基準すれすれで
出荷できなかったトマト
岡山県産の「桃太郎トマト」といえば、大玉で甘いことが特徴のブランドトマト。大きさなど、その基準を満たすものだけが「桃太郎トマト」として出荷されます。
もちろんトマトすべてが大玉に育つといいのですが、なにぶん自然が相手ですから、なかには基準に満たないサイズのトマトもできてしまいます。捨てるのはもったいないので、他の商品として売り出せないかと考えますよね。
さて、大きさだけ基準に満たないトマト、あなたならどんな商品にして売り出しますか?
「トマトを潰して作る商品」、そう考える人が大半ではないでしょうか。確かに、トマトジュースやトマトペースト、トマトジャムなど、トマトを潰して作る商品は多々あります。ですが、ジュースなどにすると、出荷価格が大幅に下がってしまうのが難しいところ。とくに桃太郎トマトの合格基準すれすれのトマトは、潰してしまうにはもったいないですよね。
そこで、基準値に満たないトマトに、ある工夫をして売り出したところ、高値でありながらヒット商品になりました。
その工夫とは、「トマトをそのまま、まるごとゼリーにした」です。
トマトをペーストにしてゼリーにするのではなく、トマト1個をまるごとゼリーカップに詰め、ゼリーにしてしまったのです。小さいといっても他と比べれば大ぶりなトマトですから、まるごとゼリーにしてしまうと、かなりインパクトがある商品になります。それを高級スーパーやコンビニで販売したところ、デザートとしてだけでなく、ランチのサラダ代わりに食べるOLも現れました。その口コミや評判からメディアに取り上げられるようにもなり、ヒット商品へと繋がったのです。