早期発見がカギ!
乳がん検診の現状とは
乳がんは現在、日本人女性のかかるがんでは最も罹患者数が多いがんです。罹患数は増え続けており、最新統計では国内で年約9万4,000人(2018年)となっています。これは、日本人女性の9人に1人が、生涯のうちに一度は罹患する計算になります。
死亡数も2005年に年1万人を超えて以降、2015年頃からは年1万4,000人前後と、近年は微増ながらもほぼ横ばい傾向が続いています。女性の全がんの中で乳がんによる死亡数の順位は第4位(2020年)です。死亡率も上昇し続けており、2015年頃に20%を超え、2020年には23.1%となっています(厚生労働省「令和2年(2020)人口動態統計月報年計(概数)の概況」より)。
■女性の部位別がん罹患数と死亡数
乳がんは他のがんに比べて比較的若い世代でも発症しやすく、罹患率は30代後半から急増するのが特徴です。最も多いのは40代後半から60代までで、それ以降はやや下がる傾向にあります。
■女性の乳がんの罹患数と死亡数の推移、年齢階級別乳がん罹患率
乳がんに罹患した場合、5年後に生存している割合(5年相対生存率)をステージ(進行度)別にみると、I期99.8%、II期95.5%、III期80.7%となっています(国立がん研究センターがん情報サービス「院内がん登録生存率集計」。2013-2014年5年生存率より)。つまり、できるだけI・II期の早期がんのうちに発見し、適切な治療ができれば、予後がよいといえます。また、がんが早期であるほど、乳房を温存できる治療法を選べる可能性も高くなります。
このように、乳がんはなるべく早期の段階で発見することが大切です。そのために重要なのは、やはり定期的に検診を受けること。乳がん検診には、視触診、マンモグラフィ(乳房X線撮影)、乳房超音波(エコー)検査といった検査方法があります。
このうち、マンモグラフィは小さな乳がんや、乳がんの兆候である微細な石灰化(乳腺の中にカルシウムが沈着した状態)までも見つけることができる早期発見に適した検査で、40歳以上の女性に推奨されています。乳がんは30代後半から罹患率が上がるため、2006年度からは「40歳以上の女性に対し、2年に1回、視触診およびマンモグラフィ併用検診を行う」ことが厚生労働省の指針として示されました。