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世界的に流行する「感染症」。
日本はどう守る?

グローバル化の進展によって世界中に広がる感染症の脅威。
日本における対策や現状の課題を解説します。

広がる感染症の脅威。国内の感染症発生数は
平成23年からの5年間で4~5万人台の推移

感染症とは「大気、水、土壌及び人を含む動物に存在する病原性の微生物(細菌、ウイルス、真菌、寄生虫など)が人体に侵入することで引き起こされる疾病」です。古くから人類はペスト、コレラ、赤痢といったさまざまな感染症に悩まされてきました。1929年に初の抗生物質ペニシリンが発明されるまでは根本的な治療法がありませんでしたが、現在は適切な治療を迅速に行えば、ほとんどの感染症は完治するようになっています。
しかし、疾病自体は根絶されておらず、近年になっても国際的に脅威となる新たな感染症の流行が報告されています。

たとえば、西アフリカで流行しているエボラ出血熱は感染者2万8,000人以上、死亡者1万1,000人以上、アラビア半島では中東呼吸器症候群(以下MERS)が感染者2,090人以上、死亡者730人以上の被害を出しています。
日本国内でも、上記2種は発見されていないものの、平成23年から27年までの5年間で、結核(2類感染症)、腸管出血性大腸菌感染症(3類感染症)を中心に、4万人台から5万人台の間で感染症発生数が推移しています。
今後も急速なグローバル化の進展に伴い人や荷物の移動がますます盛んになり、感染症が世界規模で拡散しやすくなると言えます。

■ エボラ出血熱の発生状況
WHO報告(2016年6月10日)、CDC報告(2016年4月13日)/出典:総務省行政評価局「感染症対策に関する行政評価・監視」

日本政府は「水際対策」と「蔓延防止対策」を実施

日本政府は大別して二種類の感染症対策を行っています。
一つはエボラ出血熱やMERSなど、国内ではまだ確認されていない感染症の病原体が、船や飛行機を介して国内に侵入することを防止する検疫法に基づく「水際対策」です。
具体的には、飛行場や港に検疫所(国内110カ所)を設け、入国者をチェックしています。特に感染症が流行している地域から渡航した人は厳重にチェックされ、発症または感染の疑いが濃厚な場合は隔離・停留といった処置が行われており、そのための施設の整備や感染防止対策を講じた搬送方法についても手順が定められています。
また、発症していないが発症の疑いのある人(疑似症患者)の健康監視を行い、健康状態などの報告を求めることを義務付けています。
ちなみに2015年のエボラ出血熱関係の健康監視対象者は319人、MERS関係の対象者は315人です。
もう一つは感染症発生の予防と蔓延の防止を図ることを目的とする、1999年に新たに施行された感染症法に基づく「蔓延防止対策」です。この法律では、感染症の発生・拡大に備え、世界各国の発生動向を調査したうえで国が基本方針、都道府県が予防計画を策定し、総合的な取り組みを行っています。
また、感染症患者を受け入れる指定医療機関における医師の増員や増備、患者の人権を尊重した入院手続きの整備も行われています。
移送手段の確保も重要です。保健所や消防機関が連携し合同移送訓練も実施されています。

二種類の感染症対策

出典:総務省行政評価局「感染症対策に関する行政評価・監視」

総務省による調査とその対策

とはいえ、総務省が行った感染症対策に関する行政評価・監視の結果によるとまだまだ課題は多いようです。
検疫所における入国者のチェックでは、流行国への渡航歴があるにも関わらず申告を行っていなかったため、入国後に発熱・入院した事例がありました。入国後の健康状態等の報告を行っていない人もいたようです。
また、指定医療機関の受け入れ体制や、院内感染防止措置などが十分でないという報告もあります。
政府は2020年に行われる国際的スポーツイベントに向け、訪日外国人旅行者数の目標を4,000万人と設定し、旅行者の受け入れ環境の整備を推進しています。罰則の適用を含めた適切な対応や準備が急務となってくるでしょう。

個人でもできる感染症対策

もちろん感染症は海外から来るものだけではありません。インフルエンザやマイコプラズマ肺炎といった身近な病気も感染症の一種。
罹患するきっかけとしては、咳やくしゃみで飛び散ったウイルスが体内に入って発症する飛沫感染、感染した人が手を触れたドアノブやつり革に付着したウイルスから感染する接触感染などがあります。
これらは手洗いやマスクの着用、規則正しい生活とバランスのよい食事などである程度予防できます。
また、感染したとしても早期に発見し適切に対処することで、これ以上の拡散を避けることができます。
政府機関の対策だけではなく、一人ひとりの自覚的な行動も感染症の流行を避けるための大切な要素なのです。

「感染症」に対する富士フイルムの技術・取り組み

  1. 富士フイルム富山化学株式会社 設立
    診断薬・治療薬の新薬開発を加速させるため、低分子医薬品の研究・開発・製造・販売を行う富山化学工業(株)と、放射性医薬品の研究・開発・製造・販売を行う富士フイルムRIファーマ(株)を2018年10月1日付で統合し、富士フイルム富山化学株式会社としてスタートします。
  2. 医療現場から生まれた除菌用品
    富士フイルムの「Hydro Ag+(ハイドロ エージープラス)」は、銀のパワーで高い除菌性能が長時間続く。
    医療用抗菌用品
    一般のお客さま向け抗菌用品

記事公開:2018年9月
情報は公開時点のものです