“プレゼンテーション資料”と“説明資料”、
混同していませんか?
みなさんは「一人歩きする資料」と聞くと、どのようなイメージを抱くでしょうか。相手に誤解をさせてしまう、要領をつかんでもらえない資料……というような印象を持つ人も多いかもしれません。
ここで紹介する「一人歩きする資料」とは、“自分の説明がなくとも、読み手がスラスラ読んで内容を理解してしまう資料”のことです。その資料で取り上げている業務、製品などに詳しくない人でも、読めば自分がとるべき次のアクションがわかるようなものを指します。
これは、自分が説明することが前提のプレゼンテーション資料とは逆の位置づけにあるものですが、多くのビジネスパーソンは、“プレゼン資料”と“説明資料”の違いがわかっていません。
プレゼン資料は、英語では「ヴィジュアル・エイド=視覚的な補助」と呼ばれています。あくまで主役はプレゼンター。プレゼン資料は、そのプレゼンテーションの内容を視覚的に補助する役目を担います。対して、説明資料は、主役が資料そのもの。しっかりと説明の文があり、単体で成り立つものである必要があります。
スティーブ・ジョブズ氏のような人物が文字を最小限にしたプレゼン資料を使うのは、彼らが非常に高いスピーチ能力とスター性を持つ「主役」だからだと言えるでしょう。一般的なビジネスパーソンが、彼らのまねをしてプレゼン資料を作るのには危険が伴います。ましてや、説明資料をスティーブ・ジョブズ氏のプレゼン資料のように作ってしまっては何も伝わりません。
ではまず、どちらの資料を的確に作れるようになればいいのか、と言えば、それは説明資料です。説明資料を作ることができれば、プレゼン資料を作成するのは実は難しくありません。文字の部分をイメージ画像に変え、プレゼンターが内容を口頭説明すればよいのです。
説明資料を「一人歩きする資料」として作れれば、ビジネスパーソンにとって非常に大きなアドバンテージになります。説明が必要な資料だと、資料を渡す相手一人ひとりに説明をしてまわる時間が必要ですが、「一人歩きする資料」ならその時間が節約できるのです。
さらに、資料が自分の代わりに伝える役目を果たしてくれますから、より多くの人を巻き込み、一度に動かすことも可能になります。自分がその場にいなくても、自社の商品やサービスなどの魅力を十分に伝えてくれる「一人歩きする資料」を作成することは、今まで以上に大きなビジネスチャンスをつかむきっかけにもなるのです。