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5分でわかる 仕事効率化のツボ

アウトプットに圧倒的差を生む、仕事を効率化するポイントを紹介します。

vol.10

「この仕事、自分でした方が早いんだよね」
そのスタンスでホントにいいの!?

人に任せることで、よりレベルの高い仕事に時間を割ける!

オフィスで働く人ならたいてい、新人時代を経て職位が上がってくると、マネジメント業務などにも携わることになり、仕事が増えるものです。経験を積んでいる分、手際もよくなり仕事は早くなるのですが、ほかにやるべきタスクもまた増えてきます。

ビジネスパーソンとして、こうした段階で覚えるべきなのが、「仕事を人に任せる」という行為です。

手際は悪くないのに、「いつまでたっても仕事が終わらない」と嘆いている人の多くは、仕事を別の人に任せる行為ができていないからです。

  • 職場に新しいメンバーが入ってきて人手があるのに、任せられない。
  • 担当替えとなり、仕事を譲らなければならないのに、手放そうとしない。

こうした行動を取る人が、いつまでも仕事に追われ続けるのは当然です。
ところで、こういう人は、なぜかたくなに仕事を任せようとしないのでしょうか?

それは、「自分でした方が早い」と思い込んでいるからです。

確かに、仕事を誰かに任せるには、まずやり方を教えなければなりません。任せる相手が新人であれば、こちらが手本を見せるところから始めて、理解したら本人がやってみる、という手順が必要になるでしょう。

仕事にかかる時間という点では、自分がまずやって、教える相手がそれをなぞるのは、明らかに二度手間です。一度やってみただけではできない場合は、何度か繰り返す必要さえ生じます。さらに、相手に教える準備として、仕事を整理したり、マニュアルを作ったりと、ますます手間と時間がかかってしまいます。

そういうわけで、「自分でした方が早い」と考えるようになるのです。

しかし、仕事を譲らない限り、自分の仕事が減るわけではありません。人に仕事を教える際に一時的な手間は増えますが、長期的な視点で捉えてみると、仕事を手放したことで確実に自分の時間が生まれ、1カ月先、3カ月先には、よりレベルの高い仕事ができるようになるでしょう。

ですから、仕事を教えるためにかかる手間と時間は、近い将来の自分自身に対する「投資」と割り切り、いつまでも仕事を抱えていないで、人に任せるための行動に移すべきなのです。

誰かに任せることも、大切な選択肢の一つです。「自分でした方が早い」という思い込みこそ、「時短の敵」と肝に銘じて、仕事を人に任せましょう。

仕事を人に任せるメリット

有能な人ほど仕事を早く手放して、人に任せるのが上手

仕事を人に任せるにあたって、意識してほしいのが、「なるべく早く手放す」行為です。
というのも、「誰かに仕事を任せる」ことの最大の目的が、「自分の時間を生み出す」ことにあるからです。人に仕事を振るのが早ければ早いほど、自分の時間は多くなります。

目的や全体像、求められる結果を把握し、常に質の高い仕事をする有能な人の特徴の一つに、「仕事の手離れの早さ」が挙げられます。

例えば、「業務改善のための提案書」を作成するよう指示された新人の場合、まず自分なりに課題を調べて整理し、時間をかけて提案書を作ろうとします。ところが、作成後に関係部門に相談してみると、思いも寄らなかった課題をいくつも指摘され、修正のためにさらに多くの時間を費やす結果になってしまいました。

一方、新人に比べて有能なベテランは、自分がするよりも効率がいいと考えれば、関係部門の問題点の洗い出しなど協力してほしい部分を明確にした上で、人に任せます。仕事の全体像を把握できているため、人に任せてうまく分業することで、自分は提案書全体のクオリティーアップに時間を割いたり、他の仕事を進めたりすることができたのです。

自分で考えたり調べたりすることはもちろん大切ですが、必ずしも自分一人で全てしなければならないわけではありません。周りの力をうまく借りて効率を上げることを考えるのも大切です。人に仕事を任せるに当たっては、いち早く相手に振ることで生まれるメリットに、意識を向けてみてください。

仕事を分解し効率を考えて振ると、さらに時短が進む!

人に仕事を任せる際のコツを、もうひとつ紹介しましょう。仕事の振り方次第で、仕事の生産性は大きく変わります。仕事を振ることで全体的な「仕事の効率化」につながれば、あなたの行動はワンランクアップするでしょう。

この場合はまず、自分が手放す仕事を「分解」するところから始めます。例えば、「新入社員研修の準備」という仕事で考えてみましょう。「新入社員研修の準備」という単位では仕事が大き過ぎるため、「研修会場の選定」「研修会場の予約」「講師の選定」「講師への依頼状作成」「講師との打ち合わせ」「カリキュラム案作成」などのように小さなタスクに分解します。

そして、それぞれのタスクを人に割り振る場合、関連するタスク同士を同じ相手に振るのです。例えば、「研修会場の選定」と「研修会場の予約」をセットにしてAさんに、「講師の選定」「講師への依頼状作成」「講師との打ち合わせ」をまとめてBさんに、といった具合です。

関連するタスクはひとまとめにして、一気に行う方が効率的です。反対に、関連するタスクを分けて人に振ると、タスク間の整合性を取るのに余計な手間がかかってしまいます。

仕事を人に任せるコツ

自分の手から離れたからといっても、同じ部署、同じ会社の仕事であり、あなたと無関係になるわけではありません。進め方の効率まで考えて仕事を振れば、きっとあなた自身にとってのメリットにもつながるはずです。

PROFILE

各務 晶久
各務 晶久かがみ・あきひさ
株式会社グローディア代表取締役。特定非営利活動法人人事コンサルタント協会理事長。中小企業診断士。大阪市人事に関する専門委員、大阪市特別参与、大阪商業大学大学院非常勤講師などを歴任。著書に『人材採用・人事評価の教科書』(同友館)、『メールに使われる上司、エクセルで潰れる部下』(朝日新聞出版社)、『会社では教えてもらえないアウトプットがすごい人の時短のキホン』(すばる舎)など。

記事公開:2022年5月