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適切な労働時間で多様な働き方を実現し、
少子高齢化に備える。
2019年4月施行の「働き方改革関連法」にせまる。

少子高齢化に伴う労働力の減少に備え、多様な働き方を選べる一億総活躍社会を目指して2018年6月29日に成立した「働き方改革関連法」が、2019年4月1日より順次施行されています。
今回は身近な話題である「働き方改革」の内容について紹介します。

働き方改革で一億総活躍社会を

そもそも政府が「働き方改革」を推奨するのはなぜでしょうか。
日本は世界有数の長寿国として知られている一方で、1973年のベビーブームを頂点に出生率の減少に歯止めがかからず、総人口は2010年より減少傾向にあります。
その結果、総人口の中で65歳以上の高齢者の割合(高齢化率)が拡大を続け、2015年には4人に1人、2035年には3人に1人という極端な高齢化社会になると予想されています。

年齢区分別将来人口推計

出展:内閣府「平成29年版高齢社会白書(全体版)」より作図

そこで問題となるのが労働力不足。労働者人口の減少が避けられない中で日本経済を発展させるためには、国民1人あたりの生産額を増やす必要があります。その中で政府が施策として打ち出したのが「働き方改革」なのです。

日本の労働制度と働き方にまつわる課題として、正規・非正規の不合理な処遇の差、長時間労働、単線型の日本のキャリアパスなどが挙げられています。これらを改善することで国民の生産性(質と量)の向上を図ることを目的に、2018年6月29日に「働き方改革関連法案」と呼ばれる労働基準法を始めとする一連の労働法改正案※1が成立し、2019年4月からその一部が施行されています。

この改正案の骨子となるのが、「労働時間法制の見直し」と「雇用形態に関わらない公正な待遇の確保」の2つです。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。

※1 今回改正された法律は「労働基準法」「労働安全衛生法」「パートタイム労働法」「労働契約法」「労働者派遣法」の5つ

骨子1「労働時間法制の見直し」とは

長時間に及ぶ労働は健康に悪いだけでなく、生産効率も下がります。働きすぎを防ぎ、適切なワークライフバランスを実現するため8つの施策が用意されました。

① 残業時間の上限を規制
70年前に制定された「労働基準法」には、残業時間の上限がありませんでした。
今回の改正で原則として月45時間(1日あたり2時間程度)、年360時間と残業時間の上限が明確に設定されました。
これは臨時的な特別の事情があって労使が合意した場合以外で越えることはできません。また、その場合でも年720時間、月100時間未満などの制限が設けられています。

改革された「労働時間基準法」のイメージ

出展:厚生労働省「働き方改革~一億総活躍社会の実現に向けて」より作図

② 「勤務間インターバル」制度の導入促進
1日の勤務終了後、翌日の出社までの間に一定時間以上の休息時間(インターバル)を確保する「勤務間インターバル」制度を企業の努力義務とすることで、労働者の十分な生活時間、睡眠時間を確保します。

③ 年に5日間の有給休暇の取得を企業に義務づけ
労働者の権利である年次有給休暇(年休)ですが、これまでは労働者側から申し出なければ取得できなかったため、51.1%という低い年休取得率となっていました。
今回の改正では、企業側が労働者の希望を踏まえ、1人1年あたり5日間の年休を取得させることが義務になりました。

④ 月60時間を超える残業の割増賃金率を引き上げ
1カ月の時間外労働が60時間を越えた場合、中小企業※2はこれまで25%だった割増賃金を50%に引き上げました。(大企業は以前から50%でした)

⑤ 労働時間の状況を客観的に把握するよう企業に義務づけ
企業はすべての労働者の労働時間の状況を、客観的で適切な方法で把握するよう法律で義務づけられました。
あわせて、長時間働いた労働者に対する医師による面接指導を確実に実施することも義務づけられました。

⑥ 「フレックスタイム制」の拡充
フレックスタイム制は、一定の期間(清算期間と言います)についてあらかじめ定めた総労働時間の範囲内で、労働者が始業・終業時刻、労働時間を自ら決めることのできる制度です。
これまでのフレックスタイム制は、清算期間の上限が「1カ月」までとされていましたが、今回の法改正によって上限が「3カ月」に延長され、月をまたいだ労働時間の調整により柔軟な働き方が可能となりました。
これにより、「6月7月に集中して働き、子供が夏休みで家にいる8月は早く帰っていっしょに過ごそう」、「資格試験の前の月は早く帰って集中しよう」といったことができるのです。

⑦ 「高度プロフェッショナル制度」の新設
労働賃金を時間ではなく成果で評価する制度です。時間外賃金がなくなる代わりに、成果さえ出せば好きな時間に働くことができるようになりました。
高度で専門的な職種に就き一定以上の年収(1,075万円以上)のある労働者が対象となりました。
具体的な職種としてはファンドマネージャー、コンサルタント、メーカーの研究職などが挙げられています。

⑧ 「産業医・産業保健機能」の強化
50人以上の事業場を対象に、衛生委員会に対しては産業医が行った労働者の健康管理等に関する措置の内容を報告し、産業医に対しては、健康診断結果や長時間労働を行っている労働者の情報等、産業保健業務を適切に行うために必要な情報を提供することなどが義務づけられました。

※2 中小企業の範囲については、「資本金の額または出資の総額」と「常時使用する労働者の数」のいずれかが定められた基準を満たしていれば、中小企業に該当すると判断されます。なお、事業場単位ではなく、企業単位で判断されます。

骨子2 「雇用形態に関わらない公正な待遇の確保」とは

同一企業内における正社員と、非正規社員の間の待遇の差をなくし「同一労働同一賃金」ルールを徹底するため3つの施策が用意されました。

① 不合理な待遇差の禁止
同一企業内において、正規雇用(正社員)と契約社員やパート・アルバイトといった非正規雇用(非正規社員)の間で、基本給や賞与などあらゆる待遇について不合理な待遇差を設けることが禁止されます。
同一の労働をした場合は同一の賃金を支払うことが義務となります。

② 労働者に対する、待遇に関する説明義務の強化
非正規社員は、正社員との待遇差の内容や理由などについて、事業主に対していつでも説明を求めることができるようになりました。

③ 行政による事業主への助言・指導等や裁判外紛争解決手続き(行政ADR)の規定の整備
行政による助言・指導等や行政ADRの規定を整備します。
都道府県労働局において、無料・非公開の紛争解決手続きを行います。

以上のように今回の「働き方改革」では、労働者が不利な労働条件に甘んじることなく、多様な働き方を選べるようになるための多くの施策が策定されます。
これらの施策を行うために企業は人材確保や賃金アップなど現状より多くの負担を強いられることになります。規模の小さい中小企業ではなかなか改革が進められない状況も発生するかもしれません。
労働時間が短縮しても生産性を減らさないために、企業も労働者も今後様々な工夫をしていく必要があるでしょう。

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記事公開:2019年5月