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速いだけじゃない!
日本社会の課題解決につながる
「5G」とは?

2020年に向け、本格導入が予定されている次世代移動通信システム「5G」。
その実現は、VRでのスポーツ観戦や、高度な自動運転、ロボットの
遠隔操作など、私たちの生活に飛躍的な進化をもたらすと期待されています。
そこで今回は、現在までの移動通信システムの歴史や5Gの特徴、
課題などについて解説します。

20年でDVD1枚分の通信時間が43日から30秒に

5Gの“G”はGenerationの頭文字で、5Gとは第5世代移動通信システムを意味します。主に携帯電話に活用されてきた移動通信システムの歴史は、音声主体のアナログ通信である1Gから始まりました。その後、パケット通信※1に対応した2G、世界共通の方式になった3Gを経て、現在私たちが使っているLTE-Advanced等の4Gへと進化しています。

1980年代に誕生した1Gは、アナログ方式のためデータ通信はできませんでした。1993年に登場した2Gからデジタル方式が採用されます。しかし、最大通信速度はわずか9600bps※2で、データ通信ではメールを送受信できる程度でした。また、各国で規格が異なり、日本では「PDC」、欧州は「GSM」、北米は「cdmaOne」が採用されていました。2001年の3Gになると最大通信速度は384kbpsまで向上し、文字ベースのウェブサイトの閲覧が可能に。通信方式が世界標準規格である「W-CDMA」と「CDMA2000」の二つにまとめられます。その後、2006年ごろに登場した3.5Gでは最大通信速度が14Mbpsに、2010年ごろの3.9Gでは4Gにつながる通信規格「LTE」が採用され150Mbpsに高速化。画像を含むウェブサイトや動画の閲覧、ユーザーによる写真や動画の投稿なども可能になりました。

現行の4Gの通信速度は、高速移動時が100Mbps、低速移動時は1Gbpsで、動画のライブ配信もできる通信速度になっています。2Gから4Gまでの各世代の通信速度を比較してみると、DVD1枚分のデータ(約4.7GB)をダウンロードした場合、2Gでは1050時間(43日)かかる計算になります。それが3Gでは27時間、3.5Gで1時間、3.9Gで4分、4Gになると30秒で完了。2Gが登場してから約20年間で、通信速度がどれだけ向上したかよくわかるはずです。

※1 送受信するデータを一定長の単位(パケット)に分割して伝送する通信方式

※2 通信速度の単位。bpsは、ビットパーセコンド(bit per second)の略で、1秒で1ビットのデータを送信できることを指す。なお、1Kbpsは1000bps、1Mbpsは1000Kbps、1Gbpsは1000Mbpsとなる

移動通信システムの進化
出典:総務省「移動通信分野の最近の動向」より作図

リアルタイムでのロボット遠隔操作も5Gで現実に!

5Gには、最高伝送速度が10Gbpsという従来技術の延長線上にある「超高速」だけでなく、「超低遅延」と「多数同時接続」という新たな特徴も加わります。超高速に関しては、LTEでは5分かかっていた2時間映画のダウンロードが3秒で完了。1ミリ秒程度という超低遅延によって、精度がLTEの10倍のリアルタイム通信でユーザーがタイムラグを感じることなく、遠隔地のロボットを操作・制御することが可能に。さらに、LTEが家庭内でスマートフォンやパソコンなど、数個の端末にしか接続できなかったのに対して、5Gは「多数同時接続」により、1平方kmあたり100万台という多数同時接続が可能となり、家庭内で約100個の端末・センサーがインターネットに接続できるようになります。

これらの特徴によって、5Gは身の回りのあらゆる機器がインターネットに接続するIoT社会の実現に、不可欠な基盤技術になることが期待されています。特に超低遅延と多数同時接続は、4Gまでの主なビジネス領域だった携帯電話サービスに加えて、自動車や産業機器、ホームセキュリティーといった他の産業でも活用され、産業構造の変化をもたらすことが期待されています。

さらに、5Gの特徴を生かして社会課題を解決する方法も模索されています。例えば路線バスの廃止が進む地方では、高齢者の移動手段として遠隔操作による自動運転バスを運行できる可能性があります。また、高齢化が進む農業や建設業では、ロボットやドローンなどに高精細カメラや高精度センサーを取り付け遠隔操作することで、人手不足の解消につなげられるかもしれません。さらに、近年頻発する自然災害に対しても、同じく高精細カメラや高精度センサーを取り付けたドローンなどを遠隔操作し、さまざまな対策、対処が可能になるでしょう。

5G本格導入に必須の技術「ミリ波」の弱点とは?

社会を大きく変革する可能性を秘めた5Gですが、本格導入のためには解決すべき技術的な課題も残されています。その中でも大きいのが、ミリ波(30~300GHzの高周波数帯)の活用についてです。一度に大量のデータを送受信する5Gでは、従来の移動通信システムで使われていた極超短波(300MHz〜3GHz)ではなく、より多くのデータを伝送できるミリ波の活用が想定されています。ミリ波は、これまで比較的短距離の無線アクセス通信や自動車衝突防止レーダー、電波望遠鏡による天文観測といった特殊な用途でしか利用されていないため、広い周波数幅を確保することができます。

その一方でミリ波には、強い直進性と、吸収減衰が大きいという特性があり、建物の壁、雨や霧などで影響を強く受けてしまうという課題もあります。従来の移動通信システムで使用されなかったのもこのためでした。日本に先駆けて2019年4月から5Gの商用サービスを開始した韓国では、「ネットワークにつながりにくい」「接続してもすぐ切れる」「遅い」「生活圏で5G通信が利用できない」など、利用者から通信品質に対する不満の声が上がりました。日本ではこうした事態を避けるため、従来LTE/LTE-AdvancedやWi-Fiなどで使用され、既存の技術を応用できてより遠くへ届きやすい周波数であるサブ6GHz帯(3.7GHz、4.5GHzなど)と、ミリ波帯(28GHz、39GHzなど)を併用予定。各周波数帯の特性を生かして使用するための取り組みが進んでいます。

一般企業や自治体が自ら構築する「ローカル5G」にも期待大

5Gの有益性を最大限に生かすために、従来の移動通信システムにはなかった「ローカル5G」という新しい仕組みも検討されています。ローカル5Gとは、既存の通信事業者以外の企業や自治体などが自ら5Gシステムを構築できるようにする制度です。通信事業者ではカバーしづらい地域に独自の基地局を設置可能で、個別のニーズに応じて柔軟に5Gシステムを構築できます。また、他の場所の通信障害や災害などの影響を受けにくく、電波が混み合ってつながりにくくなることもほとんどありません。前述した地方の自動運転バスの運行や農業・建設業における人手不足の解消、自然災害への対策などに関しても、より効果的に実現できるようになります。

携帯電話サービスが開始から約30年。10年ごとに大きな進化を遂げてきましたが、5Gの本格導入は今まで以上に大きなインパクトを社会に与えるはず。来るIoT社会の実現と同時に、現在日本社会が抱えるさまざまな課題の解決につながる重要なツールの一つになることは間違いないでしょう。

「5G」時代を支える富士フイルムの製品・技術

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記事公開:2019年10月