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知っておきたい
医療のはなし

vol.6

体の中を可視化する
X線検査とエコー検査の違いを解説。

画像診断は、体の外から見るだけでは分からない体内の様子や
病気やケガの状態を画像化して、異常の有無を確認するための医療技術です。
その部位や症状などによって、さまざまな機器が用いられます。
画像診断によって何らかの病気が判明しても、早期発見できれば
早期治療にもつながります。そこで今回は、健康診断でもおなじみの
「X線(レントゲン)検査」と、「エコー(超音波)検査」について、解説します。

体内の状態を把握するのに欠かせない
画像診断の役割とは

多くの病気やがんなどもその初期には明らかな自覚症状というのは出にくいものです。症状が現れたときにはすでに進行しているということも少なくありません。まだ症状のない早期のうちにその芽を見つけて治療を始めれば、治療できる可能性が高くなります。病気の早期発見・早期治療にはやはり、定期的な健康診断の受診が大切です。

画像診断では特殊な機器を使って、体の内側を画像化して検査します。これによって、体内の病気やケガの状態、異常の有無などを観察することができます。画像診断は、病気の早期発見や健診の血液検査などから、さらには病気が疑われた場合の追加検査、治療後の経過観察などにも役立っています。

画像診断で用いられる検査機器にはさまざまな種類があります。それぞれ仕組みが異なり、体のどこを調べるかなど、その目的に応じた検査がそれに必要な機器によって行われます。中でも、X線(レントゲン)検査、エコー(超音波)検査は、定期健診でよく行われるおなじみの検査です。

見えないものを写し出す
X線検査とエコー検査の違いとは

定期健診などで行われるX線検査は、体に直接X線を照射し、フィルムやイメージングプレートなどに画像を写し出す検査です。X線が人体に照射されると、筋肉や臓器などは通り抜けて体外に出てきますが、骨や歯のように密度の高い物質は通り抜けることができずに止まってしまいます。その差を白黒の濃淡の変化で表したものがX線画像です。X線が通り抜けた部分は黒く、通り抜けられずに止まってしまった部分は白く表されます。

「骨折をしたらまずはレントゲン」と言われるのは、骨はX線が通り抜けられずに白くくっきり写し出されるからです。対して、骨以外の筋肉や脂肪組織などは黒く写し出されるため、骨折などの状況をよく観察することができるとされています。

また、肺炎や肺結核、肺がんなどの肺の病気が疑われる場合にもX線検査が行われます。肺も筋肉や脂肪と同様、通常は黒く写りますが、腫瘍や炎症などの病変部は白っぽく写るため、病気を速やかに発見できることがあるからです。

X線検査にはこのほかにも、腸閉塞や腹水、結石などを調べる腹部X線検査、乳房の状態を検査するマンモグラフィ(乳房X線検査)、X線とコンピューターを使って体の輪切り(横断面)画像が得られるCTなどがあります。頭部のCTでは脳出血やくも膜下出血などの状態を調べることもあります。

X線検査は、検査時間が短く、撮影した部位は画像で比較的すぐに確認しやすいのが特徴です。一般的なX線検査による被ばくは少量のため、自然界から受ける放射線量と比べても多くはありません。

一方、エコー検査は、人間の耳には聞こえない非常に高い周波数を持つ音波(超音波)を体に向けて送信し、はね返ってくる反射波を画像化して、体内の状態を調べる検査です。検査中は、プローブと呼ばれる装置を直接、体に当てるため、肌と触れる面には超音波を伝わりやすくするためのゼリーを塗って検査します。

エコー検査は心臓疾患の検査にも使われます。心臓弁膜症、心筋症、心不全、狭心症、心筋梗塞などの疑いがあれば心エコーが行われます。これにより、心臓の大きさや形、壁の厚さ、弁の動き、血液の流れる速度や方向なども画像化できます。

エコー検査にはこのほか、腹部の腫瘍やポリープ、炎症、結石などの異常の有無を画像化して調べる腹部エコー、頸動脈から動脈硬化の程度を調べる頸部エコー、乳房の状態を調べる乳腺エコーなどがあります。

エコー検査は被ばくの心配がないため、妊婦や幼児、高齢者にも安心して実施でき、短期間に繰り返し行えるのが特徴です。ただし、骨や肺や胃、腸など空気を含む臓器は超音波が通りにくいため、エコー検査には不向きです。これらの検査にはX線検査が使われます。皮下脂肪の多い人の場合も超音波が届きにくく、画像化が難しいことがあります。

■X線検査とエコー検査

高齢社会を支える?
小型化でより使いやすく、より負担の少ない検査の実現へ

1895年にドイツのレントゲン博士によってX線が発見されて以来、現在に至るまで、さまざまな画像診断の手法が登場し、検査できる部位も広がり、画像診断は多くの病気の早期発見や早期治療に寄与してきました。近年では検査機器の高機能化・小型化が進み、携帯型のX線撮影装置やポータブルエコーなども登場しています。これにより、これまで医療機関で行われていた検査がさまざまな場面で可能になり、検査の幅が広がっています。

小型化した機器は、高齢化が進展する中、特に在宅医療においてその活用が進んでいます。医師の白衣のポケットに入るポータブルエコーなども登場し、患者の自宅などのごく限られたスペースでも、すぐその場で体に負担をかけずにリアルタイムに体内を可視化することが容易になっています。今後は在宅医療だけでなく、他の診療科にもその活用が広がる可能性があります。

検査機器はこれからも、病気の早期発見、早期治療や患者の負担軽減を目指し、進化し続けていくことでしょう。デジタル化の進展によって、さらに高機能化・小型化は進み、AIによる画像処理技術も向上していきます。最新の超音波診断装置では、AIを活用したノイズ除去技術により、電気ノイズに埋もれやすかった体の深い領域のエコー信号も受信可能になるなど、より高精細な画像での検査が実現しています。検査機器の進化は、これからも私たちの健康を支えてくれます。

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記事公開 2022年9月
情報は公開時点のものです