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私たちの健康を左右する!?
「原薬」って何だろう?

病気の予防や治療に欠かせず、私たちの健康な毎日を支えている薬。
でも、もしもその効能・効果がラベル通りでなかったら……。
2020年12月にも、皮膚治療薬への睡眠導入薬の原薬混入による
副作用被害がニュースになりました。そこで今回は、
薬の効き目を左右する「原薬」について解説します。

原薬は、薬の効き目の決め手!
薬の箱は情報の宝庫!?

まず、原薬とは何かを見ていきましょう。

一言で言えば、原薬とは「薬の有効成分」のことです。厚生労働省では、原薬を「医薬品の生産に使用することを目的とする物質または物質の混合物で、医薬品の製造に使用されたときに有効成分となるもの」と定義しています。

もしも今、手元に市販の頭痛薬や胃腸薬などがあれば、箱の裏を見てみてください。「成分」または「有効成分」として、複数の化合物が記されているはずです。それらは、例えば頭痛薬であれば痛みを和らげたり止めたりするための成分で、いわば薬の「効能・効果の素」。それらの化合物が、「原薬」です。

薬の箱の成分表には、一番後ろに「添加物」が列記されています。実は、薬のほとんどは、この添加物でできています。と言うのも、原薬(=有効成分)はほんの少量で効き目を発揮するため、薬に含まれる量はごくわずかなのです。

原薬は薬の有効成分であるだけに、その品質は薬の品質に直結します。このため、原薬の製造には、最初の原料化合物から原薬に至るまでのすべてのプロセスで、厚生労働省の定める「医薬品の製造管理及び品質管理の基準」(GMP:Good Manufacturing Practice)が適用されます。

さらに品質確保については、「医薬品及び医薬部外品の製造管理及び品質管理規則(平成11年厚生省令第16号)」などが定められ、また日米EU医薬品規制調和国際会議での合意に基づいた「原薬GMPのガイドライン」も取りまとめられています。原薬はこのような厳格なルールのもと、品質に細心の注意を払って製造されているのです。

超厳密! 安全が徹底追求される薬づくり

ところで医薬品は、どのようにつくられているのでしょうか。錠剤を例に、簡単に見ていきましょう。

錠剤の薬は、原薬と添加物でできています。原薬をつくるには、原料となる化合物を目的に応じた方法で化学反応させ、「中間体」と呼ばれる化合物をつくります。1回の反応で原料が原薬になることはありません。何回も反応を繰り返し、いくつもの中間体を経て、ようやく原薬が完成します。ちなみに原薬や中間体化合物を製造・販売する企業は世界中に存在し、製薬企業は必要に応じて、それらの企業から原薬や中間体を調達しています。

一般的に薬は複数の原薬と添加物(副原料)でできています。したがって、薬の製造時には、原薬や添加物をそれぞれ定められた割合で均一に混合しなければなりません。特に薬の有効成分である原薬の量は重要。この量が若干違うだけでも、その薬を飲んだ人への健康被害が生じてしまいます。そこで、極めて高精度な自動計量器でそれぞれを計量します。この工程が原料秤量(秤量・ひょうりょう)です。

秤量後はそれぞれをいったん粉末にし、次に固形剤で顆粒(かりゅう)状態にします。これは造粒と呼ばれます。さらに、造粒した顆粒は均一に混ぜ合わされます。これは混合と呼ばれ、品質にばらつきのない薬をつくるために重要な工程です。混合された顆粒は、1錠ごとの分量に正確に計量された後、成形されます。この工程は打錠と呼ばれます。

この後、薬によっては崩れにくくしたり飲みやすくしたりするためにコーティングを施します。さらに金属など異物の混入がないかを金属検出機や異物検査機などで検査して、ようやく出荷となります。

下の図を見てもわかるように、医薬品は何度も試験や検査を繰り返し、その品質や安全性を徹底的に確認しながら製造されているのです。

医薬品の製造工程と各種試験
厚生労働省『厚生労働白書』(平成21年版)より作図(図は錠剤を例にした場合の各種試験)

コロナ禍で、原薬の安定調達が
ますます大きな課題に

原薬は薬の根幹ですが、その調達については、実は課題が指摘されてきていました。

世界的に見ても、多くの医薬品は、製造コストの比較的安い中国やインドなどに中間体や原薬の供給を頼っています。日本も同様で、例えば後発(ジェネリック)医薬品では、完全に国産の原薬を使用しているものは2018年度時点で全体の約1/3にとどまり、多くは海外から調達しています。

日本における後発医薬品の原薬調達状況(2018年度)
「後発医薬品使用促進ロードマップ検証検討事業報告書」(2019年度)より作図

しかし、海外での一部の製造には、不純物の混入などによる品質問題、急激な需要増への対応力不足、GMP基準への対応の遅れなどが指摘され、それらに起因した医薬品の供給不安や欠品に至る例も発生していました。さらに2020年、新型コロナウイルスのパンデミックがグローバルサプライチェーンを寸断したことがさらに拍車をかけ、製薬企業には従来の原薬調達手法の見直しが迫られるようになりました。

日本政府も、海外依存度の高い原薬の国産化を促すための生産設備に対する補助金として30億円を2020年度第1次補正予算で計上。3月には厚生労働省が「医療用医薬品の安定確保策に関する関係者会議」を立ち上げ、医療上不可欠な医薬品の安定供給を確保するための方策について検討を進めています。このような動きからも、原薬に問題が起きると大きな問題に発展していくことがわかります。

私たちの健やかな毎日を支える薬の、「命」とも言える原薬。薬の箱を手にする機会があれば、ぜひ一度裏側を見て原薬を確認してみてください。

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記事公開:2021年1月