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5分でわかる 仕事効率化のツボ

アウトプットに圧倒的差を生む、仕事を効率化するポイントを紹介します。

vol.1

「仕事量は変わらないのに
働き方改革って言われても……」
そんな悩みを解決するには?

「とりあえず早く帰る」だけじゃない。
働き方改革の背景、本当の意味とは?

2019年4月に働き方改革関連法案の一部が施行されて約2年が経過し、「働き方改革」という言葉は、ビジネス社会にすっかり定着した感があります。しかし、言葉自体の浸透度にくらべ、その成果の達成度はまだ不十分といえるでしょう。「ノー残業デー」などの制度が一人歩きしている例も少なくありません。

そもそも「働き方改革」という言葉に込められた真の意味とは、どのようなものなのでしょうか。厚生労働省の発表によれば、働き方改革とは「働く人々が、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で『選択』できるようにするための改革」という意味です。

同時に、働き方改革は、「一億総活躍社会の実現に向けた改革」であるともうたわれています。政府が「一億総活躍社会」を目指す背景にあるのは、少子化によって国内の労働力人口が著しいペースで減少し続けている現状です。国立社会保障・人口問題研究所の推計結果によると、労働力人口を示す「生産年齢人口」は2013年に8,000万人とされていますが、2027年には7,000万人、2051年には5,000万人を割るものと見込まれています。

このように、少子化という国の構造的課題によって社会の人手不足は年を追うごとに深刻さを増す一方で、グローバル化などを背景に、ビジネスの現場は成果主義の進展によって業績が厳しく求められるようになっています。人手不足の状態でありながら、従業員に求められるもののハードルは上がっており、かつ職場環境が変わらないままであっては、「長時間労働の解消」が進まないのも無理はありません。

急げば、慣れれば、仕事は効率化する?

このようにあまり余裕のない職場で、構造的に特に負荷が集中しがちなのが、中間管理職層です。

「部下の管理に追われて自分自身の仕事の時間がとれない」
「年次が上がるたびに、手間のかかる仕事が振られるようになっている」
といった、会社での自分の状況に頭を抱えるようになった中間管理職の方も少なくないはずです。この改善策はどこにあるのでしょうか。

国全体における労働環境改善のために、政府は「(労働市場に参加していない)女性や高齢者を活用して働き手を増やす」「出生率を上げて将来の働き手を増やす」といった対策を推進しようとしています。とはいえ、このような長期的改革については、政策レベル、経営判断レベルで取り組む施策に関与できない立場の人たちにとっては、いつになるかわからない成果を待つしかありません。

このような状況下でも、職場・個人ですぐにでも始められる「真の働き方改革」は、「生産性の向上」です。

では、生産性の向上は、何をどのようにすれば実現できるのでしょうか。多くのビジネスパーソンはこう考えがちです。

「仕事を急いでやればいいのでは?」
「慣れれば仕事のスピードは上がるはず」

これは正しいのでしょうか?

「仕事の効率化=手を忙しく動かす」は勘違い

たしかに、「仕事ができる人」というと、手がすさまじいスピードで動いているようなイメージが浮かびます。しかし、生産性の向上、つまり仕事の効率化の正解がそこにあるとはいえません。

もちろん、作業する速さや慣れという要素が、仕事の速さに関係しているという側面は少なからずあります。しかし、ある程度以上の速さを求めてしまうと、効果のわりに体力や神経がすり減ってしまい、仕事自体が雑になるという大きなデメリットが生じます。手戻りも増え、ポジションが上がってから求められる、難易度が高く創造的な仕事のための時間や余力もなかなか生まれません。

結果、職場での評判、ひいては自身のモチベーションに悪影響を与えてしまいます。これは本当の意味での効率化とはいえません。

仕事の効率化を実現する第一歩。それは、「しなくてもいいことをやめる」。このことに尽きます。

効率化とは、「やめる」こと

アウトプットの質を担保しながら仕事にかける時間を短くするために重要なのは、まず、必要のないタスクを見きわめて捨て、他にあてられる時間をつくりだすことです。
多くのビジネスパーソンは、日々降ってくる仕事に追われて会社からも効率を重んじるよう指示されるものの、具体的な解決策を授けられることはめったにありません。そこで、次回からは、仕事の真の効率化を図っていくための具体的なノウハウを紹介します。

PROFILE

各務 晶久
各務 晶久かがみ・あきひさ
株式会社グローディア代表取締役。特定非営利活動法人人事コンサルタント協会理事長。中小企業診断士。大阪市人事に関する専門委員、大阪市特別参与、大阪商業大学大学院非常勤講師などを歴任。著書に『人材採用・人事評価の教科書』(同友館)、『メールに使われる上司、エクセルで潰れる部下』(朝日新聞出版社)、『会社では教えてもらえないアウトプットがすごい人の時短のキホン』(すばる舎)など。

記事公開:2021年3月