加齢とともに骨量は減少する!?
骨粗鬆症の現状とは
骨がもろくなり、骨折しやすくなってしまう骨粗鬆症。主に加齢によって骨量が減少し、骨質も劣化することで発症します。現在、日本の骨粗鬆症患者数は男性300万人、女性980万人の計約1,280万人と推定されています(骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン作成委員会「骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版」)。高齢になってから発症することが多い骨粗鬆症は、高齢化の進展に伴い、患者数は増加傾向にあります。
骨の量は男女とも20歳頃に最大となり、40代半ばまでほぼ横ばいで維持されますが、その後緩やかに減少します。男性では70歳以降、女性では50歳頃の閉経前後の数年間に急速に減少してしまいます。そのため、骨粗鬆症は性別では圧倒的に女性が多く、発生頻度も男性の約3倍です。男性も高齢になるほど患者数が多くなる傾向にあります。
加齢以外にもこれまでの生活習慣が骨粗鬆症のリスクとなることがあります。若い頃の喫煙や過度の飲酒、無理なダイエット経験、運動量が少なかった人では発症リスクが高まるとされています。
筋力の増加と細胞の活性化により骨形成は盛んになるため、骨のためには適度な運動習慣も大切です。昨今のコロナ禍による外出自粛から生じる人々の運動不足は、骨粗鬆症や骨粗鬆症による骨折を今後増加させるのではないかと危惧されています。
骨の強さを判定するための代表的な指標に「骨密度」があります。骨密度とは、骨を構成するカルシウムなどのミネラル成分のつまり具合のことです。
この骨密度が低下している高齢者が運動不足に陥ると、骨がもろくなって骨粗鬆症が進み、筋力の低下や転倒リスク、転倒した際の骨折リスクも増大します。高齢者の「骨折・転倒」は要支援や要介護の要因の13%を占めており、健康寿命を縮め、QOLの低下にもつながるとされています。
■要支援・要介護の要因
骨粗鬆症は早期発見することが早期治療につながります。ただし、自覚症状に乏しく、いつの間にか進行するため、早期発見には定期的な骨密度測定が有益です。定期的に測定し、自分の今の骨量を知っておくことが大切です。
急激に骨密度が低下する50歳前後を目前とした40歳以降の女性を対象に、5年刻みに骨密度検診を行う自治体が多くなっています。また、健康診断や人間ドックのオプションとして骨密度検査を受ける人も増えています。