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何歳になっても成長できる!
行動技術による自分の「伸ばし方」

vol.3

仕事や勉強の「やり方」がわかれば
どんどん好きになっていく!

「Have to」を「Want to」に変える

前回は、勉強や自己研鑽などの「三日坊主」を克服するには、少しずつ目標のハードルを上げて、頭や身体を徐々に慣らしていくことが大切だという話をしました。

無理なくレベルを上げていけば、何事も長続きするので、おのずと力がついてきます。「やればできるんだ」という自信も出てくるので、「もっと上を目指してみよう」という向上心が生まれ、さらに成果が上がるという好循環が回り始めるわけです。

成果が上がり続けると、取り組みへの辛さは次第に薄れ、むしろ「楽しさ」を感じるようになります。「楽しいから、もっと続けたい」という「Want to」の気持ちが強まるのです。

「何としても試験に合格しなければならない」「もっと営業成績を上げなければならない」といった「Have to」(~しなければならない)の動機付けで何かを始めたとしても、なかなか長続きはしません。むしろ、強迫観念によって心身が萎縮し、思うように成果が上がらなくなって、途中で投げ出してしまう人が多いようです。

あなたが部下や後輩を指導する立場の人なら、過大な目標やノルマを押し付けるのではなく、小さな目標を少しずつ達成させながら、「Have to」から「Want to」へと気持ちを変えられるように導いてあげたいものです。

「これをやると、自分にどんなメリットがあるのか?」ということを明確にしてあげるのも、部下や後輩の気持ちを「Have to」から「Want to」に変えるコツです。

「この試験に合格すると、昇進がしやすくなる」「契約が月に何件取れるようになると、リーダーに抜擢されて給料が上がる」といった具体的なメリットを示されたほうが、何の目的もなく取り組むよりモチベーションが上がりやすいものです。

「~しなきゃ」という思い込みをなくし、「~したい」に切り替えるには!?

できる人の真似をすれば成果が上がりやすくなる

ところで、どんなに小さな目標から勉強や自己研鑽を始めても、思ったように成果が上がらないこともあります。

原因はいろいろ考えられますが、それなりに時間を費やして取り組んでいるのに成果が上がらないのであれば、「やり方」を間違えている可能性が高いといえます。

正しい「やり方」をすれば早く成果が出るはずなのに、それを知らないばかりに、無駄な回り道や堂々巡りをしてしまうのです。

どんなに頑張っても成果が出ないと、徒労感ばかりが高まって取り組むのが嫌になってしまいます。これでは「Want to」の境地にたどり着くことすらできません。

そこでお勧めしたいのは、身近にいる「できる人」をロールモデル(行動や考え方の模範にする人)にすることです。

たとえば、「営業成績を上げたい」という目標を掲げたのであれば、バリバリと営業成績を上げている先輩の行動を観察し、それを真似てみるのです。

あなたが「上達したい」と思っている分野で結果を出している人のことを、行動科学では「ハイパフォーマー」と呼びます。

その人がハイパフォーマーでいられるのは、成果を上げている何らかの行動をしているからです。ですから、そのハイパフォーマーの動きをじっくりと観察し、その動きを真似てみることが、成果を上げるための早道なのです。

複数の「お手本」に共通する動きを探してみる

このようにアドバイスすると、「できる人の動きは、その人だからできること。自分には絶対に無理だ」と決めつけてしまう人もいます。でも、そんなことはありません。

人間には、「理想的な動きを脳に焼き付けると、その通りに行動しようとする」という特性があります。先入観を捨ててじっくりと観察し、できるだけ真似をしようとすると、同じような動きが不思議と身に付いてしまうものなのです。

その結果、仕事や勉強の成果が上がれば、「やってみたら、意外と簡単じゃないか」「やればできるんだ」という喜びが生まれ、「Want to」の意識が高まっていくはずです。

もちろん、誰かの真似をしても、必ず成果が上がるとは言い切れません。そんなときは、模範とする相手をまた別のハイパフォーマーに変えてみるのもいいでしょう。仕事にせよ、勉強やスポーツにせよ、上手くなるための「やり方」は十人十色です。

また、複数のハイパフォーマーがいる場合は、その人たちに「共通する行動は何か?」を探ってみるのもひとつの方法です。

行動科学マネジメントでは、「いつ、どこで、誰がやっても、同じような成果が得られる」ような「再現性」の高い行動を最重要視しています。

ハイパフォーマーに共通する行動は、まさに「再現性」の高い行動であると考えられています。それを自分の動きにすることが、上達のスピードを速めてくれる可能性が高いからです。

“伸ばし方”のポイント

身近にいるハイパフォーマーの行動を真似ると仕事や勉強の成果が出やすくなる

PROFILE

石田 淳いしだ・じゅん
株式会社ウィルPMインターナショナル代表取締役社長兼最高経営責任者。社団法人組織行動セーフティマネジメント協会代表理事。アメリカの行動分析学会ABAI会員。日本行動分析学会会員。日本ペンクラブ会員。日経BP主催『課長塾』講師。米国のビジネス界で大きな成果を上げる行動分析を基にしたマネジメント手法を日本人に適したものに独自の手法でアレンジし、「行動科学マネジメント」として確立。執筆活動や講演・セミナーを精力的に行う。

記事公開:2019年9月