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「アジアDX」は日本のDX加速への一手に?
アジア諸国とのビジネス共創を目指す!

「アジアDX」という言葉をご存じでしょうか。
これは、日本企業の企業文化を変革するきっかけとして、
アジアの新興国企業と連携して新事業を創出し、それによって
日本のデジタルトランスフォーメーション(DX)を
進展させようというプロジェクトです。こうした取り組みが
推進される背景や、期待される効果などについて解説します。

コロナ禍が浮き彫りにした
日本のDXの現状

コロナ禍は、日本のデジタル化の遅れを浮き彫りにしました。実際にこの遅れを実感した人は多いのではないでしょうか。例えば、医療機関から保健所への連絡にFAXが使われていてミスが起きた、特定定額給付金の給付手続きが混乱した、テレワークの広がりに限界があった、など、さまざまな課題が可視化されました。

こうした状況の改善が迫られることで、皮肉にもコロナ禍はDX推進の補助輪ともなりました。政府も2021年9月1日にデジタル庁を創設するなど、その推進に本腰を入れようとしています。

しかし、多くの企業では、オンライン会議の設備導入やペーパーレス化など、まだまだDXの初期段階に取り組んでいるのが現状。デジタル技術で既存製品・サービスを高付加価値化したり、ビジネスを新たに創出したり、といった抜本的な改革に至っている企業はまだまだ少数派です。

一方で、DXが急進展し、劇的な成長を遂げている国や地域があります。そのうちの一つがアジアの新興国です。

アジアのスタートアップ旋風で1兆円企業が続々!
日本のリアル技術との融合で期待される効果とは?

日本はもともとインフラや各種制度が整っており、平時であれば日常生活にそれほどの不便を感じることはありません。しかしそれこそが、抜本的な社会変革を阻害する大きな要因の一つでもあるといわれています。

一方、インフラや制度が発展途上にある新興国では、DXはさまざまな社会課題を解決するための最適な手段となりました。例えば多くの新興国では、通信インフラの設営に時間がかかるため、固定電話の普及が遅れていましたが、携帯電話のほうがインフラ整備コストが低く、利便性が高かったため、一足飛びに携帯電話やスマートフォンが普及して通信インフラを形成することができたのです。このように、新興国において先進国が歩んできた技術進展を飛び越え、新しいサービスなどが一気に広まる現象は、カエルのジャンプに例えて「リープ・フロッグ」とも呼ばれます。

経済産業省が2021年2月に出した「新興国企業との連携による新事業創出『アジアDXプロジェクト』」によれば、2019年の通信データ量(2001年比)は、日本が223倍なのに対し、インドが2.2万倍、シンガポールが3000倍、ベトナムが23万倍と急増。さらに、コロナ禍によるロックダウンなどによりオンラインビジネスが急速に伸長し、DXでもリープ・フロッグが起きています。

これにより、アジアではわずか数年の間に、企業評価額1兆円を超えるデジタル・プレーヤーも次々と誕生。東南アジアでは、「Gojek」「Grab」といった企業が配車サービスから金融サービス、ストリーミング配信などのアプリ群を多角的に展開、急成長を果たしました。今や東南アジアのデジタル経済の規模は、2025年には3000億円を超えるといわれています。「アジア=製造業」というようなイメージは、もはや一昔前のものになっているのです。

こうした中、経済基盤や社会インフラの整備、社会的課題解決につながるビジネスを目指す新興企業も増えています。コロナ禍のインドネシアでは、オンライン診療のサービスがアクティブユーザーを飛躍的に増やし、マレーシアではロックダウン規制にドローンが利用される例がありました。

しかし、アジアの新興国が抱える社会問題の根本的改善には、DXを製造業・農業などのリアルな技術、そして資金や信用など、アジア新興国に不足している要素と融合させる必要があります。

一方で、リアルな技術に関しては、日本企業が強みとしている分野が多数あります。そして、東南アジア10カ国からなるASEANで、日本は高い信用を得ているといえます。シンガポール政府系シンクタンクであるYUSOF ISHAK INSTITUTEの調査によると、日本自体も「世界の平和・安全・繁栄・ガバナンスの貢献で最も正しい行動を取ることのできる国」とASEANで評価されていることがうかがえます。

そこで、日本企業の有する技術・ノウハウなどの提供により、アジア新興国の現地企業と連携し、サプライチェーンやヘルスケア、非接触テック、決済・リテールなどの分野で新しいビジネスを創出するプロジェクト「アジアDX」が発足し、注目を集めているというわけです。そして、この中で起きるイノベーションで、日本のDXを推し進めることが期待されています。

「アジアDX」のイメージ
出典:経済産業省ADX政策推進チーム「新興国企業との連携による新事業創出『アジアDXプロジェクト』」(令和3年2月)より作図

アジア新興国と協力し、
日本の国際競争力のアップも

アジアDXは、アジア新興国と日本がお互いに足りないところを補い合うことで、社会課題解決型ビジネスの理想の「共創」パートナーになることを目指すプロジェクトです。このプロジェクトを推進するために、2019年9月には、経済産業省にアジアDX推進チームが立ち上がりました。メンバーは関係各局の職員で構成され、業種などの既存の枠組みを超えた取り組みを支援しています。

また、同年12月には、日本貿易振興機構(JETRO)にも、経済産業省と共に推進するための「DX推進チーム」が創設されました。在外公館と協働して、有望な新興国企業の発掘や現地政府との調整支援など、新興国企業と日本企業との連携を促進しています。2021年2月には、海外スタートアップ企業などと日本企業の連携・協業を促す総合的なプラットホームとして、「J-Bridge」が立ち上がりました。

アジアDXでは全体戦略の作成や補助金事業の選定だけにとどまらず、アクション中心のアプローチを重視し、個別プロジェクトへの具体的な支援に注力しています。現在は、経済産業省など関係省庁が連携し、最初のパイオニア的企業として数社をピックアップ。意識・能力の高い集団の中に身を置くことで切磋琢磨し、お互いを高め合う「ピア・エフェクト」を起こすリーディングモデルの創出を目指しているところです。企業変革に向けた意識を喚起するため、ウェビナーを中心に、企業への情報発信も積極的に行われています。

事業フェーズごとの支援策
出典:経済産業省ホームページ「アジアDXプロジェクト」より作図

近年、日本の国際競争力は下降傾向にあります。その原因が、ビジネスの効率性、生産性の低さにあるという指摘はよく聞かれることです。

こうした弱点を補う手段として期待されているのがDX。そして、「アジアDX」は、その日本のDXをアジア新興国の成長力で加速しようとするプロジェクトです。日本の国際競争力を高め、アジア新興国の成長も支援しながら共に未来を築いていくために、これからの進展が期待されます。

富士フイルムの「DX」に関する取り組み

  1. 富士フイルムグループ 「DXビジョン」
    富士フイルムでは、デジタルトランスフォーメーション(DX)の更なる推進により、これまで以上に優れた製品・サービスを提供して顧客への提供価値を飛躍的に高め、社会課題の解決に向けた挑戦を続けることをコミットすべく、富士フイルムグループの「DXビジョン」を策定しました。
    富士フイルムグループの「DXビジョン」
  2. 「アジアDX」への取り組み
    富士フイルムは、新興国向け健康診断サービス事業における新たな取り組みとして、画像診断支援AI技術の有効性実証に向けた検証事業を2021年9月より開始しています。
    経済産業省「アジアDX促進事業」採択事業

記事公開:2022年1月