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何歳になっても成長できる!
行動技術による自分の「伸ばし方」

vol.11

伸び悩んだときにはそれまでに費やした時間を振り返る。

伸び悩みは誰にでもやってくる
止まって見えても続けることで力がつく!

勉強やスポーツなどの自己研鑽につきものなのが“伸び悩み”です。
学び始めのころは、ゼロからスタートするので新しい知識がどんどん身につき、成長を実感するものですが、一定のレベルに達すると、さらに上げるのが難しくなって、成長が止まってしまいます。

これは、自転車で坂道を上るのとよく似ています。最初は平たんな道なので、ペダルは軽く、自転車はすいすいと進みますが、傾斜がつくにつれてペダルは重くなり、やがて足が止まってしまいます。

自転車をこぐのと同じように、勉強やスポーツもレベルが上がるに従って、次のレベルに達するには、より大きな“筋力”が要求されるようになります。
“筋力”がつくまでには時間がかかるので、しばらくは同じ場所で足踏みしてしまいます。これが“伸び悩み”なのです。

非常に苦しい状況ですが、ここで思いっきりペダルをこぎ、“筋力”を十分に蓄えれば、ある日、一気に坂を駆け上がれるようになります。一見、立ち止まっているように見えても、次なる成長のための底力は着実についているのです。

勉強やスポーツの道は平たんではありませんから、“伸び悩み”の時期は誰にでも訪れます。そこを乗り越えられるかどうかが、伸びる人と伸びない人の分かれ道になるわけです。

伸び悩みはさらなる飛躍へのステップ!? 停滞期を乗り越える秘訣とは?

成長度だけでなく「費やした時間」も
記録するとモチベーションアップに

しかし残念なことに、“伸び悩み”を経験すると、「自分の力はここまでだったのだ」と諦めて、離脱してしまう人が少なくないようです。それまで重ねてきた勉強や、費やした時間がすべて水の泡になってしまうのですから、これほどもったいないことはありません。

離脱してしまうのは、伸び悩むことによって、「成長の手応え」が感じられなくなるからでしょう。自分が成長していることを実感すると、「もっと勉強したい」という「Want to」(~したい)の気持ちが高まるというのは行動科学のセオリーのひとつですが、成長を実感できないと、その動機づけが失われてしまうのです。

そこで提案したいのは、勉強やスポーツなどの自己研鑽を始めるに当たって、成長の記録だけでなく、その成長のプロセスで費やした時間も克明に記録しておくことです。

例えば、英単語を覚える場合なら、500語、1000語、2000語といった目標をクリアできたかどうかだけでなく、それぞれの目標を達成するのに何日かかり、どれだけの時間を使ったのかも記しておきます。
ランニングであれば、20分走れるようになるまでに何日かかり、1時間走れる体力がつくまでに何週間かかったという日数を記録してみるとよいでしょう。

このように、自分の成長度と、それに費やした時間をセットで記録すると、「これほど時間をかけて力を身につけたのだから、簡単に終わらせてしまうのはもったいない」という気持ちが強くなります。
すでに記録をせずに取り組みを進めている方も、分かる範囲でどのくらいの時間をかけてきたのかを振り返ってみるとよいでしょう。

“伸び悩み”を脱すると一気に成長できる可能性が

費やした時間とセットで成長度を記録することは、さらに、どれだけ時間を使ってどのくらいの成果が上がったのかという客観的な振り返りができるので、「“伸び悩み”から抜け出すには何日ぐらいかかるはずだ」という目安も立てやすくなります。

離脱する大きな原因のひとつは「先が見えない」ことにあると思いますが、少しでも目安が見えてくれば、「もうちょっと続けてみよう」という気持ちになるのではないでしょうか。

どうしても目安が立たないというのなら、同じ勉強やスポーツで成長した先輩や友人などの経験者に、伸び悩んだ時期の経験談を聞いてみるのもよいでしょう。乗り越えるために何をし、どれだけの時間がかかったのかを教えてもらえば、「同じように取り組めば、必ず抜け出せるはずだ」と安心できるものです。

先ほども述べたように、“伸び悩み”の時期を脱すると、その後の成長スピードは一気に加速することが多いものです。簡単に諦めず、「いまが肝心なときだ」と思って続けてみてください。

“伸ばし方”のポイント

伸び悩んでも諦めないように
するためには、それまでの
成長に費やした時間を記録しておく

PROFILE

石田 淳いしだ・じゅん
株式会社ウィルPMインターナショナル代表取締役社長兼最高経営責任者。社団法人組織行動セーフティマネジメント協会代表理事。アメリカの行動分析学会ABAI会員。日本行動分析学会会員。日本ペンクラブ会員。日経BP主催『課長塾』講師。米国のビジネス界で大きな成果を上げる行動分析を基にしたマネジメント手法を日本人に適したものに独自の手法でアレンジし、「行動科学マネジメント」として確立。執筆活動や講演・セミナーを精力的に行う。

記事公開:2020年10月