国が後押し! 企業の健康経営を示す顕彰制度とは?
従業員が心身共に健やかに過ごせるように職場環境を整備する健康経営では、経済産業省などによる顕彰制度「健康経営優良法人認定制度」と「健康経営銘柄」が設けられ、企業をサポートしています。順番に見ていきましょう。
健康経営優良法人認定制度とは、優良な健康経営を実践している企業を顕彰する制度です。認定基準は、「経営理念・方針」「組織体制」「制度・施策実行」「評価・改善」「法令順守・リスクマネジメント」の5つで構成されています。認定には申請が必要で、毎年行われる認定の基礎情報を収集するための「健康経営度調査」へ回答すると上記の基準で評価され、その結果に基づいて健康経営優良法人に認定され、3月頃に発表されます。
健康経営優良法人の認定は、大企業等を対象とした「大規模法人部門」と中小企業等を対象とした「中小規模法人部門」に分かれます。認定された企業は、約1年間認定ロゴマークを使用し、健康経営に取り組んでいることをアピールできます。さらに上位500社は、企業規模に応じて「ホワイト500」(大規模法人部門)や、「ブライト500」(中小規模法人部門)に認定されます。それぞれの部門を詳しく見てみましょう。
- ・大規模法人部門
- 従業員とその家族だけでなくグループ会社、取引先、地域などに幅広く健康経営の考え方を普及、推進する大企業等が認定されます。社会の中でトップランナーとして、健康経営の考え方を広めていく役割が求められています。2024年は2,988法人が認定されました。
- ・中小規模法人部門
- 自社が持つ健康経営の課題に積極的に取り組み、職場環境を改善している中小企業等が認定されます。自社の取り組みを発信することで健康経営の裾野を広げると同時に、地域における健康経営の拡大に寄与する役割が求められています。2024年の認定数は、1万6,733法人でした。
健康経営の顕彰制度でもう一つ、注目を集めているのが「健康経営銘柄」です。これは東京証券取引所に上場している企業の中から、特に優れた健康経営を実践する企業を経済産業省と東京証券取引所が共同で選定するもの。健康経営銘柄も健康経営優良法人と同じく、健康経営度調査への回答結果を基にしており、ホワイト500と同様の認定要件を満たした上で、特に優れた企業が毎年選ばれます。
健康経営銘柄に選定されるのは原則1業種1社のみとなっているため、同じ業種の中で企業同士が切磋琢磨し、取り組みの平均点が上がっていく好循環のサイクルが生まれています。選定された企業には、健康経営を普及拡大していくアンバサダーとしての役割が期待されています。なお、1業種1社という制限は緩和され、現在では各業種の最高順位の企業の平均より優れている企業も選ばれることがあり、2024年は27業種53社が選定されました。