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“ひらめき力”を磨くヒント
常識にとらわれず、自由に発想する「ラテラルシンキング」。
ラテラルシンキングによって成功したエピソードをもとに、“ひらめき力”を身につけるコツをご紹介します。

商売の立ち上がりに勢いをつけるには
“虎の威を借る狐”になる!?

vol.11

メディアに露出すれば
認知度は一気に高まる

前回に続いて、ことわざに潜む知恵のなかから、商売を成功させるヒントを探り出してみましょう。

“虎の威を借る狐”は、誰でもよく知っていることわざのひとつでしょう。
その意味は、「ほかの人の権力を後ろ盾にして威張ること」です。

昔々、ある狐が虎に捕まり、食べられそうになったとき、虎に向かってこう言いました。「私は神様から百獣の長に命じられたので、食べてはいけません。嘘だと思うなら、私の後をついてきなさい。動物たちは、私を見て逃げ出すでしょう」

言われた通りに狐の後をついていくと、たしかに動物たちは、みんな血相を変えて逃げていきます。それを見て虎は、「ああ、この方は本当に百獣の長なのだ」と、狐に畏敬の念を示したそうです。意外なことに虎は自分自身の強みに気づいておらず、本当は自分の姿を見て逃げ出したのだということも知らずに。

このように、「他人の権威を借りて自分をよりよく見せる」ということは、商売の立ち上げにおいて有効な手段のひとつだといえます。

商売を立ち上げたばかりの段階では、ブランド力はおろか、商品やサービスの認知度もなく、なかなか売り上げが伸びないものです。

早く自社の商品・サービスの存在に気付いてもらい、興味を持ってもらうためには、テレビやインターネット、新聞、雑誌などのメディアに露出するのが効果的です。

一般にメディアに採り上げられると、その媒体の権威によって、商品・サービスへの信頼感は一気に高まりやすくなります。まさに“虎の威を借る狐”です。

今では、メディアの影響力が薄れているといわれていますが、たとえ採り上げてくれたテレビ番組の視聴率が1%だとしても、1億人の1%なら100万人ですから、認知度アップ効果は絶大です。メディアの情報はたくさんの人の目に触れるので、より多くの人に商品・サービスの存在を認知してもらうことができるのです。

実績がないなら権威を借りる! 「虎の威を借る狐」をヒントにした考え方

メディアの力を
お金をかけずに利用するには?

もちろん、商品やサービスをメディアに採り上げてもらうのは、そう簡単なことではありません。よほど話題性やオリジナリティがないとメディア運営者に興味を持ってもらえないはずですし、かといって大々的にテレビCMのような広告を打つとなると、相当のお金がかかります。

しかし、広告のように大きなお金をかけずにメディアの力を借りられる方法も、まったくないわけではありません。
たとえば、テレビや新聞などで採り上げられるような大きなイベントに出展して、テレビレポーターが立ち止まったり、カメラが写し出してくれたりするように声掛けをしたり、プレス関係者を見つけたら積極的に話しかけてみるのもひとつの方法でしょう。

また最近の消費者は、商品を購入するとき、テレビよりもインターネット動画をよく調べる傾向があります。
ユーチューバーのように、身の回りの出来事や気になった商品・サービスの情報をインターネット動画で配信する人が影響力を持っているので、そうしたインフルエンサー(影響力を持った情報発信者)に商品・サービスを無料で試してもらい、感想を伝えてもらう方法もあるのです。こういった手法は「インフルエンサーマーケティング」と呼ばれます。

お金をかけない場合はいずれの方法も「確実性」がないため、ひとつでも成功すればもうけ物と、一つひとつを丁寧に、数多く行うことがポイントです。

もっと簡単に“虎の威を借る”方法もあります。

極端な例ですが、健康にいい野菜や果物を使ったジュースバーを開業するのであれば、大きな病院のすぐ隣に店を構えてみてはどうでしょう。

病院関係者にクーポン券を配れば、お医者さんも客になってくれるはずです。「お医者さんも飲んでいる健康ジュースはいかが?」という看板を掲げても、嘘にはなりません。
「お医者さんが飲むくらいだから、よっぽど体にいいんだろう」と思って、つい飲んでみたくなる人もいるのではないでしょうか。そうして実際に試してもらい、少しずつファンが増えていけばしめたものです。
ただ、実際にやると病院からクレームが来ることは予想されます。実際にやるのはお勧めしませんのであしからず。

他者の力を巧みに利用することは、「自分の商売は、自分の力で何とかしなければならない」という常識から抜け出した発想だといえます。これもラテラルシンキングのひとつです。

“ひらめき力”のポイント
他者の力を巧みに利用すれば
商品・サービスの認知度は一気に高まる

PROFILE

木村尚義きむら・なおよし
経営コンサルタント。ソフトウェア開発会社勤務、OAシステム販売会社、パソコンショップの立て直しなどを行い、外資系IT教育会社に転職。その後、創客営業研究所を設立。六本木ライブラリー、メンバーズコミュニティ個人事業研究会会長なども務める。著書に『ずるい考え方 ゼロから始めるラテラルシンキング入門』など。

記事公開:2018年6月