聞き流すだけではなかなか頭に残らない
よく、「英語がうまくなりたいけど、記憶力が悪いので、単語や文法がなかなか覚えられない」といった相談を受けることがあります。
実際、記憶力のいい人とそうでない人はいると思いますが、多くの場合は「学び方」の良し悪しが記憶の定着に影響を及ぼしているものと考えられます。
学習の方法と記憶の関係を示す法則のひとつに、「エドガー・デールの法則」というものがあります。
下に示したように、人は何かを学ぶとき、ただ「聞く」よりも「読む」ほうが、「読む」よりは「見る」ほうが、学んだ内容が記憶として定着しやすいのです。
■エドガー・デールの法則による平均学習定着度
- 「聞く」………………10%
- 「読む」………………20%
- 「見る」………………30%
- 「見ながら聞く」……40%
- 「言う or 書く」……70%
- 「人に教える」………90%
中でも、学習した内容が最も頭に定着しやすいのは、「人に教える」ことを前提として学ぶ方法です。「聞く」だけの学習による平均学習定着度は10%ですが、「人に教える」場合の定着度は実に90%にも及びます。
実際、セミナー等に参加し、面白い話だと思って聞いていたのに、終わった後、聞いた話がほとんど頭に残っていなかったという経験をしたことのある人もいるのではないでしょうか。聞いただけでは、10ある情報のうち、たった1つしか頭に残りません。
仮にこれが、セミナーで聞いた話を、あとで社長や上司に説明しなければならない、という状況だったとすればどうでしょう。
大事な話はひと言も漏らさず必死に覚えようとするので、ただ聞き流すだけに比べて、相当な量の情報が頭に残るはずです。
エドガー・デールの法則では、10ある情報のうち9つは記憶できることになりますが、そこまではいかなくても、話の筋やポイントなどは、かなり鮮明に記憶に残ることでしょう。