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「分け方」を変えればその問題は解決する!

vol.9

「分け方」の切り口は無限
常識に縛られないことが大切。

今までの「分け方」を疑って、新しい「切り口」を求めてみる

いよいよ本連載も今回で最後となります。これまで、さまざまな「分け方」の工夫について紹介してきましたが、最後に、どうすれば新しい「分け方」がひらめくのかについて考えてみることにしましょう。

新しい「分け方」を考えるうえで何よりも大切なのは、当たり前に思っている従来の「分け方」を「これでいいのだろうか?」と疑ってみることです。

たとえばカタログを作るときには、パソコンならパソコン、プリンターはプリンターといったように、商品の種類別に分けるのが一般的です。アイウエオ順や価格順など、ほかにも「分け方」はいろいろありますが、同じページにパソコンやプリンターなどが混在してしまったら、お客さまは求める製品を探すのにひと苦労するに違いありません。

商品を種類別に分類するというのは、メーカーや店舗が、長年お客さまのことを考えながら完成させた「分け方」だといえます。

しかし、どんなに完成された「分け方」であっても、それがすべての人に適していると言い切ることはできません。たとえば、これから会社を興すお客さまであれば、パソコンやプリンター、Wi-Fiルーターといったオフィスに必要な機器をすべて購入する場合が多いので、まとめて見たいと思うかもしれませんし、特定のメーカーに愛着のある方なら、種類別ではなく、メーカー別に製品を並べたほうが探しやすいはずです。

このように、分け方には、私たちが常識と思っていること以外にもさまざまな「切り口」があります。それを認識したうえで、「こうしたらもっと面白いんじゃないか」「このほうがお客さまに喜ばれるんじゃないか」と、新しい「切り口」のアイデアを巡らせてみることが大切です。

目当てのものが探しにくい……。そんなときこそ、新しい「分け方」につながるヒントが隠れている!?

売り場の「分け方」を根底から覆したデパート

東京のあるデパートは、男性ファッション専門の新店舗をオープンする際に、デパート業界の常識であったブランド別の売り場づくりをやめて、スーツ、パンツ、シャツなどアイテム別の売り場にしました。それぞれの売り場に、異なるブランドのスーツやパンツが一緒になって売られているというスタイルです。

デパートにとっては、ブランド別のほうが販売や欠品補充などの管理はしやすいのですが、お客さまにとっては、カタログのように商品が種類別に並んでいたほうが選びやすくなります。「お客さまにとって最善の分け方は何か」ということを徹底的に考え抜いた結果、常識破りの売り場が生まれたわけです。

また、あるコンビニエンスストアチェーンは、店舗に配送する商品の「分け方」で、それまでの小売業界の常識を変え、成功を収めました。

従来の商品配送は、ブランドごとや、商品の種類ごとに納めるというものでした。しかし、この方法だと1日に何台ものトラックが店舗にやって来ることになってしまいます。そこで、1つの店舗に配送するすべての商品を1台のトラックにまとめ、配送回数を減らすことにしたのです。おかげでコンビニの店員さんたちは、1日に何度も配送を受け取る手間がなくなり、販売により多くの時間を割けるようになりました。

お客さまの立場になると、新しい「分け方」が見えてくる

このデパートの例やコンビニの例は、いずれも“常識破り”だったので、当初は業界から猛反発を受けました。しかし、これによってお客さまの満足度や店舗の業務効率が大幅に向上したのですから、受け入れられるのにさほどの時間はかかりませんでした。

このほかにも、たとえば書店の文庫本コーナーでは、まず棚を「出版社別」に分け、次に本を「著者名のアイウエオ順」で並べるのが一般的ですが、お客さまが読みたい著者の本をまとめて探せるようにするためには、著者名だけで分けたほうがいいかもしれません。

出版社別で分けるのは、欠品の確認や補充がしやすくなるという書店側の利便性によるものだと思いますが、お客さまの立場になれば、別の「分け方」が見えてくるわけです。

新しい試みをしようとすると、必ず何らかの反発があるものですが、「面白い」と思ったことは、気後れすることなく果敢にチャレンジしてみてはどうでしょうか。

これで本連載は終わりです。「分け方」の工夫次第で、ビジネスがもっと成功したり、仕事の効率がよくなったりすることがお分かりいただけたのではないでしょうか。皆さんもぜひいろいろな「分け方」を試して、さまざまな問題を解決してみてください。

“分け方”のポイント
従来の「分け方」がベストとは限らない。
「このほうが面白い」という「分け方」をいろいろ試してみよう。

PROFILE

下地寛也しもじ・かんや
コクヨ株式会社ワークスタイルコンサルタント。コクヨ入社後、オフィスの設計に従事。その後、働く環境と従業員の行動に関する分析・研究などの業務を担当。現在は経営管理本部でコクヨグループの働き方や風土・文化の改革にも取り組んでいる。著書に『一発OKが出る資料 簡単につくるコツ』(三笠書房)、『困ったら、「分け方」を変えてみる。』(サンマーク出版)など。

記事公開:2019年7月