ビジネスパーソンの運動習慣と睡眠の現状は?
忙しい日々の中で、仕事を優先するあまり、運動や睡眠を後回しにしてしまうことは少なくないでしょう。気が付けば1日中デスクからほとんど動かなかったり、平日の睡眠不足を週末の「寝だめ」で補おうとしたりという状況は珍しくないかもしれません。しかし、仕事で高いパフォーマンスを発揮するには、運動習慣と質の高い睡眠を取り入れることが欠かせません。本連載最終回となる今回は、運動と睡眠の重要性について考えてみましょう。
厚生労働省によると、日本人の平日の座位時間は世界20カ国中で最長です。特にデスクワークの場合、椅子に座ったまま過ごす時間が長くなりがちですが、座位の時間が長いほど健康への悪影響が懸念されます。例えば、同じ姿勢を長時間とることで血栓ができやすくなり、その結果、肺の静脈が詰まるエコノミークラス症候群を引き起こす可能性があります。座りっぱなしの生活は命を危険にさらすこともあるのです。さらに、日本人の1日の平均歩数は男性6,628歩、女性5,659歩で、運動不足も課題となっています。また1回30分以上の運動を週2回以上実施し、1年以上継続している人の割合は、男性36.2%、女性28.6%でした。
運動量が多い人に比べて少ない人は、循環器系疾患、2型糖尿病、がん、ロコモティブシンドローム、うつ病、認知症といった健康リスクが増加することが指摘されています。さらにWHO(世界保健機関)は、身体活動や運動の不足を全世界における死亡原因の危険因子の第4位に位置付けています。忙しい中でも、運動習慣を身に付けることで、健康的な生活をより長く維持することが可能です。
次に睡眠について見てみましょう。厚生労働白書によると、日本人の平均睡眠時間は女性7時間37分、男性7時間46分と、他国と比較して短い傾向があります。慢性的な睡眠不足は、仕事の効率や集中力を低下させるだけでなく、肥満やメタボリックシンドローム、循環器系疾患、うつ病などの健康リスクを高めるとされています。

日本のビジネスパーソンに求められるのは、単なる睡眠時間の確保だけでなく質のよい睡眠を得ることです。運動と睡眠の改善は、仕事の効率を上げ、健康的な生活を支える重要な基盤となります。