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近年の企業活動の鍵となる
「オープンイノベーション2.0」とは

世界的に、企業の研究・開発方針の根本的な変革を促す
「オープンイノベーション」の重要性がさかんに語られています。
今回は「オープンイノベーション」の考え方、さらに欧州で提唱されている
「オープンイノベーション2.0」について解説します。

オープンイノベーションって?
技術だけでなく新しい市場・資源からも創出

そもそも「イノベーション」とは、これまでの常識を覆し、経済や社会に大きな変革をもたらすような出来事を指す言葉です。
日本では「技術革新」と訳されることが多かったため、新製品や新技術の開発により起こる大きな変化のみを指すと思われがちですが、技術や製品だけではなく「新しい市場」、「新しい資源」、「新しい組織」などもイノベーションを創出しうる要素であると現在は定義されています。

イノベーションには、古くはエジソンやベルなどの突出した個人が研究の成果を企業に売り込み、企業がそれをビジネスとして広げていくパターンが多かったのですが、次第に大企業は自ら科学者や発明家を雇って研究所を構え、基礎研究から新製品までのすべてを自前で行う形でイノベーションを起こそうとするようになりました。このようなやり方を自前主義(クローズドイノベーション)と呼びます。

ところが、近年のグローバルな競争の激化やICT(Information and Communication Technology)の発展に伴い、顧客ニーズは多様化、製品ライフサイクルも短くなり、一企業ですべてをやろうとする自前主義に限界が見え始めてきました。
そこで大企業は、個人や大学の研究者やベンチャー企業といった、既存の社内ネットワークの外にある技術や知識、人材を活用し、新たな市場価値の創出を図るようになりました。このような、自社以外の技術を活用してイノベーションを目指す考え方を「オープンイノベーション」と呼びます。

クローズドイノベーションとオープンイノベーションの概念図
出展:文部科学省「平成29年版科学技術白書」より作図

ただし、「オープン」だからといって、必ずしも自社のすべての技術やノウハウを公開するわけではありません。企業の競争力の源泉にあたる技術や製品(コア領域)は死守する必要があります。市場拡大のためどこまでの技術、ノウハウを守り、どこからオープンにするかの線引きが重要な戦略要素となります。

オープンイノベーション2.0とは

オープンイノベーションの目的は、あくまで経済的利益です。研究者やベンチャー企業が、大企業が自社で持たない技術や資源を提供する代わりに対価を得るというWin-Winの関係構築を目指します。

ところが近年、企業には利益を追求するだけではなく、社会的責任(CSR:Cooperate Social Responsibility)を果たすことが求められるようになってきました。
また、企業が経済的価値を創出する過程で社会的な価値を創出する、共通価値の創造(CSV:Creating Shared Value)という概念も生まれています。
こうした企業の社会的課題への取り組みは、企業の経済的利益だけを目的としたオープンイノベーションの在り方にも変化をもたらしています。

特に欧州ではEC(欧州委員会)を中心として、企業、大学、研究機関等による従来の連携の中に、市民や顧客、ユーザーをも巻き込み連携・共創しあうビジネスエコシステムの形成を目指す動きが見られるようになりました。
この動きは「オープンイノベーション2.0」と名付けられ、イノベーションを経済的利益追求の手段としてだけでなく、雇用創出や生産性向上といった社会的な共通課題の解決に活用するために実施することが大きな目的になっています。

オープンイノベーション2.0とは
出典:欧州委員会「Open Innovation 2.0 Yearbook 2013」より作図

この図のように、オープンイノベーション2.0はこれまでのオープンイノベーションを否定するのではなく、より参画者を増やし、その目的も大幅に拡大したものという位置付けにあります。

対応が遅れる日本の状況

日本でも近年、大学や公設試等と企業の共同研究の実施や、ベンチャー企業を支援するコーポレート・ベンチャー・キャピタル(CVC)、インキュベーション施設の設置など、企業によるオープンイノベーションの取り組みは増加しています。
しかし、欧米企業と比較するとまだまだ実施率は低く、総研究費に対する大学への研究費の拠出割合や、1件あたりの研究費も海外に比べ低い水準にあります。このことは、国際競争の中でも圧倒的に不利に働いていると言えます。
また、資源・エネルギー問題や少子高齢化、地方経済の疲弊といった日本が直面している諸問題を克服するためにも、産学官民のそれぞれが手を取り合ってイノベーションを起こしていく必要があるでしょう。

日本の企業でオープンイノベーションが進まない理由としては、多くの企業の経営陣によるその必要性や目的への理解が進んでいない、という経営戦略上の問題と、オープンイノベーションの実施を試みる際の連携先の選定や協業の際の契約条件などに関する、オペレーション上の諸問題が存在します。

このような状況を受け、経済産業省は2017年に「事業会社と研究開発型ベンチャー企業の連携のための手引き」を作成(2019年には第三版を発表)するなど、オープンイノベーションの普及を推進しています。

企業はもちろん一般の人々が参加し、社会的共通課題を解決するオープンイノベーション2.0は、今後の日本が経済成長を続けていくための鍵となるでしょう。

「オープンイノベーション」への富士フイルムの取り組み

  1. Open Innovation Hub
    「Open Innovation Hub」は、富士フイルムが写真感光材料を原点として培ってきた最先端のコア技術や進行中の開発テーマと、皆さまが持つ課題やアイデアが交わり、 コラボレーションしながら新たな価値を創り出していく“共創” の場です。
    Open Innovation Hub
  2. 機能性フィルム受託製造サービス
    写真フィルムで培ってきた生産プロセス技術で、お客さまのお困りごとを解決して量産する、フィルム製品の受託製造サービス。
    機能性フィルム受託製造サービス

記事公開:2019年7月
情報は公開時点のものです