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Hello AI

人工知能(AI)に関するさまざまな情報をご紹介します。

vol.3 日本初のコンピューターから
最先端AI研究へ続く道

日本最初の電子式コンピューターの名を引き継ぐ

前回は富士フイルムが長年培ってきたAI技術を用いた製品やサービスとして、社会インフラ診断、フォトイメージング、医薬品候補となる化合物探索といった事例を紹介しました。今回は、これらの技術をさらに発展させ、AIの新たな可能性を追求する取り組みについて紹介します。2018年10月にスタートしたFUJIFILM Creative AI Center 「Brain(s)」では、次世代AI技術の研究開発を推進するために、世界最速※1の計算能力を誇るディープラーニング(深層学習)用スーパーコンピューター「FUJIC Brain」を導入しました。

FUJIC Brainという名前を聞いて、コンピューターの歴史に詳しい人であればピンと来る人もいるのではないでしょうか。この“FUJIC”は、富士写真フイルム(当時)が1956年に完成させた国産第一号の真空管式電子計算機の名前です。

コンピューター登場以前は、カメラの精密レンズを設計するために複雑で膨大な光軸の計算を人間が行う必要がありました。FUJICはこの計算を正確かつ高速に行うためにほぼ独自に開発され、実に1,700本の真空管が用いられました。クロック周波数は30kHzと現代のスマートフォンの約8万分の1以下※2の速度ですが、人間の手計算の約2,000倍もの能力を発揮することに成功した、まさに本邦初の「スーパーコンピューター」であったと言えるでしょう。

Brain(s)の戦略・企画を担う加來俊彦は、「AIで取り扱うデータはすべてデジタル化されている必要があります。その意味で富士フイルムのデジタルへの取り組みは、このFUJICにまでさかのぼることができます」と語ります。

※1 2018年11月21日時点
※2 Apple A12 Bionicのクロック周波数2.5GHzを元に計算

世界最速GPU環境「FUJIC Brain」の実力は?

この富士フイルムのデジタルイノベーションの原点であるFUJICの名前を引き継いだFUJIC Brainは、世界最速のAIシステム「NVIDIA® DGX-2™」をベースに開発されています。NVIDIAはグラフィックス処理に特化したプロセッサであるGPUのリーディングカンパニーとして知られていますが、ここでなぜCPUではなくGPUがAI開発に用いられるのかという疑問が湧く方も多いかもしれません。CPUもGPUも搭載されたコアで計算するという機能は変わりませんが、一般的にGPUはCPUよりも数桁多いコアが搭載されています。そしてCPUが複雑な命令を1つずつ高速に処理するのに適しているのに対して、GPUは多くのコアで同時に大量の計算を行うのが得意です。AI、機械学習のアルゴリズムである「ディープラーニング」では、膨大なデータのパラメーターを繰り返して計算処理するという特性があるため、結果的にCPUよりもはるかに高速に演算できるのです。

DGX-2™の基本性能としては「Tesla V100 32GB GPU」を16基搭載、GPU間の相互接続は同時に2.4TB/sという速度を誇り、理論上の演算性能は2ペタFLOPSに達します※3。これは1秒間に2,000兆回の計算が可能ということになり、このAIシステムが複数台で構成されているFUJIC Brainがいかに高性能なのかがわかります。 ディープラーニングでは非常に多量の情報を高速に計算処理する必要があり、DGX-2™のGPUシステムはこれに適しています。処理能力が飛躍的に高まったことで、取り扱うデータも画像だけではなく、言語や行動など複数の情報を組み合わせて学習させることができるので、高度な社会課題を解決するのにも役立てられます。

※3 DGX-2™の詳細はこちらをご覧ください。(NVIDIAウェブサイトへリンクします)

医療の未来を切り拓く「REiLI」

富士フイルムでは、この最先端のディープラーニング技術と、これまで培ってきた画像解析技術を統合し、医師による画像診断ワークフローを強力にサポートするメディカルAI技術のブランド「REiLI(レイリ)」を2018年に発表しました※4

REiLIは、CTやMRIで撮影された臓器や血管などの2D断層画像を集約し、精緻な3D画像として構成する3次元画像解析システムなど、医用画像情報システム上で動作することを想定して、鋭意開発が進められています。AIにより、撮影された画像から臓器の位置や形状、名前を認識して表示し、撮影された画像から疾患が疑われる病変を検出し、定量化するCAD(コンピュータ支援診断)が医師の手助けをします。また、画像から得られた情報をワークリストやレポートシステムに展開し、画像診断ワークフローを効率化します。

REiLIの画像診断ワークフローはオープンなプラットフォームとして提供しているもので、富士フイルムのAI技術だけでなく、世界中の企業や研究機関のAI技術と連携していきます。

富士フイルムが長年蓄積してきた良質なデータを元に、AIを活用して新しい価値を生み出し、イノベーションを共創する拠点としての役割が期待されているBrain(s)。次回はその取り組みについて紹介します。

※4 REiLIの詳細はこちらをご覧ください。

記事公開:2019年3月