X線を使うCT
磁場と電磁波を使うMRI
体の外から体内の様子を観察でき、異常の有無の早期発見に欠かせない画像検査である「CT(コンピュータ断層撮影装置)検査」と「MRI(磁気共鳴画像診断装置)検査」。どちらも大きな円筒状の機器の中に入って体の内部を撮影し、コンピュータで画像化して体の断層像を見ることができる医療機器です。しかし、その機器の中ではまったく異なる技術が使われています。仕組みや特徴には、どのような違いがあるのでしょうか。
まず、CTはX線を使用しています。CT内部のX線発生器からX線が照射され、装置内に横たわった人体を通過した後、向かい側の検出器で信号を受け取ります。装置側を360 度回転させながら全方向から照射・撮影し、体を通過したX線量のデータを収集します。それをコンピュータで処理して人体の薄い輪切りの断層画像を得る仕組みです。特に現在の主流であるマルチスライスCTは短時間で広範囲を撮影することができ、必要に応じて立体的に3D画像化することも可能となっています。
これに対し、MRIは非常に強い磁石による磁場と電磁波を使って、体の断面を撮影する検査装置です。原理としては、装置内部の強い磁場の中に入った人体に外から電磁波を与えると、体内の水素原子が共鳴し、振動した水素原子からは微弱な電磁波が発生します。この電磁波を受信して電気信号に変換することで断層画像を得る仕組みです。MRIは必要に応じて体の断面を縦、横、斜めなど、自由に撮影することが可能で、3D画像化を得意とする機器が普及しています。