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何歳になっても成長できる!
行動技術による自分の「伸ばし方」

vol.10

「やらないこと」を決めて、
「伸ばすための時間」を捻出する。

ステイホームなのに仕事に集中できない理由とは?

新型コロナウイルス感染拡大防止のため、在宅勤務を推奨する動きが続いています。健康や経済の先行きへの不安はありますが、おかげで通勤の必要がなくなり、「自分のために自由に使える時間が増えた」と喜んでいる人もいるのではないでしょうか。

TOEICや資格試験などの勉強をしている方にとって、より多くの勉強時間が捻出できるようになったのはありがたいことです。試験日はあらかじめ決まっているわけですから、それまでにより多くの時間を勉強に費やせるようになったことは、心にもかなりゆとりをもたらしてくれるのではないかと思います。

ところが、せっかく自由な時間が増えているのに、それを生かし切れず、「思ったように勉強がはかどらない」と悩んでいる人もいるようです。

常に上司や同僚の視線を浴びながら働くオフィスと違い、在宅勤務では、ついだらだらとしたり、余計な仕事をしてしまったりと、無駄な時間を費やしがちです。その結果、勉強や自己研鑽のための時間が奪われ、十分な準備を済ませないうちに試験日までのタイムリミットが迫ってしまうのです。

ステイホームという“働き方”がニューノーマル(新しい日常)となった今、自分を伸ばすためには、これまで以上にしっかりとした時間管理が求められるようになりました。これは、自宅に居ながら仕事の成果や成績を上げるためにも不可欠だといえます。

在宅勤務は意外と集中できない!? 使える時間を捻出する秘訣とは?

授業のように時間割を決め、順番に処理していく

では、在宅勤務でもだらだらせず、効率よく仕事を済ませられるようにするには、どのように時間管理をすればいいのでしょうか。

私がお勧めするのは、学校の授業のように「時間割」を決めて仕事をこなす方法です。

学校の授業は、1コマ40~50分という限られた時間の中で、その日に学ぶべきことをすべて終わらせてしまうように構成されています。

しかもその時間割は、1時限目は数学、2時限目は英語といったように、複数の異なる教科(タスク)を順番に、効率よくこなしていくという、時間管理のお手本のような仕組みになっているのです。

この時間割の考え方をもとに、まずは、その日にやるべき仕事をリストアップし、それぞれ「何時から何時まで」という時間を決めて順番にこなしていくことをお勧めします。

ここで大事なのは、終了時間になったら、その仕事はきっぱりとやめて、次の仕事に取り掛かるという厳格なルールを適用することです。これによって「積み残したくないので、時間内に終わらせてしまおう」という意識が働き、集中力が高まるようになります。

また、その日の仕事を順番付けする際には、「やりたくない仕事」から取り掛かるようにするのが効果的です。後になるほど「やりたい仕事」が来るように順番付けすれば、「この仕事を終わらせると、楽しい仕事が待っている」という“ごほうび効果”が働いて、ますます集中力がアップします。

「やらないこと」の優先順位付けをしよう

仕事のための貴重な時間を捻出するには、「やらないこと」を決めるのも大切です。

新型コロナウイルス感染症拡大時、緊急を要する重症患者から治療するトリアージ(優先順位付け)という言葉が話題になりました。

時間管理においても、「やらなくてもいいこと」を優先順位付けしたうえでスケジュールから外し、限られた時間を「やるべきこと」に割り当てるのが合理的だといえます。

この考え方は、勉強や自己研鑽の効率アップにも役立ちます。

例えば、英語を勉強するにしても、その目的がTOEICのスコアを伸ばすためなのか、仕事で英語が話せるようになるためなのかといった違いによって、「やるべきこと」「やらなくてもいいこと」は違ってきます。

TOEICは筆記試験が中心なので、そのスコアを伸ばすためだけならスピーキングやリスニングの勉強はさほど必要ありません。逆に、話せるようになることが目的なら、リーディングやライティングの勉強は後回しにしてもいいはずです。

目的に応じて「やらないこと」を決め、それ以外のやるべきことに専念すれば、より短期間でゴールにたどり着けるのです。

“伸ばし方”のポイント

目的に応じて「やらないこと」を決め、それ以外のやるべきことに専念すればより短期間でゴールにたどり着ける

PROFILE

石田 淳いしだ・じゅん
株式会社ウィルPMインターナショナル代表取締役社長兼最高経営責任者。社団法人組織行動セーフティマネジメント協会代表理事。アメリカの行動分析学会ABAI会員。日本行動分析学会会員。日本ペンクラブ会員。日経BP主催『課長塾』講師。米国のビジネス界で大きな成果を上げる行動分析を基にしたマネジメント手法を日本人に適したものに独自の手法でアレンジし、「行動科学マネジメント」として確立。執筆活動や講演・セミナーを精力的に行う。

記事公開:2020年8月