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わかる!コンプライアンス
最近よく話題になるものの、意外と意識しづらいコンプライアンス。vol.5
企業のコンプライアンスを考えるとき、プライバシーや個人情報の保護はとても重要です。ところが、そもそもの正確な意味を理解している人は、意外に少ないようです。混同されることも少なくありません。
プライバシーとは、私たちの生活に関する情報が公開から守られる権利や、それを保障することを指します。プライバシーは、憲法で保障された国民の基本的権利。プライバシーは尊重されるべきであり、むやみにこれを侵してはなりません。憲法ではプライバシーと同様に表現の自由も保障されていますが、SNSや週刊誌などでの「悪質で意図的なプライバシー侵害」は憲法違反となります。
また、プライバシーはかなり広い概念です。過去の記事で触れた例でいえば、本人の了解を得ずに性的指向や性同一性等を暴露する「アウティング」は、ハラスメントであると同時にプライバシーの侵害でもあります。
一方、プライバシーで保護されるべきものの一部といえるのが個人情報です。個人情報には、企業が収集した顧客情報(住所、氏名、生年月日、マイナンバー、クレジットカード番号など)も含まれます。こうした個人を特定できる情報を漏えいから守ることが「個人情報保護」と呼ばれます。
情報化の急速な進展により、個人情報が持つ価値はますます大きくなっています。漏えいした個人情報が後日、詐欺などの犯罪に利用されることも珍しくありません。そこで平成17年4月に施行された個人情報保護法では、「個人情報を取り扱う事業者は、個人情報保護体制を構築し、自らの事業の中で個人情報の有効活用とその保護を両立させなくてはならない」と定められています。
プライバシーの保護には、「一人ひとりのモラル改善」と「情報セキュリティ対策(個人情報保護)」が必須となっています。
プライバシー侵害のなかでも、近年特に問題となっているのが、SNSに関するものです。その事例を見てみましょう。
SNSへの投稿にはどこまでがOKでどこからがNGなのか、明確な基準は存在しません。個人情報がSNSなどのインターネットに出回ってしまうと、なかなか消すことができないという問題があります。スクリーンショットで個人が証拠を残すようなことも少なくありません。投稿する前に、自分の書くことがどんな影響を与えるか、落ち着いてチェックすることが必要です。
情報セキュリティの穴を突かれた大規模な個人情報漏えいは大きなニュースになりますが、従業員のモラルの低さにより、インターネットに個人情報をさらしてしまうプライバシー侵害も社会問題化しています。
職場でのプライバシー侵害を避けるためには、「職場や業務を通じて知り得た、個人の私生活にかかわる情報を、本人の明確な同意なく勝手に開示しない」という共通認識を持つことが大切です。
こういうと少し難しく感じるかもしれませんが、その基本にあるのは情報の発信源となる人のモラルです。その人の情報を公開することで相手がどう感じるのか、どのような不具合が生じるのか、そして自分にどのような顛末が待っているのか。相手の立場に立つと同時に自分の将来を守るための想像力を養うことが、プライバシー侵害から個人、そして企業を守ります。
富士フイルムグループでは、コンプライアンスを「法律に違反しないということだけでなく、常識や倫理に照らして正しい行動をとること」と定義しています。企業活動の基本ポリシーとして「富士フイルムグループ 企業行動憲章・行動規範」を制定し、法令や社会倫理に則った活動の徹底を図るとともに、コンプライアンス宣言を通じて、事業活動においてコンプライアンスを優先することを富士フイルムグループ全従業員に周知徹底しています。
イラスト:佐々木 公(イラストレーター)
記事公開:2021年4月
情報は公開時点のものです