょう。
こうした職場を放置しておくと、下記のような弊害が生まれます。
コミュニケーションの遠慮やなれ合いは、不祥事を生んだり、問題の表面化を遅らせたりする諸悪の根源といえます。「仕事さえやってくれればいい」と不健全な空気を放っておくと、コンプライアンス違反の種となりかねません。
コンプライアンス違反を防ぐ第一歩は、健全なコミュニケーションが作る「良いことは良い、悪いことは悪い」と言える組織風土です。自由に意見を言えるということは、そこに信頼関係があるからにほかなりません。普段の何気ない会話でも、次のポイントを意識することで、社員同士の間に信頼関係が生まれていくでしょう。
信頼関係を築くコミュニケーションのポイント
もう一つ、仕事のコミュニケーションで大切なのは、相手が理解し、納得したかどうかです。それは、「伝える」ことではなく「伝わる」ことだといえます。上司と部下など立場が異なる場合において顕著ですが、自分が伝えたからといって、相手に伝わっているとは限りません。「言ったのにやっていない」と相手を非難する前に、少し立ち止まって「自分は相手に伝わる言い方をしていたのか」と自問自答することが大切です。一方通行の会話に注意し、相手を理解するよう努め、伝わる方法を選んで伝える。そしてきちんと相手に伝わっているか確認して初めて、「伝わる」コミュニケーションになります。
健全なコミュニケーションは、一緒に働く仲間を尊重し、率直に意見を述べ、互いに切磋琢磨する文化を生み出します。それが企業の安定した経営に直結し、ひいては企業の持続的な成長にもつながっていくことでしょう。
一見遠回りに見えても、職場での健全なコミュニケーションは、人と人との間に信頼感と安心感を生み、コンプライアンス違反の種を早期につぶす強力な武器となります。「たかがコミュニケーション」と捉えることなく、そこで働く人全員にとって風通しがよく、居心地のよい職場づくりを目指し、コンプライアンス違反を未然に防ぎましょう。
富士フイルムグループでは、コンプライアンスを「法律に違反しないということだけでなく、常識や倫理に照らして正しい行動をとること」と定義しています。企業活動の基本ポリシーとして「富士フイルムグループ 企業行動憲章・行動規範」を制定し、法令や社会倫理に則った活動の徹底を図るとともに、コンプライアンス宣言を通じて、事業活動においてコンプライアンスを優先することを富士フイルムグループ全従業員に周知徹底しています。
イラスト:佐々木 公(イラストレーター)
記事公開:2022年10月
情報は公開時点のものです