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何歳になっても成長できる!
行動技術による自分の「伸ばし方」

vol.5

行動を長続きさせるための
“時間管理”と“気分管理”

予定どおりに進まないのはスケジュールに無理があるから

「何をやっても長続きしない」理由はさまざまです。これまで解説してきたように、「Have to」(やらなければならない)という強迫観念にかられて取り組むと、途中で挫折しやすくなってしまいますし、人によっては、「やりたいけれど、その環境が整っていない」ことが継続を妨げる大きな要因となっているようです。

例えば、「英語の勉強がしたいけれど、仕事が忙しくてなかなか時間が取れない」といったケースです。
忙しいビジネスパーソンにとって、仕事やプライベートの用事をこなしながら、勉強やスキルアップの時間を捻出するのは容易なことではありません。半年先、1年先の試験を目標に勉強のスケジュールを立てたとしても、急な残業が入ったり、同僚との飲み会に誘われたりして、その日の勉強が先延ばしになってしまうというのは、よくあることです。
結果的に最初に立てた予定はどんどん遅れ、「このままでは、半年後の試験に間に合わない」とあきらめて、勉強を投げ出してしまう人も少なくありません。

そもそもビジネスパーソンは、ほかにもやるべきことがたくさんあるわけですし、突発的な仕事やイベントが舞い込んでくるのも日常茶飯事なのですから、それを織り込んでスケジュールを立てる必要があります。
予定どおりに勉強が進まないのは、そもそもスケジュールに無理があるからなのです。

無理なスケジュール立ててない!? 行動を長続きさせるための秘訣

急な予定が入らない朝の時間帯を勉強に充てる

行動を長続きさせるためには、タイムマネジメント(時間管理)が重要です。
時間管理の基本は、試験などの目標に向けたスケジュールを予定どおりにこなしていくことですが、ここで大切なのは、決して「無理なスケジュールを立てない」ことです。

仮に、試験に合格できる力を付けるのに最低1年間の勉強が必要だとすれば、1年半ぐらいの余裕を持ったスケジュールを立てるのが望ましいでしょう。
スケジュールに余裕を持たせれば、突発的な仕事やイベントで多少時間が削られても、何とかリカバリーできるはずです。

また、最初に立てたスケジュールに無理があると、1日ごとに「やるべきこと」が処理しきれないほど多くなり、結果的に後回しせざるを得なくなってしまうこともあります。何事も思いどおりにうまくいくとは限りません。「意外に時間がかかるな」と後から気付いたとしても、スケジュールに余裕を持たせておけば、安心できるはずです。

ほかのことで時間が削られるのを避けるためには、朝の時間帯を勉強に充てるのも方法です。夜の時間帯は、どうしても残業や、同僚、仕事関係の付き合いなどが避けられないものですが、出勤前の朝なら、誰にも邪魔されることはありません。

勉強しやすい気分になる環境を整える

行動を長続きさせるうえで、時間管理とともに大切なのが“気分管理”です。
例えば、勉強を始めようとすると、途端にテレビが見たくなる、部屋の掃除をしたくなるといったように、ほかのことに気が向いてしまう人がいます。行動科学では、こうした本来やるべきことを妨げる行動のことを「ライバル行動」と呼びます。
「気分転換になるから」といった理由で、勉強の途中でライバル行動を取る人が少なくありませんが、そのまま没頭して、勉強がスケジュールどおりに進まなくなるという失敗に陥りやすいものです。

ライバル行動が起きないようにするには、行動を邪魔する要因が何であるのかを分析して、勉強中は、その要因から遠ざかるようにすることが大切です。
例えば、「ついテレビやスマホを見たくなる」というのなら、勉強中はそれらの電源を切るようにしてみてはどうでしょう。「勉強を始める午後10時になったら、テレビの電源がオフになるようにタイマーを設定する」「SNSに夢中になりすぎないように、『これから勉強を始めるから』とメッセージを送る」といったように、環境を整えるスイッチをつくるのも方法だと思います。

また、テレビがなく、スマートフォンも使用できない図書館などで勉強するのも方法です。環境をがらりと変えてみると、勉強に専念しやすくなるのではないでしょうか。
「お気に入りのカフェで勉強したほうが集中しやすくなる」とか、「仲間と一緒のほうが勉強がはかどる」といったこともあると思います。どんな場所や方法なら気分が乗りやすくなるのかを、いろいろ試してみてください。

“伸ばし方”のポイント

スケジュールになるべく余裕を持たせ、勉強に専念できる環境を整えるのが長続きのコツ

PROFILE

石田 淳いしだ・じゅん
株式会社ウィルPMインターナショナル代表取締役社長兼最高経営責任者。社団法人組織行動セーフティマネジメント協会代表理事。アメリカの行動分析学会ABAI会員。日本行動分析学会会員。日本ペンクラブ会員。日経BP主催『課長塾』講師。米国のビジネス界で大きな成果を上げる行動分析を基にしたマネジメント手法を日本人に適したものに独自の手法でアレンジし、「行動科学マネジメント」として確立。執筆活動や講演・セミナーを精力的に行う。

記事公開:2019年12月