続いて、「要約」の型です。こちらは、伝えたい内容の細部よりも、全体像を分かってもらいたいときに使える説明法です。
対話のステップは、次のように進めます。
- ステップ1 本来伝えたい情報量の全容を提示する
- 「すべてを話すと2時間かかってしまうのですが……」
- ステップ2 その情報を要約したことと、その分量を伝える
- 「今回は要約した内容を30分でお話しします」
- ステップ3 要約した内容を伝える
- 「要は、………です」
ステップ1で、本来伝えたい情報量の全容を包み隠さず知らせるのは、「抜粋」の型と同じです。
その上でステップ2として、要約してどれだけの時間に圧縮するのかを具体的な数字で示します。本来2時間かかる話が、4分の1の30分間に要約されるのなら、相手にとっては負担が減ったと感じられるため、「聞いてみてもいいかな」という気持ちになってもらえる可能性が高いはずです。
ただし、あまり短く要約し過ぎるのも好ましくありません。例えば、本来であれば説明に1時間かかる情報を「1分間で要約します」と伝えてしまうと、相手が「本当にこれで十分なのか?」と不安になったり、理解不足に陥ったりする恐れもあります。要約の目安としては、本来説明するのに必要な時間の3分の1から10分の1程度にとどめるのが望ましいでしょう。
ステップ3では、実際に要約した内容を伝えます。結論がひと言で済む場合は、「要は、………です」と最初に前置きして、結論に至るまでの説明を手短に行うのが効果的です。
「抜粋」の型と「要約」の型との違いは、前者が大量の情報の中の一部分だけを伝えるのに対して、後者は情報の全体像やエッセンスを相手に把握してもらうことです。
説明の組み立て方としては、「抜粋」の型は本来の情報を「切り取る」「ある程度そのまま抜き出す」といったイメージですが、「要約」の型は本来の情報を「圧縮する」「重要な部分だけを抜き出してつなぎ合わせる」というイメージです。
話のポイントだけを伝えたい相手には「抜粋」の型、話の全容をかいつまんで伝えたい相手には「要約」の型を使ってみるのがおすすめです。話の内容や相手に合わせて、上手に使い分けてみましょう。