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DXが環境負荷を増大させる!?
「データ保管と環境課題」とは。

世界的な潮流となりつつあるカーボンニュートラル。持続可能な社会のために
不可欠な取り組みですが、その実現にはデジタルトランスフォーメーション(DX)が
欠かせません。一方で、DXの進展によって世界中で増え続けるデータ量が、
環境負荷を増大させているともいわれています。このようなデータ保管が原因となる
環境課題に対して、企業にはどのような取り組みが求められるのでしょうか。
今回は、「データ保管と環境課題」についてご紹介しましょう。

カーボンニュートラルとDXは
サステナブルな未来に向かう車の両輪

気候変動対策の最重要テーマとして、世界中で取り組まれているカーボンニュートラル。炭素排出量を全体としてゼロにするため、日本でも2020年に「カーボンニュートラル」を宣言し、グリーン成長戦略や総電力供給量の36~38%を再生可能エネルギーに転換するなど、官民が連携しさまざまな取り組みを進め、2050年までの実現を目指しています。

そのカーボンニュートラルを実現するためには、現在の社会システムを大きく変革する必要があります。そこで重要な役割を果たすのが、デジタルトランスフォーメーション(DX)です。

DXは、デジタル技術を活用してビジネスモデルを改善し、競争力あるビジネスを実現するだけではありません。デジタル技術の活用は、リモートワークによる通勤や移動にかかるエネルギー消費の削減、ビジネスプロセスのデジタル化による紙やプリンターなどの使用量削減、センサーやIoT技術を活用した生産現場の効率化、スマートメーター利用による電力需給バランスの最適化などを実現します。また、ビッグデータの分析によってエネルギー消費量の最適な利用状況を把握し、効果的な省エネ策の立案や実行も可能にします。このように、省エネルギーや再生可能エネルギーの拡大、交通の効率化などを可能にして温室効果ガスの排出削減に貢献するDXは、カーボンニュートラルの実現に不可欠です。

こうしたことから、経済産業省では「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」において、「グリーンとデジタルは、車の両輪である」としています。

データが環境負荷を高める!?
デジタル化とCO2の意外な関係とは?

一方で、DXが逆に環境負荷を高めてしまうという皮肉な現象が生じる可能性も高まっています。原因は増え続けるデータ量にあります。

DXの進展に加え、5Gや高精細な4K・8K映像の登場、IoTやAIの普及などにより、生成されるデジタルデータの量が世界中で急増しています。多くの大企業では、扱うデータ量が2年ごとに倍増してきました。米国の調査会社IDCは、今後世界で蓄積されるデータ量は年平均27%の割合で増加し、2025年の世界のデータ量は175ZB(ゼタバイト)にもなると予測しています。ちなみに1ZBは1兆GB(ギガバイト)、つまり実に175兆GBという途方もないデータ量です。

急増する世界のデータ量
【出典】経済産業省「『次世代デジタルインフラの構築』プロジェクトに関する研究開発・社会実装計画(案)の概要」より作図

データ量が増えれば、それを保管するための記憶装置(ストレージ)も増やさざるを得ません。普段私たちが個人でパソコンを利用するときには、ハードディスクドライブ(HDD)やソリッドステートドライブ(SSD)などの消費電力を気にすることはほとんどありませんが、ZBレベルのデータを保管するとなれば話は別です。

つまり、DX推進で増大したデータを扱うためには大量の機器類が必要で、それらの機器を動かすためにはより多くの電力が必要になり、それらの機器でデータを格納・管理するデータセンターの消費電力も増えていきます。そして結果的に、環境負荷が増大する可能性があることが懸念されているのです。

データ量と環境負荷との関わり

「データの環境課題」解決のため
多様な取り組みが求められている

データセンターは、世界の電力の1~2%程度を消費しているという試算もあり、航空業界全体に匹敵するCO2を排出しているといわれています。その電力消費をDXがさらに増加させ、カーボンニュートラルの実現をサポートするはずが逆に環境負荷を増やしてしまう──。いわば「データの環境課題」とでも呼ぶべき本末転倒な事態を避け、サステナブルにDXを推進するためにはどうすればいいのでしょう。

問題解決の1つの方法が、ICT機器の高性能・低消費電力化と、システムの最適化管理による高効率・低消費電力化の実現です。国立研究開発法人科学技術振興機構によれば、データセンターの消費電力の内訳は、サーバ(コンピューター)が50%、電源・冷却系が25~30%、ストレージ(記憶装置)が10%です。しかし、将来はサーバが60~80%を占めると推定され、その消費電力低減が最重要課題です。また、ストレージについては2030年に10分の1、2050年に1,000分の1程度への消費電力低減が求められています。

種類によって消費電力が異なるストレージ装置を、目的や用途に応じて使い分けることでデータセンターの環境負荷を低減することもできます。例えば、磁気テープストレージは、データの読み書き実行時にしか電力を消費せず、通電しなくてもデータを保管できます。常時通電が必要なHDDやSSDよりも消費電力が少ないためCO2削減効果が高く、IDCでは世界のデータの保存先を磁気テープに移行することで、2030年には累計で6億6,400万トンのCO2排出を削減できると予測しています。これは8,000万世帯が1年間に排出するCO2排出量に相当します。

また、企業などでは保有するデータの60~80%が「コールドデータ」だといわれています。例えば、世界中のHDDに保存されているデータのうち60%をコールドデータとしてテープでの保管に移した場合、10年間で7,200万トンのCO2を削減できるとの試算もあります。

一方、電力需要を再生可能エネルギーで賄ったり、新たな省エネ技術を開発したりすることで、データセンターの環境負荷低減を図ることも期待され、大手IT企業ではすでに取り組みを加速させています。例えば、グーグルは2030年までにすべてのデータセンターやオフィスの運用に使用する電力を、温室効果ガスを排出しない「カーボンフリー」エネルギーに切り替える方針です。また、アマゾンとマイクロソフトは、2025年までに再生可能エネルギーのみを使用することを目標にしています。

データ量の増加に伴う消費電力の増加への対処は、カーボンニュートラル実現のために避けては通れない課題です。実効性のあるさまざまな取り組みを重ねることで、「データ保管と環境課題」を解決していくことが強く求められています。

※コールドデータとは、生成されてから時間が経ちアクセス頻度が低くなったデータ。

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記事公開:2023年4月