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「分け方」を変えればその問題は解決する!

vol.6

会議で多くの参加者から発言を引き出す
「3つの分け方」とは?

なぜ若手社員は会議で黙りこくってしまうのか?

よく「日本の会社は会議が多く、時間も長い」と言われます。
しかも、時間をかける割には結論が出ず、次に持ち越されてまた会議を開く、といった堂々巡りに陥ることが珍しくありません。結果的に会議の数もどんどん増えてしまうわけです。

会議が長引く原因のひとつは、参加者からなかなか発言が出ないことです。
言いたいことはあるけれど、「変なことを言って否定されるのが恥ずかしい」とか、上司の顔色をうかがって「余計なことは言わないほうがいい」などと黙りこくってしまう人がいます。このように、周囲への気後れや忖度(そんたく)によって発言を控える傾向は、若手社員ほど強いようです。

発言が出ないと議論が進まず、無駄な時間がどんどん過ぎてしまいます。結果的に生産性が下がるだけでなく、意思決定のスピードも遅くなってしまいます。
そこで今回は、会議で多くの参加者から発言を引き出す「3つの分け方」を紹介しましょう。

生産性を高めるには!? 会議がうまくいく3つの分け方

若手とベテランに順番を分けて発言させる

まずは「発言する順番を分ける」ことです。
たとえば、ベテランと若手が集う会議の場合、最初に若手に発言させ、次にベテランが発言するというように順番を分けたほうが、若手の発言を引き出しやすくなります。

最初にベテランが発言し、他のベテランが対応するという会議の流れになると、若手はどうしても話に入りにくくなってしまいます。そこで、若手の中から意見のありそうな人を指名して、口火を切ってもらうのです。これだけでも、若手はかなり話しやすくなるはずです。

この場合、ポイントとなるのは、参加者がそろった時点で「意見のありそうな若手」と「なさそうな若手」を見分け、ありそうな若手を最初に指名することです。たいていの場合、意見のある社員は上を向いていますし、ない社員はうつむいています。

意見のある若手に口火を切ってもらえば、うつむいている若手も「あんなふうに発言すればいいんだ」と安心できるので、意見が引き出しやすくなるはずです。

メリットとデメリットに分けて発言させる

ただし、どんなに活発な意見が出たとしても、後から発言するベテランたちが否定的な意見を述べると、若手が一気に黙りこくってしまうこともあります。

そこで次にお勧めしたいのが、発言を「メリットとデメリットに分ける」という方法です。

どんな企画や提案にも、必ずメリットとデメリットの両面があります。そこで、まずはそれぞれのメリットについて発言してもらい、次にデメリットについて話し合ってもらうというように順番を分けるのです。

たとえば「働き方改革」のための会議で、若手から「ワークライフバランスを考慮して、残業時間を削減してはどうか?」という意見が出たとします。これに対し、ベテランから「業務が滞ってしまう」とか「業績達成が困難になるのではないか?」といった否定的な意見が噴出すると、若手は何も言えなくなってしまうはずです。

しかし、「いまの意見について、メリット、デメリットを意識しながら発言してもらえますか?」と促せば、ベテランも無下に否定的なことばかりは言えなくなるはずです。

「うーん、強いて言えば仕事の仕方にメリハリが出るかな……」「人件費の削減が期待できるかもしれない」といった発言が増え、より前向きで活発な議論が繰り広げられるようになるでしょう。

会議のメンバーを若手とベテランに分ける

さらに思い切って、会議のメンバーを「若手とベテランに分ける」という方法もあります。

そもそも若手の発言が引き出しにくいのは、ベテランに対する遠慮があるからです。それならいっそのこと、会議そのものを分けてしまったほうが若手の本音を引き出せるはずです。

若手とベテランそれぞれの意見を別々の会議でまとめ、両方の意見をもとに経営陣が方向性を決めれば、決定が早くなる可能性もあります。

だらだらしがちな会議も、「分け方」次第で効率よく、実りのあるものになるわけです。

“分け方”のポイント
発言の順番や内容、参加者を上手に分けると、だらだらしていた会議が活性化する

PROFILE

下地寛也しもじ・かんや
コクヨ株式会社ワークスタイルコンサルタント。コクヨ入社後、オフィスの設計に従事。その後、働く環境と従業員の行動に関する分析・研究などの業務を担当。現在は経営管理本部でコクヨグループの働き方や風土・文化の改革にも取り組んでいる。著書に『一発OKが出る資料 簡単につくるコツ』(三笠書房)、『困ったら、「分け方」を変えてみる。』(サンマーク出版)など。

記事公開:2019年2月