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経済と環境の好循環をつくりだす!
「グリーントランスフォーメーション(GX)」とは。

温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする「カーボンニュートラル」を
目指す取り組みが世界各国で加速する中、温室効果ガス排出削減と経済の
持続的発展を同時に目指す「グリーントランスフォーメーション(GX)」に
注目が集まっています。今回はGXとは何か、なぜ注目されているのか、
日本では具体的にどのような取り組みが行われているのかについて解説します。

GXが目指すのは、
環境も経済も健やかな未来

GXとは、「化石燃料中心の経済・社会、産業構造をクリーンエネルギー中心に移行させ、経済社会システム全体を変革する取り組み」のことです。具体的には、省エネの推進、温室効果ガスを排出しない/排出量が少ない風力・太陽光・地熱・水力発電といったクリーンエネルギーの利用、温室効果ガスの吸収・除去などを通じて、エネルギー需給構造を転換し、環境と経済の好循環を実現できるように産業構造や経済社会システムを変えていこうとする取り組みを指します。

その背景にあるのは、言うまでもなく地球規模の気候変動です。温暖化や干ばつ、大雨などの極端な気象現象をこれ以上進行させないために、今、世界中のあらゆる組織と個人が、カーボンニュートラルに取り組む必要に迫られています。

こうした中、2020年9月、世界最大のCO2排出国である中国は、2060年までにカーボンニュートラルを実現することを表明。また、2021年4月時点で、125カ国・1地域が2050年までのカーボンニュートラル実現を表明しており、カーボンニュートラルへ向かう世界的な潮流はますます力強いものになっています。

しかし、私たちや私たちの子孫が将来にわたって伸びやかに暮らしていくためには、同時に経済や社会も発展させていかなければなりません。そこで、これまで経済成長を妨げるものと捉えられがちだった環境対策を、持続的な発展のための契機と捉え、産業構造や経済社会システムそのものを変革しようとする取り組みがGXなのです。

すでに海外ではGXに率先して取り組んでいる企業も多く、例えば大手テクノロジー企業では製造サプライチェーンや製品ライフサイクルなどすべてのプロセスにおいて、2030年までにカーボンニュートラルを目指すと表明。また、大手ソフトウエア開発企業では、「カーボンネガティブ(CO2の排出量よりも吸収量を多くする)」を2030年までに達成すると発表しています。いずれも、自社だけでなくサプライチェーンやバリューチェーン全体での取り組みを宣言しているため、取引先企業にも対応が求められています。

また、近年は財務情報だけでなく、環境や社会への配慮や企業の内部統制・管理体制を考慮するESG投資の市場も拡大。世界主要5地域での2020年の投資額は約3,900兆円に上り、今後もさらに拡大することが予想されています。環境や社会に対する意識の低い企業は淘汰されてしまう可能性もあり、GXへの取り組みは今後必須となっていくと予測されます。

2050年カーボンニュートラルを目指し
「グリーン成長戦略」を策定

日本では、2020年10月、菅義偉前首相が所信表明演説で、2050年までにカーボンニュートラルの実現を目指すことを宣言。さらに、2021年4月の地球温暖化対策推進本部および米国主催の気候サミットで、「2050年目標と整合的で、野心的な目標として、2030年度に、温室効果ガスを2013年度から46%削減することを目指す。さらに、50%の高みに向けて、挑戦を続けていく」と表明しています。

この高いハードルをクリアするため、経済産業省は2021年6月に「グリーン成長戦略」を策定。温暖化への対応を「成長の機会」と捉える時代に突入しているという状況認識のもと、すでに一部の企業で始まっている研究開発方針や経営方針の転換の流れを加速させることが目的でした。

グリーン成長戦略では、2050年に向けて成長が期待される14の重点分野で「イノベーション」を実現し、創出される革新的技術を「社会実装」することで、カーボンニュートラルはもちろん、単なる温室効果ガス排出削減にとどまらない「国民生活のメリット」の実現をも目指しています。同省では、これにより国際競争力の強化も図っており、2050年の経済効果は約290兆円、雇用効果は約1,800万人になると試算しています。

