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「分け方」を変えればその問題は解決する!

vol.7

けんかにならない「おこづかい」や
「おやつ」の分け方とは?

なぜ「おこづかい」は年齢ごとに不平等なのか?

ここまで、主にオフィスやビジネスシーンにおける「分け方」のヒントを解説してきましたが、今回は生活にかかわる「分け方」について紹介しましょう。

私には4人の娘がいます。たまたまですが、現在、長女は大学生、次女は高校生、三女は中学生、四女は小学生です。

子どもが4人もいると、お金やモノを分け与えるとき、全員がすっきり納得してくれるようにいろいろと頭を悩ませるものです。

例えば、会社帰りにイチゴを買ったとしましょう。箱の中に入っているイチゴは20個です。均等に分ければ娘1人につき5個ずつですが、食べられる量は小さい子のほうが少ないので、四女には3個、三女には5個、次女と長女にはそれぞれ6個ずつといったように、分ける量に差を付ける方法もあります。

しかし、わが家の子どもたちはこれでは絶対に納得しません(おそらく、あなたの家庭でも同じではないでしょうか?)。

なぜなら、イチゴは食べ物ではあっても「おやつ」のようなものなので、小さな子どもでも「できるだけたくさん食べたい」と思うからです。

ですからわが家では、果物だけでなく、チョコレートやビスケットなどの「おやつ」は、必ず平等に分け与えるようにしています。

ただし、「おこづかい」は別です。
大学生や高校生になれば、友だち付き合いなどでそれなりの出費がかかります。小学生の四女と同じ「おこづかい」では納得しないでしょうし、まだお金の使い方を知らない小学生に必要以上に「おこづかい」をあげるのも健全とはいえません。「おやつ」と違って、「おこづかい」の分け方が年齢によって不平等になるのは、当然のことだといえます。

もめごと勃発! けんかにならない上手な分け方とは!?

数に限りがあるものを分けるときの3つの原理

「おこづかい」や「おやつ」のように、数(金額や個数)に限りがあるものの分け方には、次の3つの原理があります。

① 必要原理…必要としている人に多くの資源を分配する方法
② 公平原理…その人の「貢献度」に応じて資源を分配する方法
③ 平等原理…結果や貢献度にかかわらず、資源を均等に分配する方法

先ほどの例で、娘たちに同じ数ずつイチゴを配るのは、③の平等原理。そして、年齢に応じて「おこづかい」に差を付けるのは、①の必要原理です。

資源は、常に平等に分配されるものではありません。国の政策でも、貧しい人や病気の人には、より多くの予算が割かれています。「必要としている人」には、より多くの資源を分け与えることが適切だという考え方もあるわけです。

では、②の公平原理とはどのようなものでしょうか?

わかりやすくいうと、これは「ごほうび」の原理です。

例えば、一生懸命勉強してテストの成績が上がった、受験に合格した、ピアノの発表会で素晴らしい演奏ができたといったときに、その子どもの分だけ「おこづかい」や「おやつ」を多めにあげることです。

成果をあげたことや、何かに貢献してくれたことへのねぎらいとして分け与える量に差を付けるのであれば、ほかの子どもたちも渋々ながら納得はしてくれることでしょう。

「平等」と「公平」はまったく別のもの

よく「平等」と「公平」は混同されがちですが、公平とは「誰もが納得できる理由」に基づいて、限られたモノやお金、機会などを分け与えることです。

年齢や必要性にかかわらず、子どもたちには常に平等にモノやお金を分け与えるという考え方もありますが、小さいうちから「頑張った人は報われる」という公平原理を教えることも、子どもの成長を促すのではないでしょうか。

「必要原理」「公平原理」「平等原理」の3つは、どれが正しくて、どれが間違いというものではありません。繰り返しになりますが、みんなが食べたい「おやつ」を何の理由もなく不平等に分け与えたりすると、けんかになるのは目に見えています。

ビジネスにおいても、この3つは使い分けされているでしょう。

仕事に使う経費は「必要原理」で分配されます。営業など販促や接待などでお金が必要な人にはたくさん分配されるのが普通でしょう。給与や賞与は「公平原理」です。個々の評価を公平にするのは難しいですが、会社に貢献した人に多くお金を渡すという考え方。そして福利厚生は「平等原理」です。役職や会社への貢献度は関係なく、社員であれば同じサービスが受けられます。

その時々の状況や目的に応じて、3つの原理を上手に使い分けてみてください。

“分け方”のポイント
限られた資源の分け方は「必要原理」「公平原理」「平等原理」で考える

PROFILE

下地寛也しもじ・かんや
コクヨ株式会社ワークスタイルコンサルタント。コクヨ入社後、オフィスの設計に従事。その後、働く環境と従業員の行動に関する分析・研究などの業務を担当。現在は経営管理本部でコクヨグループの働き方や風土・文化の改革にも取り組んでいる。著書に『一発OKが出る資料 簡単につくるコツ』(三笠書房)、『困ったら、「分け方」を変えてみる。』(サンマーク出版)など。

記事公開:2019年4月