「とりあえず早く帰る」だけじゃない。
働き方改革の背景、本当の意味とは?
2019年4月に働き方改革関連法案の一部が施行されて約2年が経過し、「働き方改革」という言葉は、ビジネス社会にすっかり定着した感があります。しかし、言葉自体の浸透度にくらべ、その成果の達成度はまだ不十分といえるでしょう。「ノー残業デー」などの制度が一人歩きしている例も少なくありません。
そもそも「働き方改革」という言葉に込められた真の意味とは、どのようなものなのでしょうか。厚生労働省の発表によれば、働き方改革とは「働く人々が、個々の事情に応じた多様で柔軟な働き方を、自分で『選択』できるようにするための改革」という意味です。
同時に、働き方改革は、「一億総活躍社会の実現に向けた改革」であるともうたわれています。政府が「一億総活躍社会」を目指す背景にあるのは、少子化によって国内の労働力人口が著しいペースで減少し続けている現状です。国立社会保障・人口問題研究所の推計結果によると、労働力人口を示す「生産年齢人口」は2013年に8,000万人とされていますが、2027年には7,000万人、2051年には5,000万人を割るものと見込まれています。
このように、少子化という国の構造的課題によって社会の人手不足は年を追うごとに深刻さを増す一方で、グローバル化などを背景に、ビジネスの現場は成果主義の進展によって業績が厳しく求められるようになっています。人手不足の状態でありながら、従業員に求められるもののハードルは上がっており、かつ職場環境が変わらないままであっては、「長時間労働の解消」が進まないのも無理はありません。