医薬品より食品のほうが
目立つ場所で売られている
かぜ薬や湿布薬といった医薬品だけでなく、洗剤や歯磨き粉などの日用品、化粧品に雑貨と、さまざまなモノを売っているドラッグストア。スーパーやコンビニともそん色ない品揃えのお店も多く、とても便利ですよね。ところで、ドラッグストアの店先や入り口そばの売り場には、ドリンクやカップ麺などの食品が並んでいることにお気づきでしょうか? 「ドラッグ(薬)」を看板に掲げているのですから、本来なら医薬品を目立つ場所に置くように思いますが、かぜ薬や湿布薬は店の奥に置いてあるのが一般的です。
しかも、店先に置かれているドリンクやカップ麺は、同じブランドなのに、近くのスーパーやコンビニで売られているものに比べて値段が安いことが珍しくありません。生活費を1円でも抑えたい主婦や、お小遣いの限られたビジネスパーソンにとっては大助かりですが、なぜドラッグストアの食品はそんなに安く売れるのでしょうか?
利益のためではなく“客寄せ”のため
じつは多くのドラッグストアは、食品で儲けようとは考えていません。ドリンクやカップ麺などは原価ぎりぎりか、ものによっては赤字覚悟で販売価格を設定しているのです。
もちろん、これには意図があります。たとえ儲からなくても、スーパーやコンビニより安い値段でカップ麺を売れば、お客さんは安さに引き寄せられてドラッグストアに来店します。そして店内を回りながら、「そういえば胃腸薬が切れていたな」「寒くなってきたからかぜ薬を買っておこう」と、利益率の高い商品を“ついで買い”してくれるのです。
モノを売るなら「利益を取ってナンボ」というのが私たちに染みついた習慣です。例に挙げたドラッグストアは習慣を根底から変えて、食品については「利益を得るためのモノ」ではなく、「来店してもらう客寄せ」と習慣を変えたわけです。
このように、世の中で「こうあるべきだ」と思われている習慣を根底から疑い、違う基準に置き換えたり、新しい基準を作ってみたりすることも、ラテラルシンキングの重要なポイントだといえます。