「今日も残業だけど、仕方ない」? なぜ残業しているのかを改めて見直してみる
「仕事を先回りして片付ける人は有能」と言う人がいます。一見すると、正しい意見のように感じられますが、果たしてそうでしょうか?
一般的に、人が先回りして仕事を片付けようとする行為には、「今のうちに少しでも片付けておきたい」という心理が働いています。特に新人や若手の場合、実力や経験不足による不安から、何かとつい先に進めておきたくなってしまうものです。経験が浅いうちは、その姿勢が周囲から「一生懸命さ」や「ひたむきさ」として評価されることがあるかもしれません。しかし、これはベテランになっても続けるべきこととはいえないでしょう。
毎日10の業務をこなせばよいところを、前倒しして12も13も片付けてしまおうとすれば、残業が増えてしまうのは当然の結果です。さらに、これを周囲の人が見た場合、仕事にも慣れたはずの社員が、残業せずにこなせる分の仕事しか担当していないのにもかかわらず、余裕のない状態で残業をしているように感じられます。つまり、「仕事のできない人」に見えてしまうのです。
そうなると、よりレベルの高い仕事がその人に与えられる機会は減らされ、誰でもできる雑用ばかり押しつけられるようになっていきます。仕事を先回りして片付けて余裕を持たせるつもりが、空いたはずの自分の時間が雑用で埋められてしまいかねないのです。自らのスケジュールは雑用でかき乱されるうえに、生産性の低い雑用ばかりやっているわけですから、評価も上がらず、キャリアアップからも遠ざかります。
もしも、仕事の残業が続いているのであれば、まずその理由を整理してみましょう。先回りして少しでも仕事を片付けておこうという意図で残業しているのであれば、すぐにやめるべきです。