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「分け方」を変えればその問題は解決する!

vol.8

会議の意見をすっきり整理する
「ホワイトボードの分け方」とは?

人は短時間にたくさんのことを覚えられない

この記事を読んでいる方の中には、会社で会議の進行役を任されたことのある方も多いのではないでしょうか。私はワークスタイルコンサルタントという仕事柄、お客さまの会社における「仕事の進め方」に関する悩みをいろいろと伺うのですが、「会議の進め方について困っている」とおっしゃる方が少なくありません。

会議に関する悩みで特にご相談を受けるのは「意見がうまくまとまらない」「脱線していく」「時間どおりに終わらない」というものです。あなたの会社でも、同じような問題を抱えているのではないでしょうか。

会議の意見がまとまらず、脱線していくのには大きな理由があります。会議が進むにつれて情報(意見)が多くなると、人間の頭では収拾がつかなくなってしまうからです。

私たち人間の脳は、「短時間では、あまりたくさんのことを覚えられない」という欠点を抱えています。

本来、物事を順序立てて考えるためには、必要な情報をすべて頭の中に入れてから、俯瞰的に考える必要があります。ところが、会議の場ではたくさんの情報が飛び交うため、発言された情報の全体像を頭で整理しようとしても、脳の許容量を超えてしまうのです。

プリンストン大学のジョージ・ミラー教授によると、短期記憶で人が同時に覚えられる情報は、7つ程度(5~9個)が限度だということです。ミラー教授はこれを「マジカルナンバー7±2」と呼んでいます。

つまり、発言が7個を超えて10個、20個になってくると、会議に参加している人たちは誰が、どんな発言をしたのか覚えられなくなってしまいます。その結果、何度も同じような発言が出てきて、会議が迷走してしまうのです。

ホワイトボード使っていますか? 会議の質を劇的に向上させる活用法

発言を「3つ」に分けてホワイトボードに
書き、参加者の思考を整理する

では、どうすれば会議をスムーズに進行させることができるのでしょうか?

これはどの会社でも当たり前に実践していることですが、出された意見を「ホワイトボード」にどんどん書き出して、それを俯瞰しながら話し合うのが最も効果的です。

ただし、一般的なホワイトボードは幅1.8メートル程度のものが多く、適当に板書しているとすぐにいっぱいになってしまいます。しかも、書き出した内容が「課題」なのか、「提案」なのか、単なる「報告」なのか、といった境目がつかなくなり、かえって思考を混乱させてしまうことも珍しくありません。

そこで、ぜひ試していただきたいのが「ホワイトボードを3つに分けて書く」方法です。

例えば、問題解決のための会議の場合、一般的には「問題は何か?(What)」「原因は?(Why)」「解決策は?(How)」という3つのステップで議論を進めることになります。

そこで、まずはホワイトボードを3分割するように縦に2本の線を引き、左から順に「問題(What)」「原因(Why)」「解決策(How)」を書き出していく枠を作るのです。そして、議論自体も「問題」→「原因」→「解決策」の順で進めていきます。

「What」「Why」「How」の意見の
時間配分をあらかじめ決めておく

ちなみに、これは私の経験上の話ですが、それぞれの項目に対して発言が20個以上出ることはほとんどありません。20個を超えると、似たような意見になってくることが多く、議論が同じところを回りやすくなります。

ですから、まずはそれぞれの項目について20個程度の意見が出ることを目指し、それが埋まったら次の項目に進むようにするといいでしょう。

こうすることで、参加者全員が「いまの時間帯には何を発言すればいいのか?」ということが見えてきますし、さまざまな意見(情報)が自然と整理されるはずです。

この会議の進め方では、あらかじめ3つのテーマそれぞれの時間配分を決めておくことも有効です。仮に会議が1時間だとしたら、「問題」に15分、「原因」に15分、「解決策」に30分といった具合です。時間制限を設ければ、参加者全員が集中して意見出しをしてくれるはずなので、効率よく会議が進みます。

もし、その会議時間内で「解決策」が見つからなければ、次回は「解決策」について冒頭から話し合えばいいでしょう。会議の効率化のために、ぜひ実践してみてください。

“分け方”のポイント
ホワイトボードを分けて発言を整理すると意見がまとまり、結論が出やすくなる

PROFILE

下地寛也しもじ・かんや
コクヨ株式会社ワークスタイルコンサルタント。コクヨ入社後、オフィスの設計に従事。その後、働く環境と従業員の行動に関する分析・研究などの業務を担当。現在は経営管理本部でコクヨグループの働き方や風土・文化の改革にも取り組んでいる。著書に『一発OKが出る資料 簡単につくるコツ』(三笠書房)、『困ったら、「分け方」を変えてみる。』(サンマーク出版)など。

記事公開:2019年5月