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生産現場の安全性向上にテクノロジーで対応!
生産性をも高める「スマート保安」とは?

「スマート保安」という言葉をご存じでしょうか? IoTやAI、ビッグデータ、
ドローンなど先進のテクノロジーを活用して、老朽化が進む生産設備や
インフラ設備の安全性と生産性を高める取り組みのことです。
設備の老朽化や熟練工の引退などによる技術承継の途絶、さらに近年は、
テロ・災害対策や新型コロナウイルス感染症による非接触ニーズへの対応
といった課題を解決する手段として、今、導入が広がりつつあります。

設備の老朽化と保安人材不足が深刻に
このままでは危ない日本の生産インフラ

古い映画になりますが、リドリー・スコット監督の『ブレードランナー』をご存じでしょうか。その冒頭、点々と広がる街明かりを俯瞰(ふかん)した夜景の中、所々に巨大な煙突状の構造物がそびえ、そこから時折、炎が吹き上がります。日本の工業地帯の夜景にインスパイアされたシーンだといわれています。見る者を不思議と引きつける「工場夜景」。それは休みなく働き続け、日本の社会や経済の発展をけん引してきた産業基盤の象徴でもあります。

しかし今、石油・化学や電力・ガスなどの生産設備・インフラ設備の老朽化が大きな問題となりつつあります。設備の故障や異常による運転停止、労働災害など事故にまで至るトラブルも増加し、不安定な運転により、コスト増や製品品質の不安定化にもつながってしまいます。

さらに、そうした現場を何とか支えてきた熟練作業員などの退職が、今後重なっていきます。しかも、少子高齢化の影響で若年層の雇用も難しくなりつつあり、設備の保安に携わる人材の長期的な不足と、技術や技能の継承途絶も懸念されています。

その一方、近年はIoTやAI、ビッグデータ、ドローン、ロボットなどのテクノロジーが目覚ましい進化を遂げています。そこで、こうしたテクノロジーを設備の保全・保安に活用し、喫緊の課題である生産設備やインフラ設備の老朽化に対応しようとする取り組みが広がりつつあります。それが今回ご紹介する「スマート保安」です。

官民一体となってスマート保安を推進
課題は現場レベルでの取り組み強化

経済産業省は、スマート保安を「官民が連携して、技術革新やデジタル化、少子高齢化等の環境変化に対応した産業保安に関する主体的・挑戦的な取り組み」としており、同省が設置したスマート保安官民協議会では、以下のように定義しています。

スマート保安

  • 国民と産業の安全の確保を第一として
  • 急速に進む技術革新やデジタル化、少子高齢化・人口減少など経済社会構造の変化を的確に捉えながら
  • 産業保安規制の適切な実施と産業の振興・競争力強化の観点に立って
  • 官・民が行う、産業保安に関する主体的・挑戦的な取り組みのこと

しかし、事業者のスマート保安技術への投資は、あまり進んでいないのが現状です。その理由は次の3つだといわれています。

  1. 老朽化の進んだ「高経年設備」では、本来であれば検査量が増えるはずだが、事業者の安全意識の不十分さから適切な対応が取られていない
  2. 短期間では投資の効果が分かりづらい
  3. 規制の見直しに時間がかかり、実装が遅れている

そこで、経済産業省はスマート保安の促進を強化すべく、2020年6月、官民のトップによる「スマート保安官民協議会」を設置しました。

協議会では、スマート保安の取り組みを明確化し、その重要性と方向性を官民で共有し、共通認識を醸成した上で、事業者による先進的な取り組みを促進していきます。同時に、国による保安規制・制度の見直しを機動的かつ効果的に行います。これにより、スマート保安による安全性向上や事業者の自主保安力の強化を実現し、さらには、関連産業の生産性向上・競争力強化につなげることを狙っています。

社会や産業の未来を切り開く
スマート保安の具体的事例とは?

スマート保安では、例えば「ビッグデータ・AI」は定量的な分析による異常検知や自動制御、運転最適化に、「IoT・センサー」は保安業務・稼働状況等の常時遠隔監視に、「ドローン・ウェアラブル」の技術は高所・危険領域等における保安作業の代替や巡視データの自動取得に応用されます。

これらにより、「ノウハウの見える化・定量化」や「点検・監視業務の自動化・遠隔化」、そして、「異常検知・予知の機能向上」といった課題解決が期待されています。

すでに進んでいる具体的な取り組み事例を、次の表でいくつかご紹介します。

スマート保安の事例
【出典】経済産業省 産業保安グループ「スマート保安の促進 ~産業保安分野におけるテクノロジー化の推進~」より作図

センサーやIoTデバイスが遠隔地や暗がりも常時監視し、ドローン機器が人の近づきにくい場所の巡視データをスピーディーに取得する。多様で複雑な保安作業は、人に代わって機械化・自動化が進展。そして、取得した大量のデジタルデータをAIが分析し、異常検知や自動制御などの最適化に役立てられ、保安業務が合理化、保安レベルがさらに向上する。スマート保安により、そんな未来が見えてきます。

海外とも協業してスマート保安を促進
世界各国の導入はどこまで進んでいるか?

一方、産業基盤の適切な保全・保安は、日本だけの課題ではなく、海外でもスマート保安への取り組みは広がっています。日本ではそうした国々との協力も進めています。

例えばタイとは、2018年6月に「スマート保安に関する協力覚書」を締結しました。ビッグデータやIoTなどを活用して、タイのプラント事故の減少や生産性向上を目指し、すでに現地の石油会社と日本のプラントエンジニアリング会社という、民間ベースでの協業も始まりつつあります。

また中国とは、2019年6月開催の「第1回日中産業大臣対話」の中で、情報化とスマート化を利用し、安全生産管理能力の向上、安全文化の普及、IoTを活用した事故の予兆把握など、産業保安の分野での具体的な協力について、事務レベルで議論していく方針に合意しています。

スマート保安技術の各国における導入状況
【出典】経済産業省 産業保安グループ「スマート保安の促進 ~産業保安分野におけるテクノロジー化の推進~」より作図

まだスタートしたばかりのスマート保安ですが、社会と経済の安全と健全な発展のために、また、日本の技術を活用した海外との連携強化を含めて、その進展に期待したいものです。

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記事公開:2022年2月