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分かりやすい!説明のコツ

分かりやすく説明する「型」やポイントを紹介します。

vol.04

話がイメージしやすくなる!
「基準値」「比較」の型とは。

“目安”を示せばスケールが想像できる

今回は、数値の大きさや、モノの大きさ、重量などを相手にイメージしてもらいやすくなる説明のコツについて紹介します。

モノを売る商売では、その商品がどれだけ「安い」のか、どれだけ「小さい」(または「大きい」)のかを訴えることが、相手の購入意思を決定付ける重要なポイントとなることがあります。

しかし、価格相場が分からない商品の場合、いきなり値段を聞かされても、「それって、安いの? それとも高いの?」と、ピンとこないものです。同様に、「とても小さい」と商品の説明を受けても、比較するものがなければ、本当に小さいのかどうかを確かめることはできません。

大切なのは、相手がスケールを想像できるような“目安”を示しながら説明すること。以下に紹介する「基準値」の型、「比較」の型を使ってみることをおすすめします。

数値のすごさを相手に伝える「基準値」の型

まずは「基準値」の型から紹介しましょう。そもそも人間は、何かを基準にして物事を判断する生き物です。したがって、自分が相手に伝える金額や、大きさ、重さなどのすごさを分かってもらいたいときは、判断の基準となる数値とセットで伝えるのが効果的です。

例えば、次のように説明を進めます。

ステップ1 基準となる数値(平均値など)を示す
「この種の商品は、平均して○kgくらいの重量です」
ステップ2 分かってもらいたい数値を示す
「ですが、当社の商品はその3分の1の軽さです」

まずは、商品のカテゴリーにおける基準値を示し、次に、提案する商品の重さや大きさ、値段が、その値からどれだけかけ離れているのかを説明するのです。

その際、目安とする基準値は、カテゴリー内の「平均値」や「中央値」などを使ってみるといいでしょう。重量を説明する場合、平均値は対象となる商品の重さをすべて足して商品の数で割った値ですが、中央値とは商品を軽いモノから重いモノの順番に並べたときにちょうど真ん中にくる値のことです。

例えばノートパソコンなどの小型電子機器を想像してみてください。すべての商品の中で軽いモノが極端に多い場合、平均値を算出すると、軽くなりすぎるものです。逆に、重いモノが極端に多いと、重さの平均値も上がってしまいます。その点、中央値は、文字どおりすべての商品の真ん中の値であるため、これを目安にすれば、販売したい商品の「軽さ」や「重さ」が、より強調されるはずです。

ちなみに、この「基準値」の型は、平均値や中央値が存在しない対象物を説明する際にも使うことができます。

例えば、自分のイチオシの格闘家の強さを相手にアピールしたいとしましょう。「伝説のチャンピオンと言われていた△△選手は、普通は何ラウンドも戦い抜くんだ。でも俺が大ファンの○○選手は、その△△選手をわずか1ラウンドでKOしたんだ! すごいだろ?」と説明すれば、強さがしっかりアピールできるでしょう。

おおよその数量を伝えるのに役立つ「比較」の型

続いて「比較」の型です。こちらは、相手に分かってもらいたい数量があるものの、そのイメージを相手がつかめそうもないときに役立つ説明の型です。

例えば、以下のように説明します。

ステップ1 相手がイメージしにくそうな数量を、あえてダイレクトに示す
「この土地はおよそ○ha(ヘクタール)あります」
ステップ2 ステップ1で示した数量と、相手が知っているであろう数量を比較する
「この土地は東京ドーム△個分です」

このように、相手が知っているものの数量で説明すると、何となくでもイメージが伝わるものです。東京ドームのように、数量の目安となりそうなものの例を以下にまとめましたので、ぜひ参考にしてください。こうしたものを自分なりにいくつかストックしておくと便利でしょう。

数量の目安になりそうなものの例

ちなみに、この「比較」の型は、説明する数量にインパクトを与えたいときにも効果を発揮します。例えば、あるドリンクで「ビタミンC 1,000mg配合」という数量にインパクトを与えたいと思っても、「とても多い量なんです」と説明するだけでは、なかなか伝わりません。

そこで、「このドリンクには、レモン50個分のビタミンCが含まれています」と付け加えれば、相手は「すごい量かもしれない」と感じてくれるでしょう。

「比較」の型を使う際に気を付けたいのは、相手にとっておなじみのモノを比較対象とすることです。先の例でいうと、東京ドームの広さがピンとこない人には、「学校の教室の○個分の広さだよ」のように、多くの人のイメージが湧きやすい学校の教室の広さを比較対象に用いるとよいでしょう(実際には、公立小・中学校の普通教室の平均面積はおよそ64m2です)。

また、「レモン50個」のビタミンC含有量は「パプリカ5個」とほぼ同じですが、「このドリンクには、パプリカ5個分のビタミンCが含まれています」と説明しても、ピンとこない人の方が多いかもしれません。そのため、レモンを比較対象とする方が無難でしょう。

なるべく分かりやすい対象物を示すことが重要です。

わかりやすい説明のコツ

分かりやすい説明のコツ

「基準値」の型、「比較」の型は
スケールを伝えやすいだけでなく
数値のすごさをアピールするのにも役立つ

PROFILE

犬塚 壮志いぬつか まさし
(株)士教育 代表取締役。東京大学大学院学際情報学府を修了。駿台予備学校講師を経て独立。講座開発や教材作成のサポート、講師養成のプロデュース事業を開始。企業向け研修講師としての登壇実績も豊富で、「説明力」をテーマにした研修プログラムは官公庁や大企業から中小企業まで人気を博している。専門領域は、「学習」「知能」。言語化やコミュニケーション、思考法の指導を得意とする。著書に『説明組み立て図鑑』『頭のいい人の対人関係』など。
犬塚 壮志

記事公開:2024年10月