密度の低い物質を通過する「X線」
私たちの身体からも出ている「赤外線」
医療機関ではさまざまな検査を行います。ここでは身体を傷つけずに「光」を使って調べることができる「X線」と「赤外線」について考えてみましょう。
X線も赤外線も光の仲間です。光は、空間を伝わっていく波の一種で電磁波とも呼ばれます。電磁波はその波長によってγ線、X線、紫外線、可視光線、赤外線、マイクロ波に分類され、それぞれが異なる性質を持っています。「可視光線」(紫、藍、青、緑、黄、橙、赤の7色)以外は、私たちは目で見ることができませんが、肌が日焼けする「紫外線」は可視光線よりも波長が短い見えない光です。この紫外線よりさらに波長が短いと「X線」、可視光線より波長が長いと「赤外線」になります。波長が短いほど物質を通り抜けやすくなります。
X線の特徴は、密度が低い物質を通り抜けることです。検査で人体に使用されるX線は皮膚や臓器は通過しますが、密度が高い骨や歯などでは止まります。この特徴を活用し、人為的にX線を発生させて身体の内部を透視するのがX線撮影です。レントゲン撮影と呼んだ方がなじみ深いかもしれません。
一方、赤外線は、体温を持つ私たちの身体からも放射されており、物体にぶつかったときに熱を発する特徴を持ちます。可視光線に近いものから近赤外線、中赤外線、遠赤外線に分けられます。身近なところでいえば、近赤外線はリモコンの赤外線通信や暗視カメラなどに、中~遠赤外線は暖房や調理器具などに使われています。
■光(電磁波)と波長