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共感を呼び起こし、従業員の力を引き出す!?
持続的な成長を支える「企業のパーパス」とは。

SDGsへの関心の高まりや新型コロナウイルス感染症の拡大など、企業を取り巻く環境は
大きく変化し続けています。そうした状況に適応して生き残り続けるため、企業経営や
ブランディングなどの観点から、自らの社会的な存在意義を見つめ直し、再定義する企業が
増えています。そのキーワードが「パーパス」。今回は、パーパスとは何か、
なぜ注目されているのか、パーパス策定のメリットや注意点などを解説します。

パーパスとは何か?
経営理念や企業理念との違いは?

「パーパス(Purpose)」という言葉に触れる機会が増えていませんか? 一般的には「目的」や「目標」などと訳しますが、最近よく耳にするパーパスは「存在意義」の意味で使われています。つまり「企業のパーパス」とは、「企業としての存在意義」のこと。特に社会に対しての存在意義を示しています。今、「自社は何のために社会に存在しているのか?」を模索、あるいは再定義して「企業のパーパス」を策定し、経営やコーポレートブランディングに活用しようとする企業が増えているのです。

しかし、これまでにも「経営理念」や「企業理念」など、経営やブランディングの柱となる指針はありました。ではパーパスとそれらとの違いはどこにあるのでしょう? 大きな違いはパーパスが「社会とのつながりを強く意識」しており、企業活動が社会にどのように貢献するのかを示していること、そして企業の存在意義を表したものであるため一度策定したら「基本的には大きく変わらない」とされていることにあります。企業によって捉え方は異なりますが、それぞれの概要を次の表にまとめましたので参考にしてください。企業理念を構成する「ミッション」がパーパスに近い概念ですが、パーパスは「社会とのつながり」をより重視しているといえるでしょう。

パーパスと経営理念、企業理念の違い

今、なぜ必要とされている?
パーパスが注目される背景

パーパスがクローズアップされるようになったのは、2つの声明がきっかけだといわれています。1つは、2018年に米資産運用会社ブラックロックのCEO、ラリー・フィンク氏が発表した「A Sense of Purpose」です。この中で同氏は、企業の継続的な発展のためには、業績だけでなく社会に対する貢献が必要だと呼びかけました。

もう1つは、2019年8月に米国トップ企業が所属する財界ロビー団体ビジネス・ラウンドテーブルが発表した「企業のパーパスに関する声明」(Statement on the Purpose of a Corporation)です。同団体は、それまでの企業経営の原則であった「株主資本主義」から、「ステークホルダー資本主義」への転換を宣言。企業は自社の利益の最大化だけでなく、企業の社会的存在意義であるパーパスの実現も目指し、社会的価値や環境保護なども重視すべきだという姿勢を表明しました。

そして今、パーパスを経営の軸とする「パーパス経営」が、主に3つの理由で大きな注目を集めています。

1つ目は、SDGsへの世界的な関心の高まりです。SDGsには企業が主導すべき課題も含まれており、持続可能な社会・環境への貢献が企業に求められています。社会における自社の役割の認識が不可欠であるパーパスの策定は、サステナビリティへの貢献方法を発見するカギとなりえます。

2つ目の理由は、ESG投資の拡大です。近年は投資家の関心が、環境に配慮し社会に貢献しているかどうかを考慮するESG投資に向いているため、SDGsに取り組む企業が資金を調達する上で有利になります。

3つ目は、ミレニアル世代やZ世代の台頭です。この世代は社会的課題の解決に取り組む事業者を応援するエシカル消費の傾向が強く、企業に対しても社会への価値提供を求めがちです。社会にどのように貢献しているかを企業が明確に示すことで、ミレニアル世代やZ世代から共感や支持を得られる可能性が高まるでしょう。また、就職や転職においてもパーパスを重視する傾向にあるため、パーパスへの共感を考慮した「パーパス採用」に取り組み始めた企業もあります。これにより企業は、自社の価値観や目標とマッチした人材にアプローチしやすくなり、それが従業員エンゲージメントと生産性の向上につながっています。

パーパスを軸にした経営で
社会に望まれる企業に

企業の社会的な存在意義を明確にするパーパスの策定と、それに基づいた経営は、多くのステークホルダーから支持されやすく、企業にさまざまなメリットをもたらします。例えば、株主や金融機関からは「投資する価値のある企業」、クライアントや顧客からは「信頼できる企業」と認識されやすくなります。従業員のロイヤルティーやエンゲージメントも向上するため、パンデミックなどの不測の事態や経営状況の悪化に対する組織のレジリエンス(困難から立ち直る力)を高められる可能性があります。さらに、入社希望者の増加にもつながります。

一方で、注意点やデメリットも指摘されています。例えば、パーパスを掲げてはいるものの実際の活動が伴っていないといった、見せかけだけの状態を意味する「パーパス・ウォッシュ」に陥らないよう注意する必要があります。実態と乖離があれば、ステークホルダーからの信頼を失ってしまうでしょう。また、パーパスを策定したからといってすぐに効果が得られるわけではありません。長期的な視点で取り組むことが求められます。

パーパスは企業独自の存在意義を言葉にしたものであり、策定においてはさまざまなポイントがありますが、上述の注意点を踏まえて3つ紹介します。

  • 分かりやすく覚えやすい言葉である
  • 自社の企業活動との一貫性や実現可能性がある
  • 企業の成長と従業員からの共感につながる内容である

社内外からの共感を得られるよう、できる限り分かりやすい言葉で表現することが大切です。また、パーパス・ウォッシュにならないよう、企業活動と一貫していること、実現可能性があることも欠かせません。さらに、企業の成長につながるとともに、従業員からの共感を得られる内容にすることも重要です。

新たな感染症の発生やテクノロジーの進化、緊迫する安全保障環境など、世界を取り巻くあらゆる環境が複雑さを増し、先行きが不透明で将来の予測が困難になりつつあります。既存の価値観やビジネスモデルだけでは通用しない時代になったともいわれる中、企業が社会で果たす役割を明確に定義し、社会から望まれる存在になることこそ、企業の生き残りには不可欠になってきたようです。今後はパーパスを重視した経営が、ますます増えていくことでしょう。

記事公開:2023年4月