メディアに露出すれば
認知度は一気に高まる
前回に続いて、ことわざに潜む知恵のなかから、商売を成功させるヒントを探り出してみましょう。
“虎の威を借る狐”は、誰でもよく知っていることわざのひとつでしょう。
その意味は、「ほかの人の権力を後ろ盾にして威張ること」です。
昔々、ある狐が虎に捕まり、食べられそうになったとき、虎に向かってこう言いました。「私は神様から百獣の長に命じられたので、食べてはいけません。嘘だと思うなら、私の後をついてきなさい。動物たちは、私を見て逃げ出すでしょう」
言われた通りに狐の後をついていくと、たしかに動物たちは、みんな血相を変えて逃げていきます。それを見て虎は、「ああ、この方は本当に百獣の長なのだ」と、狐に畏敬の念を示したそうです。意外なことに虎は自分自身の強みに気づいておらず、本当は自分の姿を見て逃げ出したのだということも知らずに。
このように、「他人の権威を借りて自分をよりよく見せる」ということは、商売の立ち上げにおいて有効な手段のひとつだといえます。
商売を立ち上げたばかりの段階では、ブランド力はおろか、商品やサービスの認知度もなく、なかなか売り上げが伸びないものです。
早く自社の商品・サービスの存在に気付いてもらい、興味を持ってもらうためには、テレビやインターネット、新聞、雑誌などのメディアに露出するのが効果的です。
一般にメディアに採り上げられると、その媒体の権威によって、商品・サービスへの信頼感は一気に高まりやすくなります。まさに“虎の威を借る狐”です。
今では、メディアの影響力が薄れているといわれていますが、たとえ採り上げてくれたテレビ番組の視聴率が1%だとしても、1億人の1%なら100万人ですから、認知度アップ効果は絶大です。メディアの情報はたくさんの人の目に触れるので、より多くの人に商品・サービスの存在を認知してもらうことができるのです。