上司の無茶振りはなぜ起きる? 対処の武器になる「一言」とは
一般的にビジネスパーソンは、社内でポジションが上がると、複数の案件を並行して進めていくマルチタスク型の仕事スタイルに切り替わります。そうなると、締め切り前の仕事がいくつか並行し、余裕のない状態が続くことも珍しくありません。
ところが、そういう状況のときに限って上司から飛び込みで仕事を振られてしまう……というのは、よくある話です。
なぜこんなことが起こるかといえば、上司は、自らの仕事におけるTO DOリストを作成して仕事を管理していても、あなたのTO DOリストまで管理しているわけではないからです。中には、「自分のTO DOリストをシステムで上司と共有している」と安心している人もいるかもしれませんが、上司が逐一それを把握して部下に仕事を指示しているとは限りません。あなた自身を振り返ってみても、上司や後輩が抱えている日々の仕事を把握できていないのではないでしょうか。
このように上司から急に仕事を振られた場合、あなたを救う方法があります。それは「お急ぎでしょうか?」と、一言聞くことです。
そう聞かれた上司は、「何か無茶振りでもしたかな?」と思い、あなたに「他に急ぎの仕事があるの?」と質問するはずです。そこで「急ぎの仕事でこれとこれを抱えていますが、そちらをお急ぎですか?」と、事実をきちんと伝えて相談するようにしましょう。
上司から急に仕事を振られたときは「ふたつ返事で引き受けるのが正しい」と考えてしまいがちです。もしかしたら、若手社員のうちは無茶振りにどんどん応え、思わぬタイミングでいろいろな仕事を経験できることにやりがいが感じられた人もいるかもしれません。それで万が一自分のキャパシティーを超えてしまっても、周囲に「若手だから仕方ない」と許してもらった経験がある人もいるでしょう。
しかし、ある程度のポジションを得た段階で、仕事を抱え込みすぎて他の急ぎのものを放置してしまったり、自分のキャパシティーを超えて誰かに迷惑をかけたり、ということがあれば、周囲の目には「責任感のない人」と映ります。上司の信用、そして職場での信頼を一気に失う結果になりかねません。
一方で、仕事を引き受ける際に優先順位を確認してくる部下は、上司にとって「しっかり考えながら仕事をする頼もしい存在」に見えます。また、そういう部下は、上司から無茶振りをされづらくなります。
そして、大事なのは、たとえ無茶振りをされた場合でも「自分から仕事を断らない」ということです。上司の指示に前向きに応じる姿勢を示しつつ、抱えている仕事との兼ね合いを相談するのが、望ましい対応といえます。