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いまさら聞けない? ワクチンの歴史、
ワクチンが働く仕組みとは。

いまだ世界で猛威を振るう新型コロナウイルス。
日本国内でも3回目のワクチン接種への調整が進められています。
人類はこれまでも、さまざまな感染症を引き起こすウイルスや細菌に
対峙し、ワクチンによって危機を乗り越えてきました。
そこで今回は、意外と知られていないワクチンの歴史や仕組みについて解説します。

実は数千年前から始まっていた?
ワクチン、予防接種の歴史とは

感染症の予防方法や治療法が未整備な時代、人類は天然痘や破傷風、狂犬病やコレラなど、致死率の非常に高い感染症の脅威にさらされ続けてきました。それが現在では、ワクチンの普及により、感染を予防する抗体や防御機能を体内に作っておくことができるようになり、病原体が体内に侵入しても発症しないか、軽症で済む場合が増えてきました。

このように、体にあらかじめ細菌やウイルスに対する免疫を与える方法が予防接種であり、ワクチンです。しかし、このワクチンはそもそもどのように発達してきたのでしょうか。

人類史上初のワクチンは18世紀末、イギリスの医師エドワード・ジェンナーが開発したといわれています。発見された方法は種痘法(しゅとうほう)と呼ばれ、天然痘の予防策として、とても高い効果を示しました。

感染力、致死性が高い天然痘が流行していた当時、乳牛の間で、牛の天然痘・牛痘も流行していました。しかし、この牛痘に感染した乳搾りたちは、天然痘にはかからないことが知られていました。牛痘は天然痘に比べ、はるかに死亡率の低い病気だったため、ジェンナーは、牛痘を用いた安全性の高い種痘法を開発します。これが現代のワクチンにつながる最初の予防接種とされています。ちなみに、ワクチン(Vaccine)という言葉は、ラテン語の「Vacca」(雌牛の意味)に由来しています。

なお、実は、天然痘にかかった人の膿(うみ)などを健康な人の体内に入れる人痘法(じんとうほう)と呼ばれる予防接種はアジアなどを中心に行われていました。その始まりは紀元前1000年頃にもさかのぼるといわれています。天然痘に一度かかった人が二度はかからないということは、古くから知られていたのです。しかし、この方法を受けた人の中には重症化して亡くなる人もおり、安全性に問題もありました。種痘法は、安全性を高めながら恐ろしい感染症を防ぐ、画期的な方法だったといえるでしょう。

ジェンナーによる種痘法開発から約100年後の1880年代には、フランスの細菌学者、ルイ・パスツールにより、弱毒化した微生物を接種することで免疫を得られるという発見がなされます。そして、現在普及しているワクチンの原理が構築され、狂犬病ワクチン、ニワトリコレラワクチンが作られます。

さらに、ドイツの医師で細菌学者のロベルト・コッホによって、多くの病気が細菌などの微生物感染によるものであることが明らかにされました。コッホは人類を長らく苦しめてきた結核菌、コレラ菌を相次いで発見し、ワクチン開発につながったとされています。

1889年には、北里柴三郎が破傷風菌の純粋培養を果たし、血清中に含まれる「抗毒素」による世界初の治療法を発見します。抗毒素とは、現在「抗体」と呼ばれているもの。血清療法は、破傷風の治療と予防の両方に効果があったため、その後の破傷風、ジフテリアのワクチン開発につながることになります。

1900年代には新しいウイルスや細菌の発見とともに、ワクチンの原料となるウイルスを増やす方法や、人工的に細胞を培養する方法などを使い、ワクチンを作り出す技術も進歩していきます。次々と新しいワクチンが開発されるのに伴って、ワクチンの安全性も高まっていきました。

1980年には、天然痘においてWHO(世界保健機関)で撲滅宣言が出され、ワクチンによる初めての疾病制圧がなされました。今日でも、ポリオ(小児まひ)などのさまざまな感染症根絶に向け、ワクチン普及の努力が続けられています。

ワクチンにも種類がある!
話題の「mRNAワクチン」とは?

現在、主に使われているワクチンには、以下のような種類があります。

・生ワクチン
生きたウイルスや細菌の病原性を限りなく弱毒化させたワクチン。その病気に自然にかかった場合とほぼ同じ免疫力がつくが、副反応として、軽度にその病気の症状が出ることも。代表的なワクチンとして、MR(麻疹・風疹)ワクチンや、水痘ワクチンなどがある。
・不活化ワクチン、組み換えタンパクワクチン
病原性をなくしたウイルスや細菌、または病原体を構成するタンパク質からできているワクチン。必要な免疫を獲得・維持するには、複数回の接種が必要。よく知られているインフルエンザワクチンは不活化ワクチン。また、帯状疱疹ワクチン、B型肝炎ワクチンは組み換えタンパクワクチン。
・mRNAワクチン、DNAワクチン、ウイルスベクターワクチン
ウイルスを構成するタンパク質の遺伝情報を投与することにより、体内でウイルスと同じタンパク質を作り、そのタンパク質に対する抗体が作られることで免疫を獲得する新しいワクチン。新型コロナウイルスのワクチンにはmRNAワクチンとウイルスベクターワクチンが使われている。

mRNAワクチン、
ウイルスベクターワクチンの仕組みとは?

現在、新型コロナウイルスのワクチンとして話題のmRNAワクチンとウイルスベクターワクチン。これらは従来のワクチンとは異なる、最新のテクノロジーが使われた画期的なワクチンといわれています。これらのワクチンがウイルス感染を予防できる仕組みとは、どのようなものなのでしょうか。

まずmRNAワクチンでは、新型コロナウイルスのタンパク質の設計図である遺伝情報を持つmRNA(メッセンジャーRNA)を、壊れないように脂質の膜で包んで体内に投与します。体の中では、その設計図をもとに新型コロナウイルスの一部であるスパイクタンパク質が作られます。すると、体はそれを異物と誤認して免疫が働き、病原体全体と闘うことのできる体制を整えます。つまり、抗体が作られ、ウイルスに対する免疫がつきます。

mRNAワクチンの仕組み 図
【出典】京都府ホームページ「新型コロナウイルス感染症情報 知っておきたいワクチンのこと」より作成

ウイルスベクターワクチンでは、ウイルスのスパイクタンパク質を作る遺伝情報の一部を、無害化された別のウイルスに組み込んで投与します。すると、mRNAワクチンと同じく、体内で抗体が作られ、ウイルスに対する免疫がつくという仕組みです。

基本的にワクチンは複数回打ったほうがより強い効果を得られる場合が多く、ご存じのようにmRNAワクチン、ウイルスベクターワクチンも同様です。1回目を接種してから、mRNAワクチンは3~4週間、ウイルスベクターワクチンは4~12週間空けて2回目を接種することで、体内の抗体量を大きく増やすことができ、同時に免疫細胞も活性化させることができます。これにより、実際に体内にウイルスが侵入しようとした際の感染予防効果、発症予防効果、重症化予防効果のすべてで、十分な力を発揮できるようになるとされます。

このように、最新の技術が使われているのが新型コロナウイルスのワクチンなのです。まだまだ新型コロナウイルスの動向から目を離せない昨今。ワクチン接種に関してきちんと判断が下せるよう、できるだけ正しい知識を身につけておきたいですね。

「ワクチン」に関連する富士フイルムの取り組み

  1. 新型コロナウイルス感染症への取り組み
    当社は、ヘルスケアにおける「予防」「診断」「治療」のそれぞれの領域で、独自の技術を駆使して、総力を上げて新型コロナウイルス感染症対策に取り組んでいます。
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記事公開:2021年12月