成長が期待される14の重点分野
【出典】経済産業省「グリーン成長戦略(概要)」より作図

また、同省は「クリーンエネルギー戦略 中間整理」(2022年5月13日)において、成長が期待される産業ごとの具体的な道筋や、需要サイドのエネルギー転換、クリーンエネルギー中心の経済社会・産業構造の転換に向けた政策対応など、GXへの道筋を示しました。すでに企業の野心的な挑戦を後押しするための2兆円のグリーンイノベーション基金が造成され、今後は中小・ベンチャー企業も参画しやすい制度づくり、重点的投資の実現などに取り組んでいく予定です。

さらに、2022年12月22日、政府が開催した第5回GX実行会議で、今後10年を見据えたロードマップが提示されました。今後10年間で150兆円超の官民によるGX投資が必要という試算が公表され、この巨額の投資を実現するために、新たに「GX経済移行債」(仮称)を創設し、国として20兆円規模の先行投資支援を実行する考えが示されました。この投資促進策は、新たな市場・需要の創出に効果的につながるよう、規制・制度的措置と一体的に講じられる予定です。

GXリーグで、排出量削減とともに
国際競争力の向上も目指す

経済産業省は2022年2月、GXの実現に向けた具体的な取り組みや目標について明記した「GXリーグ基本構想」を提唱しました。GXリーグとは、一言で言えば「GX企業が産官学と協働する場」です。

同省では、「2050年カーボンニュートラル実現と社会変革を見据えて、GXヘの挑戦を行い、現在および未来社会における持続的な成長実現を目指す企業が、同様の取り組みを行う企業群や官・学とともに協働する場」であると説明しています。高い排出量削減目標を掲げ挑戦を行う企業群が、排出量削減に向けた投資を行いながら、目標の達成に向けて自主的な排出量取引を行う枠組みとして、2023年度の本格稼働を予定しています。

GXリーグでは、次の3つの取り組みを通じて、経済社会システム全体の変革と新たな市場の創造を牽引し、国際ビジネスで競争力を発揮できる環境の構築を目指しています。

GXリーグが提供する3つの取り組み

  • 未来社会像対話の場:
    2050年カーボンニュートラルのサステイナブルな未来像を議論・創造する場
  • 市場ルール形成の場:
    カーボンニュートラル時代の市場創造やルールメイキングを議論する場
  • 自主的な排出量取引の場:
    自ら掲げた目標の達成に向けて自主的な排出量取引を行う場

GXリーグへの参画には、「排出削減目標の設定と取り組み」「サプライチェーン全体でのカーボンニュートラルを目指す取り組み」「市場のグリーン化を牽引する取り組み」の3つの要件を満たすことが求められます。ハードルは決して低くはありませんが、参画することにより、前述したESG投資による資金調達のメリットや、企業イメージ向上、人材獲得面でのメリットが生まれます。

こうしたこともあり、2022年11月30日時点で599社が賛同を表明。賛同企業の業種は幅広く、いわゆる大企業だけでなく、スタートアップや中小企業、外国資本の企業も含まれています。

今後はGXリーグの本格稼働に向けた具体的な議論が、賛同企業とともにさらに進められる予定です。一部の環境保護団体からは、3つの取り組みの1つ「自主的な排出量取引の場」について、「自主目標をトレードする仕組みに過ぎず、削減量の担保ができない」と懸念する声も上がっており、こうした課題も含めて議論が本格化することが望まれます。

地球環境を保全するとともに、経済社会システム全体の変革を目指すGX。明るい未来を実現するため、GXリーグをはじめとする積極的な取り組みに期待が寄せられています。

GXリーグが目指す世界観(循環構造)
【出典】経済産業省「GXリーグ基本構想」より作図

富士フイルムの環境への取り組み

  1. サステナビリティ
    私たちは、事業活動を通じて社会課題の解決に取り組み、サステナブル社会の実現に貢献します。
    サステナビリティ

記事公開:2023年1月