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Hello AI

人工知能(AI)に関するさまざまな情報をご紹介します。

vol.2 富士フイルムとAIの意外なカンケイ

社会インフラの老朽化を見極める
専門家の“目”をサポート!

富士フイルムは2018年10月、次世代AI技術の開発拠点 FUJIFILM Creative AI Center「Brain(s)」(ブレインズ)を東京・丸の内に開設しました。「アカデミアとの共同研究による次世代AI技術の開発」や、「AI/ICT人材の育成」「富士フイルムの技術・製品と社外のICT技術を掛け合わせる『ICTオープンイノベーション』」に取り組みます。

その基盤となるのは、長年さまざまな事業分野で取り組んできたAI研究です。富士フイルムとAIは、少し意外な組み合わせと思われるかもしれません。そこで今回は、富士フイルムがこれまで蓄積してきたAI技術を活用したサービスの事例をいくつかご紹介します。



まず1つ目は、高度経済成長期に相次いで建造された橋梁やトンネルなど、老朽化が進む社会インフラの点検業務をサポートする画像診断サービス「ひびみっけ」です。現在、省令によって5年に1度の近接目視による点検が義務付けられた橋梁は全国で約70万基、トンネルは約1万箇所あります。一方で、高齢化などにより専門的な検査業務を行える人材の不足は深刻になっています。その結果、点検業務の負荷はますます高まり、将来にわたる設備の安全性の維持が危惧されているのです。

富士フイルムでは、これまで培ってきた医療用の画像診断技術を応用することで、この社会課題の解決に挑みました。医療の画像診断と橋梁やトンネルの検査にどのような関係があるのかと思われるかもしれませんが、ここには意外な共通点がありました。

なんとCTスキャン画像に写った「血管」とコンクリート表面のわずかな「ヒビ」には類似性があったのです。いずれも高精細な写真画像に写り込んだわずかな線のパターンをくっきりと浮かび上がらせるという意味では、同じ画像解析技術を用いることができるのです。その検出精度は非常に高く、わずか0.1mm幅の亀裂も見逃しません。そしてAIの要素技術である「機械学習」の導入によって画像からの検出精度は飛躍的に高まり、橋梁やトンネルの点検時間を最大で約40%(当社比)削減することを可能にしたのです。

膨大な中から瞬時に「良い写真」
「大切な写真」を選び抜く!

産業分野でのAI活用の次は、私たちの生活により身近な写真分野の事例をご紹介します。富士フイルムでは2000年以降急速に進展した写真のデジタル化の動きに対応すべく独自の画像解析技術を開発してきました。

その1つが、「Image Organizer」(イメージオーガナイザー)です。これは今では広く普及している「顔認識」による写真アルバム整理機能を高度に進化させたもので、ピントや手ブレ、構図に加えて被写体の人数、人物の表情や顔の大きさや向きに至るまで要素を細かく解析し、アルバムとして保存するのに適した“良い”写真を瞬時に判定します。

画像のパターン認識は富士フイルムのAIがもっとも強みを発揮する領域で、1,000枚にも及ぶ家族1年分の写真であっても最短5分でオリジナルのアルバムに整理してくれます。さらにImage Organizerでは、子どもの成長記録などアルバム内で優先したい人物を主人公として設定する「スマートキャスティング」機能も備え、“大切な”思い出をアルバムとして残すことが誰でも簡単にできるようになりました。

夢の新薬の開発を加速。期間短縮と
成功確率向上にインパクトを!

さらに、ヘルスケア分野においては2018年、AIを活用することで、医薬品候補化合物の構造式から新たな候補化合物を自動的に探索・設計できる、「医薬品候補化合物探索・設計シミュレーション技術(AI-AAM)」を開発しました。

一般的にこれまでの新薬開発では、「疾患の原因となるタンパク質(標的タンパク質)の構造解析」と、「多数の化合物の中からこの標的タンパク質と結合する化合物を選別すること」が必要とされていました。

「AI-AAM」は、薬効が期待できる既存の医薬品候補化合物と、標的タンパク質との結合力を、タンパク質の構成要素であるアミノ酸との相互作用の解析だけで、簡便に予測することができます。さらにAI技術の活用により、この化合物と同等の結合力で、異なる骨格を持つ、別の化合物を自動的に探索・設計できるシミュレーション技術でもあります。これまで必要と考えられていた「標的タンパク質の構造の解析」などを必要としないため、新薬開発の期間短縮と成功確率向上に大きく貢献します。

このように富士フイルムでは、多くの事業領域で蓄積した多様な専門知識とAI技術を掛け合わせた製品やサービスで、暮らしをよりよいものへと革新する努力を続けてきました。これからもその歩みを止めることはありません。次回、連載の第3回では、富士フイルムのAI開発の原点で、実は本邦初の商用コンピューターとなった「FUJIC」と、その精神を引き継いだ“国内最強のGPU環境”「FUJIC-Brain」の実力についてお届けします。

※ 分子構造式のうち、共通する部分や変化しにくい部分の構造のこと。

記事公開:2019年2月