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「人生100年時代」って?
私たちにどんな影響が?

「人生100年時代」。ニュースや新聞の頻出ワードとして
すっかり定番になったこの言葉ですが、よく聞くだけに
深く考えず聞き流してしまうことも多いと思います。
そこで今回は改めてこの言葉の起源や意味を振り返り、
今の私たちにどんな影響や課題があるかを見てみましょう。

「人生100年時代」という言葉が生まれたワケ?

現在の日本人の平均寿命は男性が81.25歳、女性が87.32歳(ともに2018年)と長年世界最高水準にあり、今後も伸びていくと予想されています。2016年に英ロンドン・ビジネス・スクール教授のリンダ・グラットン、アンドリュー・スコット両氏により出版、ベストセラーとなった書籍で、「日本では2007年に生まれた子供の半数が107歳より長く生きる」という研究結果※1が紹介され、そこから生まれたのが「人生100年時代」という言葉でした。小泉進次郎氏が取り上げたこともあり、大きな話題となりました。

日本政府はこうしたことをふまえて、2017年9月にリンダ・グラットン氏をはじめとする識者を招き「人生100年時代構想会議」を設置。これまでに9回議論が行われました。2017年12月には「人生100年時代構想会議 中間報告」、2018年6月には「人づくり革命 基本構想」といった報告書がまとめられています。また、これらの会議の内容をふまえ、「新しい経済政策パッケージ」という政策群が2017年12月に閣議決定されました。

※1 Human Mortality Database, U.C. Berkeley(USA) and Max Planck Institute for Demographic Research(Germany)より

人生100年時代に備える「新しい経済政策パッケージ」

「新しい経済政策パッケージ」は、人生100年時代における少子高齢化という最大の壁に立ち向かい、国民の誰もが生きがいを感じその能力を発揮できる一億総活躍社会を創り上げる、という目標のもと策定されました。「生産性革命」と「人づくり革命」という2つのキーワードを車の両輪としています。

「生産性革命」は、世界に先駆けて「革命的」に生産性を押し上げ賃上げも行うことを目指すというものです。投資の促進によりロボット、IoT、人工知能など最先端のイノベーションを活用し、これまでにない革新的なサービスを生み出したり、「Society5.0」※2時代のまったく新しい付加価値を創出したりすることが、その手段として挙げられています。

「人づくり革命」は、幼児教育・高等教育の無償化、待機児童の解消、大学改革、リカレント教育、高齢者雇用の促進などが柱です。誰もが生きがいを持って生活を送れるようにするための人材への投資に主眼が置かれています。

ここにある「リカレント教育」とは、学校を卒業してから就職し定年まで働き続けるという従来の「単線型」とは違い、就職後も新しいスキルを身につけるために、生涯にわたって教育とフルタイムの就労を交互に行う「学び直し型」の教育システムです。この分野については、諸外国と比べ日本はかなり遅れていると言えます。例えば高等教育機関への25歳以上の入学者の割合は、経済協力開発機構(OECD)平均が16.6%(2015年)なのに対し、日本はたった2.5%(2015年)にとどまっています。また、2011年に行われたOECDの「国際成人力調査」によると、日本の成人の読解能力と数的思考力はすべての年代においてOECDの平均を上回っていますが、ITを活用した問題解決能力に関しては日本の高齢者(60-65歳)はOECDの平均を下回っています。これを見ても日本でのリカレント教育の充実は急務だと言えるでしょう。産官学共同で環境整備を進めていくことが求められています。

高等教育機関への25歳以上の入学者の割合
出典:厚生労働省「人づくり革命 基本構想参考資料(平成30年6月)」より作図

※2 「Society5.0」とは「狩猟社会(Society1.0)」「農耕社会(2.0)」「工業社会(3.0)」「情報社会(4.0)」に続く、人類史上5番目の新しい社会。「超スマート社会」とも呼ばれ、IoTにより仮想空間と現実空間を連携し、すべての物や情報、人をつなぐとともに、AI等の活用により量と質の全体最適を図る

おのおのが幸せな生き方を選べる
「真の人生100年時代」へはまだまだ課題が残る

このように、人生100年時代の到来に向けて政府はいくつかの政策を打ち出していますが、果たしてもくろみ通りにいくのでしょうか。さまざまな見方がありますが、実際のところ見通しはかなり険しいというのが現状と言えます。

特に深刻なのは経済的な問題です。「人づくり革命」に高齢者雇用が盛り込まれているのには、従来の高齢者への保障が財源等の面で難しくなっているという理由もあります。2018年2月に閣議決定された「新たな高齢社会対策大綱の概要」にも、60〜64歳の人々の就労率を2016年度の63.6%から、2020年度までに67.0%へ引き上げるといった具体的な数値目標とあわせて、公的年金の受給開始を70歳超でも可能とする制度改正の検討も織り込まれています。

高齢者雇用政策には、従来なら定年を迎え引退していた人も活躍の場を得て生きがいを見つけられるなどの良い点もありますが、それが経済的な理由で無理を押して働くという状態になってしまうと本末転倒です。人生100年時代、より多様な生き方を多くの人が選ぶようになるはずです。働きたい人は働き、学びたい人は学び、地域に貢献したい人はボランティアなどを行うなど、おのおのが幸せな暮らしを経済的にも無理なくできるよう、法律や制度が整った社会を築いていくことが、私たちの大きな課題と言えるでしょう。

「人生100年時代」を支える富士フイルムの取り組み

  1. 富士フイルムの挑戦
    富士フイルムは「予防」「診断」そして「治療」の領域まで、健康の維持・回復を横断的に手掛けることのできる幅広い技術と視野を持った「トータルヘルスケアカンパニー」として、グループのもつ製品・サービス・これまで蓄積してきた技術を生かし、「人々の生活の質のさらなる向上」に取り組んでいます。
    「予防」「診断」そして「治療」の領域へ

記事公開:2020年1月
情報は公開時点のものです