「もったいない」が新商品誕生のきっかけに
日本が世界に誇れる発明品のひとつ、インスタントラーメン。最初の商品が日本で誕生してからすでに60年近く経過し、今では世界中で年間約1,000億食ものインスタントラーメンが消費されています。
インスタントラーメンといえば袋入りやカップ入りが一般的ですが、子どものころによく食べた、あの懐かしい駄菓子を思い出す人も多いのではないでしょうか? そう、あらかじめ味付けされたインスタントラーメンを細かく砕き、小さな袋に詰めた、あのお菓子です。子どものおやつとしてだけでなく、ビールのおつまみにもぴったりなあのラーメン菓子も、インスタントラーメンが誕生した翌年に生まれ、ほぼ“還暦”を迎える超ロングセラー商品となっています。
ところでこのラーメン菓子、最初から「こんなお菓子を作りたい」という企画があって生まれたわけではなく、“偶然の産物”として産声を上げたことはご存じでしょうか?
もともと、この菓子メーカーはインスタントラーメンを製造していたのですが、その製造工程で発生する“めんくず”の処理に困っていました。短くて箸に引っ掛からない“めんくず”では、とても商品になりません。しかし、食べられるものを捨ててしまうのはもったいない。そこで同社は、この“くず”を集めて味を付けて従業員のおやつにしました。
すると、それを食べた従業員たちから「意外にイケる」という驚きの声が。硬すぎず、軟らかすぎずポリポリと心地よい食感、そして、原料である小麦粉独特の甘くて香ばしい味――。偶然とはいえ、今までに食べたことのない、まったく新しいお菓子になっていたのです。メーカーは早速、このラーメン菓子を商品化。瞬く間に大ヒット、現在でも同社を代表する看板商品となりました。「ただ捨てるのはもったいない」という思いと行動が、超ロングセラー駄菓子の誕生に結び付いたのです。