用途を追加すれば
売れるチャンスも広がる
洗った食器を並べて入れておけば、熱風で乾かしてくれる食器乾燥機。自然乾燥を待つ必要がなく、乾かし終わったら、そのまま食器棚に入れるだけなので非常に便利です。
そんな食器乾燥機を、本来の用途とはまったく異なる、意外な使い方をしている人たちもいます。それは、プラモデルの愛好家です。
プラモデルの部品を貼り合わせる接着剤や、仕上げに色を付ける塗料は、乾燥するまでに時間がかかります。そこで、時間短縮のため、食器乾燥機の中にプラモデルを入れて乾かすというアイデアを思い付いた愛好家がいました。
食器乾燥機はプラモデルを入れるのにちょうどよい大きさですし、タイマーをセットすれば乾かし過ぎる心配もありません。この愛好家がインターネットで紹介したところ、またたく間に評判が広がり、プラモデル愛好家の間で食器乾燥機が売れ始めました。
この動きに気付いた一部のインターネット通販会社は、それまで家電のページに掲載していた食器乾燥機を、プラモデルの商品のページにも掲載するようになりました。新しい用途が生まれた結果、売り場が増え、販売のチャンスも広がったわけです。
もちろん、食器乾燥機を製造している家電メーカーにとって、この新たなニーズの出現は驚き以外の何ものでもありませんでした。「食器乾燥機は、食器を乾燥させるものだ」という作り手側の常識が打ち破られ、思いも寄らない使い方をされるようになったのですから、びっくりするのは当然です。
これぞまさにセレンディピティ。「偶然、別の使い方をしてみたら、意外に便利だった」という使い手の発見が、食器乾燥機に新たな可能性をもたらしたのです。 (もちろん、食器乾燥機は食器を乾燥させる目的で使用するのが正しい使い方です)