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どこでも“顔パス”!?
活用シーンが広がる「顔認証」とは。

オンライン上での本人確認と言えば、まだまだIDとパスワードが主流です。
しかし、セキュリティ強度を高めるためには、パスワードを推測されにくい
ものにしたり、サイトごとに別のものを設定したりとかなり面倒。
そこで注目されているのが「顔認証」です。すでにスマートフォンのロック解除で
使っているという方もいらっしゃると思いますが、オフィスや空港などでの
本人確認にも利用され始めています。
「セキュリティはしっかりしたい。でも面倒なのはイヤ──」。
今回はそんな方にぴったりの「顔認証」についてご紹介します。

一人ひとりの顔の違いがカギ
使いやすいのに高いセキュリティ

私たちヒト同士では、約99.9%の遺伝子が一致すると言われ、残り0.1%が多様性を生み出しています。一人ひとりの顔が違うのも個性の一つで、それを本人確認に利用したのが「顔認証」です。このように身体的な特徴を使った認証方法を生体認証と言い、顔の他には指紋や静脈、虹彩、声などが利用されています。

顔認証では、一般的に目や鼻、口などの位置や、顔の大きさなどを照合します。カメラに顔を向けるだけで認証処理が行われるため、スムーズかつスピーディー。パスワードを忘れてしまったり、鍵となる物理的なデバイスを紛失したりする心配もありません。また、パスワードや暗証番号は盗まれたり奪われたりする可能性がありますが、顔認証はなりすましが困難なため、防犯の観点からも優れています。しかも非接触なので、新型コロナウイルスなどの感染症の拡大防止にも有効です。利用者にとって利用時のストレスが少ないにもかかわらず、セキュリティ強度の高い認証方式だと言われています。

利用者から見た顔認証のメリット

顔認証技術の歴史は古く、スタートしたのは1964年と言われています。しかし、当時のコンピューターの力不足もあって研究はなかなか進みませんでした。その後1988年に、統計的手法を用いた技術開発が再スタート。これが現在使われている顔認証システムの基盤となっています。1993年にはアメリカで認証精度を競うコンテストが始まり、技術が大きく進歩していきます。日本でも技術開発が進み、このコンテストに2009年に初めて参加したベンダーは、エラー率0.3%を達成。2位以下を大きく引き離して世界第1位になりました。今も日本の顔認証技術は、世界トップクラスです。

スマートフォンのロック解除などで身近な認証方式となりつつあり、用途がさまざまに広がっていることから顔認証の国内市場規模は年々拡大し、2026年には28億円まで成長するという予測も出ています。

手軽で導入しやすい2D認証
よりセキュリティ強度が高い3D認証

顔認証の方式には、2D認証と3D認証の二つがあります。

2D認証からご説明しましょう。2D認証は、あらかじめ登録した画像とカメラで撮影した画像を照合して、本人かどうかを識別しています。まずカメラ画像から顔を検出し、顔から特徴点を抽出して数値化。その数値を、事前に登録してある画像の特徴点の数値と照合し、本人かどうかを判定します。システムによっても異なりますが、特徴点となるのは、輪郭や目、鼻、口、あごの位置や顔の大きさなどで、顔の認識・特徴点の検出には、画像処理技術や機械学習アルゴリズムが使われています。

2Dの顔認証に必要なのは画像だけなので、他の生体認証に必要な専用の読み取り装置などが不要。Webカメラなどでも認証が可能なため、近年では、顔認証機能を組み込んだ、セキュリティ強度の高いWeb会議システムも登場しています。しかし、手軽に顔認証のシステムを構築できる一方、太陽光や照明などが認証精度に影響を及ぼすというデメリットもあります。

この2D認証に赤外線センサーを加え、顔を立体データとして認識するのが3D認証です。平面画像は顔として認識せず、赤外線によって顔の凹凸まで3次元的に把握するため、写真や動画を利用した「なりすまし」を防ぐことができます。特徴点のデータが増えることから精度も高く、赤外線を利用しているため暗い場所でも認証できますが、赤外線カメラなど赤外線に対応したデバイスが必要です。

顔認証の基本的な流れ

導入例も多く、すでに身近な存在に
さらなる高精度化に期待

利用者に負担をかけずにセキュリティを高めることができ、しかも導入もしやすいことから、顔認証はさまざまなシーンで利用されています。

一番身近なのは、スマートフォンやアプリのロック解除。暗い中でも顔をかざすだけで利用でき、便利さを実感されている方も多いのではないでしょうか。またテレワークや在宅勤務が広がったことにより、Web会議システムの認証や勤怠管理での本人確認にも利用されるようになりました。

顔認証の大規模な利用例としては、東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会の事例があげられます。同大会では選手やスタッフ、ボランティアなどの全大会関係者を対象に、競技会場や選手村、大会関連施設への入場時の本人確認に顔認証を採用。約400万回もの顔認証が行われたものの、大きなエラーは起きなかったとのことです。

また、羽田など7つの空港で、入出国管理に顔認証ゲートが採用されています。これは、IC旅券のICチップ内の顔画像と、顔認証ゲートのカメラで撮影した顔の画像を照合して本人確認を行うものです。

さらに、一部の医療機関や薬局ですでに運用開始されている「オンライン資格確認」の導入が、2023年4月からは原則として義務付けられます。患者の保険資格の確認をオンラインで行う仕組みで、本人確認方法の一つとして、マイナンバーカードと顔認証を組み合わせた方法が活用され始めています。

今後は、マンションやホテル、娯楽施設、オフィスなどでの入退室管理、交通機関利用時の本人確認のほか、支払いや決済など、さらに広い範囲で利用が進んでいくことが予想されます。

顔認証はとても便利な認証方式ですが、もちろん懸念点もあります。顔データの流出にかかわるリスク対策や、より厳格ななりすまし防止対策などが、これからも求められます。また、監視社会につながるリスクもはらんでいますので、プライバシーがどう守られるのか、システムがどう運用されるのか注視する必要もあるでしょう。

とはいえ、どこでも“手ぶら顔パス”でアクセスできる顔認証。今後ますます高精度化しながら普及してくれることを期待しましょう。

「顔認証」に関する富士フイルムの技術

  1. 顔認証とFUJIFILM
    多くのスマホに使われる、赤外線による顔認証システム。富士フイルムが開発した半導体材料は、今まで検知が難しかった赤外線を正確に捉えるセンサーの誕生につながりました。日常のセキュリティを、見えないところから支えています。
    半導体材料で、顔認証の精度を高める。

記事公開:2023年2月
情報は公開時点のものです