人は短時間にたくさんのことを覚えられない
この記事を読んでいる方の中には、会社で会議の進行役を任されたことのある方も多いのではないでしょうか。私はワークスタイルコンサルタントという仕事柄、お客さまの会社における「仕事の進め方」に関する悩みをいろいろと伺うのですが、「会議の進め方について困っている」とおっしゃる方が少なくありません。
会議に関する悩みで特にご相談を受けるのは「意見がうまくまとまらない」「脱線していく」「時間どおりに終わらない」というものです。あなたの会社でも、同じような問題を抱えているのではないでしょうか。
会議の意見がまとまらず、脱線していくのには大きな理由があります。会議が進むにつれて情報(意見)が多くなると、人間の頭では収拾がつかなくなってしまうからです。
私たち人間の脳は、「短時間では、あまりたくさんのことを覚えられない」という欠点を抱えています。
本来、物事を順序立てて考えるためには、必要な情報をすべて頭の中に入れてから、俯瞰的に考える必要があります。ところが、会議の場ではたくさんの情報が飛び交うため、発言された情報の全体像を頭で整理しようとしても、脳の許容量を超えてしまうのです。
プリンストン大学のジョージ・ミラー教授によると、短期記憶で人が同時に覚えられる情報は、7つ程度(5~9個)が限度だということです。ミラー教授はこれを「マジカルナンバー7±2」と呼んでいます。
つまり、発言が7個を超えて10個、20個になってくると、会議に参加している人たちは誰が、どんな発言をしたのか覚えられなくなってしまいます。その結果、何度も同じような発言が出てきて、会議が迷走してしまうのです。